秋祭りを盛り上げ元気創出(2023/10/1)

来年の2024パリオリンピックに向け、日本の各種スポーツが力をつけてきている。コロナ騒動で鬱積した気持ちにも、何かしら元気をもらえるようだ。元気を出し協力して国難も乗り切ろう。

 いよいよ来年はパリでオリンピックが開催されることになるのだが、これに向け出場枠を得られるかどうかを測られる各種競技大会が開かれている。
コロナ騒動によりスポーツ界でも感染防止の為、大観衆の中で選手の実力がみられるパフォーマンスというかエネルギーが沈みがちであった。しかし地道に練習を積み重ねてきた日本選手が、これまでになく力を発揮しているようだ。

 2023年WBCで世界一の成績を上げた侍ジャパンが刺激になったのか、サッカー・バスケット・バレー・ラグビー…などなど、これまでにない力をつけてきているようだ。テレビでも試合の様子が放送され見る機会も増えてきた。やはり世界の強豪チームと互角に戦う日本チームを応援するにも熱が入ってくる。『頑張れ日本』のエネルギーの結集が新しい日本を築く原動力となることを願うものだ。

 ロシアのウクライナへの侵略戦争は、地球エネルギー資源のバランスを崩し、食料の需給バランスを崩し、物価の値上がりを引き起こし、我が国では円安が進み、これら諸問題の安定のため政府も内政外交問題に苦労の連続状況だ。この苦しみはしっかりと国民が理解し、協力し支えて頑張ることが何より大事なことだ。スポーツで成果を上げる如くに、国民一丸となってチーム力が発揮できるように理解と協力を結集しようではありませんか。

 早く苦境からの脱出活路を見出さなければならない。今や我が国は各種の分析データを見ても、あらゆる評価が世界上位の水準から下がり、韓国に追い越されベトナムなどにも追い上げられてきているといわれる。経済力では人口の違いもあるが、中国、インドに国力の差を見せつけられる事態となっていると思うところだ。

この暑さどうなるのだろう

 それにしても地球の高温化状況は環境がこれまでとは大きく変化し、あらゆる生態系に変化を起こしている。大気の温度のみならず、海水温度の上昇は魚類や海洋植物の生態系にも大きな変化を引き起こしているようで、もう止めようもない流れになっていると思われ大に危惧するところだ。

 これらの問題は今に始まった問題ではなく、もう何十年も前から危惧が訴えられてきたのだが…また愚痴話になってしまった。如何かみんなで未来に責任ある行動をしよう。

苦しいときは神頼み!みんなで秋祭り神々のご加護を戴こう!

 さて、全国でも神社の祭りが従前のような通常開催でにぎわっている。みんなで家内安全・家庭繫栄・国家平安を神々に感謝の気持ちをささげてお祈りしお祀りしましょう。地域行事をみんなで参加して協力することに、社会が明るくなる根本があります。

遥かなる歴史の追憶

月刊『致知」2023.10月号【巻頭の言葉】より引用 
高千穂神社宮司 後藤俊彦

諸外国と一線を画す 四季折々の風景や行事

 平成十三 (二〇〇一)年の九月十一日、ニューヨーク・マンハッタンの世界貿易センタービルに、イスラム原理主義者にハイジャックされた旅客機が突っ込み、ビルが崩壊して世界に衝撃を与えた。その翌日、私は講演のために福岡市を訪れ筥崎宮に参拝し、この事件で死亡した犠牲者の冥福を祈った。

 折しも開催中だった筥崎宮の放生会 ” は、古代の戦争の教訓から生きとし生けるものを憐み、生命を尊ぶことが始まりと伝えられている。本殿の回廊に展示されている生け花の造形の美しさに心を打たれた。 花器に生けられた花々は、すべて垂直に天を指し地に結ばれ、左右に伸びた枝はそれぞれに独自の美しい調和を保っている。〝華道”という日本語には、外国語でいうフラワーアレンジメントとはニュアンスの異なる哲学的な響きがあるように思われる。

 スイス生まれの文化人類学者であるトーマス・インモース氏が著書『深い泉の国「日本」』の中で、東北を旅行中、各家々の縁側や庭に秋の草花が生けられ、収穫した栗や芋、柿などが供えてある風景を眼にして、「一本一本の草花はなんということもない平凡な植物であるが、花瓶にさした全体をみると一種名状しがたい美しさと自己主張の表現の力を感じた」と書いていた。

 私の子供の頃には中秋の名月の日に「名月さま」という行事があった。 各家々の庭や縁側に秋の草花を飾りたて、収穫した芋やお団子などをお供えして月の出を待つのである。夜の八時頃になると各集落の子供たちは一斉に家を飛び出し、「名月さん、いただきます」という声をかけてそのお供えを自由に戴いて持ち帰る。この行事を”芋名月”と呼ぶ地域もあるから、わが国では月に再生の力をみたとい古くからの風習のように思われる。

 最近講演などの機会にこの話をしても、外来のハロウィーンは知っていてもお月見行事についてご存じの人は皆無である。当時の生活を知る者にとって淋しい気がするが、たとえ都市のマンション住居でもベランダにテーブルを置き、花を飾りおやつを供えてこのお月見を体験していただくと、子供たちが自然に親しみ情操を育むよい機会となるのではないかと思うことがある。

 先日、マレーシアで四万人余りの人々が参加する世界最大規模の盆踊りが開催されたとNHKテレビで放送されていた。現地の企業で働く日本人たちが四十六年前(一九七七年)に始めたもので、現地の日本人やマレーシアの人々がやぐらの周りを輪になって踊り、日本の夏の風景を楽しんだという。

 その数日後には、一九七二年にフランス・ニースの祭りに参加した高知県の”よさこい踊り”は、多くの人々が参加して自由にアレンジして踊れる魅力もあって人気を呼び、現在ではフランス全土によさこいの輪が広がっているとも伝えていた。わが国では神楽があらゆる芸能の始まりといわれているが、古代にあって音楽や舞踊は人々の心を癒やし、活力を生み出すものとして宗教的要素を持っていた。

現代に神話が生き続ける 文化人類学の宝庫

 私はいまから四十三年前 (昭和五十五年) に、フランス文化庁の招きで高千穂神楽のヨーロッパ公演を行ったことがある。当時のEC諸国が毎年共催している国際伝統芸術祭でフランス・西独・スイス・オランダ四か国十一の都市を約一か月かけて回ったのである。当初わが国とは異なるキリスト教国での公演に不安はあったが、わが国の神事芸能について考えるよい機会とも思って参加を決意した。

 ところが、日本の神楽は日を追うごとに人気を呼び、現地の日本大使館の方々も驚いていらした。現地の新聞には神楽が古い日本の様式を保ち、舞いの表現に伝統の力を感じたと書かれてあった。その後、駐日アイルランド大使御夫妻が神社に参拝され、お話をする機会を得た。

 ジェームス・シャーキー大使は日本神話をはじめ、わが国の歴史や文化の造詣も深い方で、その折に「アイルランドはキリスト教国(カトリック)であるが、キリスト教以前のケルトの文化や神話を持っていることが私共の誇りであり、アイデンティティなのだ」と聞き、 高千穂神楽ヨーロッパ公演でのヨーロッパの人々の熱狂の一端を理解し得たように思った。

 昭和四十二年に伊勢神宮を訪れた英国の歴史家アーノルド・J・トインビーは、 「此処に は世界の諸宗教の根源なる要素がある」との印象を残したが、神話と歴史、宗教と神話を厳格に区別する西洋と異なって、いまなお幼児期の懐かしい思い出のように、現代に神話が生き続けるわが国は、文化人類学の宝庫ともいわれている。

 神道は外来の思想や宗教とも対立することなく、その原点を守り続けてきた “心道”であり、わが国の歴史の追憶の場としての機能も果たしている。トインビー博士が語った「諸宗教の根源なる要素」とは、宗教を生み出す以前の人々が大自然の力や恵みに対して抱いた畏敬の念と、そこで執り行われた儀式を指すのであろう。

 未来を志向するあまりに古き世の文化や風習を見失うことはもったいないことである。世界はいまコロナという疫病や停戦の糸口さえ見出せぬロシア・ウクライナ戦争、襲いかかる自然災害など、様々な危機と困難に直面しているが、遥かなる人類の歴史の追憶を通して正しき道に立ち返ることもできるのではないかと思っている。

 四季折々の美しい自然と日本語、人々の礼節と美と清明を尊ぶ崇高な心と武士道的精神、他者に対する思いやりなどを次世代の人々に残し伝えてゆきたいものである。

世界はいま様々な危機と困難に直面しているが、遥かなる人類の歴史の追憶を通して正しき道に立ち返ることもできるのではないかと思っている