令和6年6月27日(木)一般質問 明比議員(自民)の質問要旨と答弁要旨


一般質問(要旨)=> 理事者答弁(要旨)
1 市町や防災関係機関との連携による対応力の強化など、地震・津波対策にどう取り組んでいくのか。
4月17日の深夜、豊後水道を震源として、マグニチュード6.6の地震が発生し、現在の震度階級となってから県内初の6弱が愛南町で観測された。この地震により津波は発生せず、人命を失う事態こそ避けられたが、負傷者の発生や家屋の損傷、体育館や文化ホールのつり天井の落下などの被害が生じ、いかに命を守る対策を講じるべきかを改めて問いかけるものとなった。
気象庁によると、今回の地震は、南海トラフ地震とは発生のメカニズムが異なり、大規模地震が発生する可能性が急激に高まっているわけではないとされているが、依然として身近に危機が迫っていることに変わりはなく、これを契機として、地震への備えを実践的で確かなものにする必要がある。
今回の地震発生直後に、県や関係市町では、災害対策本部が設置され、直ちに関係職員が参集し、初動対応に当たっていた。被災後72時間を経過すると生存率が著しく低下すると言われているように、人命救助は時間との戦いであり、関係機関が連携し迅速に対応することが重要である。
南海トラフ地震は、今後30年以内に70~80%の確率で発生するとされており、能登半島地震も踏まえ、大規模地震への対応は急務である。能登半島地震発生から5か月が経過した今月3日、現地で震度5強の余震が発生し、改めて地震はいつ起こるか分からないとの思いを強くした。
県は、これまでも防災士の養成等による地域防災力の強化などに取り組んでいるが、県民の命を守ることを最優先に、より一層防災・減災対策を充実させ、災害に強く誰もが安心できる地域をつくり上げてほしい。
=> 知事答弁
大規模災害への対応にあたっては、まずは初動が鍵となるが、4月の豊後水道を震源とする地震では、深夜の発生でも、約3,000人の職員が直ちに職場へ参集し、災害対策本部にリエゾンの派遣をいただいた自衛隊等の関係機関や市町と連携して、被害状況の把握等や応急対応を実施するなど、適切な初動対応ができたのではないかと思う。
一方、私自身が現地で目の当たりにした能登半島の被災地の状況や課題を踏まえると、南海トラフ地震などの大規模地震においても迅速な初動対応を着実に行うためには、地震の記憶が新しいうちに振り返りが必要と考え、5月には県・市町及び防災関係機関から約390人が参加した災害対策本部の運営に係る合同図上訓練を、6月6日には県庁幹部職員を対象にシナリオを伏せた実践型防災訓練を行ったところ。
こうした中、今議会に提案した6月補正予算案には、大規模地震に備えた様々な対策を盛り込んだところであり、特に関係機関との連携強化については、9月に実施予定の約100機関6,000人規模の県総合防災訓練に県内の消防団が圏域を越えて初めて参加するほか、道路の早期啓開に向け、県建設業協会と連携した訓練を実施する等、災害対応力の更なる強化を図りたいと考えている。
また、市町連携による対策についても、既に取り組んでいる津波避難訓練を始め、能登派遣での経験・知見を生かした災害マネジメント要員の育成や2万人を超える防災士の活躍促進に加え、木造住宅耐震化の支援を拡充するほか、家具固定経費の助成制度を新たに創設することとしており、今後とも「防災・減災対策に終わりなし」との強い認識の下、災害に強い安全・安心な愛媛づくりに全力で取り組んでまいりたい。
2 肱川における治水対策に今後どのように取り組んでいくのか。
本県に甚大な被害をもたらした平成30年の西日本豪雨から、まもなく6年が経過する。特に肱川では、流域全体で甚大な浸水被害が発生し、3市町にまたがる大災害となった。このため県は、国と連携して肱川緊急治水対策に取り組み、中でも、河川激甚災害対策特別緊急事業、いわゆる激特事業において、肱川水系河川整備計画に基づく堤防整備の目標を10年前倒しで進め、本年出水期を前に県管理区間の堤防が完成した。
堤防の完成により、河川の流下能力が向上するとともに、国の鹿野川・野村両ダムで、操作規則が変更され、肱川流域の安全・安心が向上するとともに、企業活動再開の後押しとなることに心強く感じる。
しかし、近年、西日本豪雨のような甚大な被害をもたらす大雨は、全国各地で毎年のように発生しており、気象庁の資料では、1時間降水量50mm以上の年間発生回数は、1970年代後半と比べ約1.5倍に増加するなど地球温暖化に伴う気候変動の影響が顕在化している。
このようなことから、肱川流域でも、西日本豪雨と同規模又はそれ以上の大雨が、いつ再来してもおかしくない状況にあるのではないかと危惧する。
今年度末の国整備区間と合わせた激特事業の完了により、肱川流域では、西日本豪雨前と比較して治水安全度が大きく向上し、一つの節目を迎えるが、昨今の気候変動の影響を踏まえた肱川流域の治水対策の更なる推進は、地域経済の活性化に資するとともに、流域住民の切なる思いであると考える。
=> 知事答弁
県では、西日本豪雨のような大規模災害から、人・生活・産業を守るという強い決意のもと、甚大な浸水被害が発生した肱川において、再度災害の防止を図るため、国と連携した「肱川緊急治水対策」に、集中的に取り組んでいる。5月末には、地元住民や建設業者の協力により、激特事業による堤防整備が完成し、国管理ダムの操作規則変更とあわせて、西日本豪雨と同じ雨量であっても越水を防ぐことが可能となり、大洲市菅田地区など事業区間の治水安全度が大きく向上したところ。
今後も、流域全体の治水安全度の向上に向けて、県では、大洲市大川地区における市の復興まちづくりと連携した堤防整備や、西予市野村地区における市の防災公園整備とあわせた河道拡幅など合計7工区で河川整備に取り組み、国においては、山鳥坂ダム建設と野村ダム改良の工事を本格化させるなど、国や市町と一体となって治水対策を進めることとしている。
さらに、気候変動に伴う水災害リスクの高まりに備え、昨年8月に変更した河川整備基本方針に基づき、新たな河川整備計画の検討を進めるとともに、流域治水の取組みを一層加速させるため、田んぼダム等への助成を開始するほか、国は都谷川の排水機場整備に着手したところ。これらの取組みを着実に推進するため、先の重要要望では、肱川の治水対策を最重要項目として位置付け、国に対して予算の確保等を強く要望したところであり、今後とも、多様な対策を複合的に組み合わせながら、流域住民の安全・安心の確保に全力で取り組んでまいりたい。
3 県内の少子化に歯止めを掛けるため、今後、どのような対策に取り組んでいくのか。
少子化・人口減少が従来の予想を上回るペースで進む中、国は、2030年までを少子化傾向を反転するためのラストチャンスと捉え、子ども・子育て政策に関する基本的な方針及び重要事項等を一元的に定める「こども大綱」を策定するとともに、先月、子どもや若者、子育て当事者のライフステージに応じた支援を具体化した「こどもまんなか実行計画2024」を決定した。
県では、何も対策を講じなければ2060年の県内人口が80万人を下回ると予想される中、同年の人口100万人確保を長期目標として掲げ、県・市町連携による総合的な少子化・人口減少対策の取組みを促進するため、昨年度、えひめ人口減少対策総合交付金を創設するとともに、子どもを産み育てやすい環境の実現を目指し、県内企業・事業所が行う女性活躍の推進及び仕事と家庭の両立支援等の取組みを後押しするひめボス宣言事業所認証制度を始めるなど、本県オリジナルの取組みを実施しており、敬意を表する。
しかし、昨年12月に国立社会保障・人口問題研究所が公表した将来推計人口によると、2050年の県内の人口は2020年から約3割減の94万5,000人と予測されたほか、今月、国が公表した人口動態統計によると、本県の昨年の合計特殊出生率は過去最低の1.31へ低下するとともに、出生数も過去最少の6,950人となるなど、改めて危機感を感じる。
少子化・人口減少対策の効果は一朝一夕に表れるものではないが、ふるさと愛媛を次の世代へつなぐには、将来の愛媛を担う若者が自身の未来を前向きに見据え、思い描けるような地域づくりや、20~30歳代の独身男女の約8割が結婚を望み、そのうち約7割が子どもを持ちたいと希望しているという県の調査結果を踏まえ、このような若者の希望がかなえられる支援を、より一層多角的・複合的に進め、充実を図ってほしい。
=> 知事答弁
県では、少子化・人口減少に立ち向かうためには、市町・企業・県民の皆さんと危機感を共有するとともに、意識や行動の変容が不可欠であることから、国に先駆けて県・市町の将来推計人口を公表し、「えひめ人口減少対策総合交付金」や、「ひめボス宣言事業所認証制度」を最大限に活用し、市町や県内企業の取組みを、県の立場から全力で後押ししているほか、4月には、県内6経済団体等と連携共同宣言を行い、推進体制の連携強化を図ったところ。
このうち、交付金事業については、20市町で今年度は、昨年度を上回る合計138の支援策を実施しているが、現在も更なる活用に向け各市町の課題を丁寧に聞き取っているところ。引き続き、現場に応じた多彩なメニューを追求しながら、スクラップアンドビルドを繰り返すことで内容を充実させるとともに、効果が見込まれるメニューについては横展開を図り、一層実効性を高めていきたいと考えている。
また、ひめボス宣言事業所の認証数は、人材確保が困難となる県内企業・事業所等に対し、働きやすい職場づくりを強力に働きかけた結果、296社まで拡大しており、私も先般、愛媛大学の学生へ講演をさせていただき、ひめボス認証事業所をPRし、若者の地元定着につながるよう働きかけを強めている。
さらに、少子化対策の鍵を握る婚姻件数の増加に向け、県外学生への就職活動時の交通費助成や奨学金返還支援等により、若者のUIJターンや県内定着を促進するとともに、えひめ結婚支援センターに結婚支援連携推進員を新設するなど出会いの場の創出や結婚支援の充実・強化を図ることとしており、今後ともオール愛媛体制により、結婚や子どもを持ちたいという希望がかない、安心して子育てができる環境づくりを強力に進めてまいりたい。
4 身寄りがなく生活に困る高齢者のサポート体制の状況はどうか。また、今後どう向き合っていくのか。
国立社会保障・人口問題研究所が今年4月に公表した日本の世帯数の将来推計では、2050年には全世帯の44.3%が単独世帯となるとされ、このうち65歳以上の高齢単独世帯が20.6%を占めるとされている。また、近年の出生率や未婚率の推移を考えると、30年後には、近親者が全くいない高齢単独世帯が急増するとの指摘もある。
これまでの地縁・血縁といった関係性が希薄化していく中、私の周りにも家族などの身近な人がいない高齢者が増えてきた。高齢期は心身の機能低下等により、病気や認知症を発症し、その結果、生活面での変化を余儀なくされるケースが多くある。病気で家事や移動、自宅での生活ができなくなった時には、それを補うサービスの利用や居住場所の変更等の判断を求められるが、一人暮らしで身寄りがない場合、それらを自分だけで決めなければならない。また、生命に関わる治療や手術、財産の処分といった重大な判断を加齢や認知症などで判断能力が低下した後では、自ら意思決定することは非常に難しいことだと思う。
一方で、自らが意思決定をしていたにも関わらず、意思疎通が十分できず、その事実を周囲が知らなかったことで、本人が希望していた病気の治療や退院後の介護施設等の利用に結びついていなかったという話も聞く。判断能力が低下する前に、いかに自らの意志を第三者に伝えておくかが重要であり、身寄りがなくてもそばに高齢者を支援する第三者がいる社会が必要だと思う。
県内各市町で状況や実施している支援内容に違いはあるが、県内どの地域に住んでいても社会の一員としての実感を持ってもらい、健康で安心して自分らしく生きていけるようなサポート体制が必要である。そのためには、市町による高齢者の相談体制の強化や見回りに加え、物事を選択する際の支援等、社会とのつながりを保つ環境を整えていく必要がある。
=> 保健福祉部長答弁
本県の高齢単身世帯の割合は、全国の推計より早く2040年には全世帯の5分の1に達すると見込まれており、中でも、子どもや近親者等がいないため、心身の衰えとともに、生活上の課題が生じる高齢者が増加すると考えられ、これまで以上に、市町を主体として見守りや相談支援など地域で支え合う体制の強化が必要と認識している。
現在、市町では、高齢単身世帯等を地域全体で支える体制を構築するため、地域包括支援センターにおいて、民生委員等地域住民からの情報提供等を基に、個別訪問や相談業務の中で、認知症等により判断力が低下した場合や不測の事態に備え、あらかじめ本人の意思を聴き取るなど、一人ひとりのニーズを把握し、必要となる保健・医療・福祉サービス等の支援に努めている。
また、県では、地域包括支援センターをはじめとする高齢者支援に携わる市町関係者等への専門的な助言や、資質向上のための研修会を開催するほか、今年度から新たに、本人の判断力が低下した場合に、本人に代わって契約等の様々な手続きを行う成年後見人等の担い手を養成する研修会を各市町と共同で開催することとしており、今後も引き続き、市町等関係機関と緊密に連携を図り、高齢者一人ひとりが安心して暮らせる地域づくりに取り組んでまいりたい。
5 松山空港の持続的な発展に向け、今後どのように取り組んでいくのか。
新型コロナウイルス感染症の5類引下げから1年が経過し、昨年の訪日外国人旅行者数は2,500万人を超えるなど、コロナ禍前の2019年の約8割まで回復している。
松山空港国際線でも、昨年3月のソウル線の復便を皮切りに、10月にはデイリー化され、11月には中四国唯一となる釜山との定期路線が新規就航した。今年3月には台北線の再開、さらに今月からはソウル線が5便増便され、過去最多となる週17便の運航となるなど、この1年余りで大きく躍進している。県内の観光地にも、日本人旅行者だけでなく、外国人旅行者も訪れ、にぎわいが戻ってきており、今後更に多くの旅行者が本県を訪れ、県内経済が活性化することを期待する。
また、空港ターミナル地域の整備についても、駐機スポットの増設や国際線旅客ターミナルビルの拡張工事が完成し、国際線の2便同時運用が可能になるなど、国際線利用者の受入環境の整備や利便性向上が図られている。知事の強いリーダーシップの下、戦略的な路線誘致や施設整備の結果が着実に実を結んでおり心強く感じる。
しかし、航空需要が高まる中、路線拡充に必要な航空機の誘導やチェックインカウンター業務等を担うグランドハンドリングの人材確保など、空港の受入体制の強化が全国的に課題となっている。今後、これらの課題にも対応し、好調なインバウンド需要を取り込み、松山空港が愛媛の空の玄関口として国際交流や地域活性化の起点となり、県内各地への経済効果をもたらす重要な役割を果たすことが不可欠である。
=> 知事答弁
昨年度の松山空港国際線利用者は、過去最高の13万6千人となり、外国人の県内延べ宿泊者数も約25万人となるなど、好調に推移する中、国際線2便同時運用が可能となった空港機能を最大限活用し、地域経済の発展に繋げていくためには、更なる路線拡充や利便性向上に加え、激化する空港間競争に打ち勝つための中長期的な戦略が不可欠ではないかと認識をしている。
このため県では、新たな路線を誘致する際の課題となっているグランドハンドリング等の現場を担う人材の確保に向け、昨年度から空港で働く魅力をHPや動画で発信する他、今年度は高校や大学での説明会等を開催するとともに、先般委嘱した空港振興アドバイザーを核に、グラハン事業者や教育機関等の関係者と人口減少社会を見据えた課題解決に向けて協議を進めている。
また、国際線ターミナルの拡充に伴って1つ問題があったのが、入国審査の時間の問題で、この2月に、直接法務大臣に私の方から現状そして必要性を要望させていただいた結果、非常に早い対応をしていただき、要請の翌月の3月にバイオカートの機器を松山空港に国から手配をしていただいた。この3ヶ月間、その運用のトレーニングを積み重ね、来月3日からバイオカートの運用が開始されることになっており、入国審査の短縮に結びつくと考えている。その他、多言語に対応した案内ロボットの導入を検討するなど、環境整備にも注力している。
また、この取り組みを通じて感じたことは、もちろん空港の大きな設備投資等については 県庁本体で考えていくことに変わりはないが、例えば路線の開拓、あるいは運用に至るバイオカートをはじめとする細やかな機器の整備、そしてグランドハンドリングの人材の確保、これを県庁本体でこのままやっていくことがいいのかどうか、長い目で考える時期が来ているのではないかということを痛感した。
そこで、来月下旬には、空港政策に精通する学識経験者や市町・観光・経済・交通関係者で構成する松山空港将来構想検討会を立ち上げたいと思っている。年度内を目途に路線の強化に向けた体制のあり方や空港の魅力づくりなど、松山空港の目指すべき将来像や実現に向けた戦略的な取組みの方向性について取りまとめることとしており、提言を踏まえた実効性の高い施策を展開するとともに、空港施設の第2期工事を着実に推進することで、空港の持続的な発展を図り、航空路線を起爆剤とした地域活力の創出に結び付けてまいりたい。
6 物価高騰等で厳しい経営環境にある農林水産業の持続的発展に向け、生産者の支援にどう取り組むのか。
国は、四半世紀ぶりに、食料・農業・農村基本法を改正した。改正法では、食料安全保障の確保や、環境と調和のとれた食料システムの確立、農業の持続的な発展のための生産性の向上、農村における地域社会の維持等を政策の柱としており、今後、農業・農村の振興に向けた、実効性のある施策が展開されることを期待している。
一方で、依然として、担い手の減少や高齢化の進行により生産力の低下が懸念される中、近年の急激な円安基調の影響等により、農林水産業の生産現場では、燃料や資材、肥料、飼料など、様々な生産資材等の価格が高止まりし、農林漁業経営を圧迫しており、深刻化する生産現場を守り、国民の食料を確保していく必要があるが、その環境は、一段と厳しさを増している。
このような中、県は、物価が上昇傾向に転じた令和4年度以降、国の補正予算等も積極的に活用し、数次に渡って物価高騰に対応した生産者支援策を講じ、収益悪化への影響緩和に努めてきた。また、今年度当初予算では、県の総合計画に掲げる、農・林・水各分野の目標産出額の達成に向け、様々な施策にも取り組んでいる。
しかし、先月公表された国の統計数値によると、原油価格が高騰前の3年比で約1.4倍、畜産飼料の原料価格が約1.5倍となる一方、農林水産物はコスト上昇に見合う価格転嫁が難しく、収益悪化を招いている生産者も数多くいると聞いており、本県農林水産業への物価高騰の影響が深刻である状況に変わりはない。県には、本県農林水産業の持続的な発展に向け、安定的な所得の向上を目指し、本県の実情に応じた、できる限りの対策を引き続き講じてほしい。
=> 農林水産部長答弁
長期化する飼料や資材等の価格高騰は、生産コストを押し上げ、農林漁家経営の維持に深刻な影響を及ぼしていることから、県では、生産現場の声に耳を傾けながら、単なる価格補填に留まることなく、収益改善に向けた生産の効率化や省力化など、経営基盤の安定化につながるきめ細かな支援策を機動的に講じ、生産の維持・拡大に取り組んでいるところ。
また、6月補正予算案においても、物価高騰等の影響が続く施設園芸農家や、畜産農家に対する負担軽減のほか、有害獣の捕獲資材や養殖用資材などの購入支援、さらには消費減退が見込まれる牛乳や、県産ヒノキの需要創出などに要する経費を計上し、足元の影響を緩和しつつ、生産振興や販売力強化などの施策も展開していくことで、生産者の経営体質強化を後押しし、経営の安定化と所得向上につなげたいと考えている。
今後は、先般改正された食料・農業・農村基本法に基づき、国において議論が進められる具体的施策の検討状況を注視しながら、生産現場が必要とする支援策が措置されるよう国に働き掛けるとともに、本県の特性に応じた生産性向上等による産地強化と、販路開拓などを通じた需要拡大に総合的かつ効果的に取り組むことで、生産者が将来に希望を持てる本県農林水産業の持続的な発展に努めてまいりたい。
7 これまでの成果を踏まえ、不登校児童生徒への支援に今後どのように取り組んでいくのか。
国が昨年10月に公表した調査結果では、令和4年度における全国の小中学校の不登校児童生徒数は29万9,048人で、前年度より5万4,108人増加し過去最多となり、本県でも、前年度から495人増加し2,728人となっている。また、全国の不登校児童生徒のうち、学校内外で相談を受けていない児童生徒が11万4,217人も存在するなど、不登校児童生徒への支援は全国的に喫緊の課題である。
このような中、国は、昨年3月に不登校により学びにアクセスできない子どもをゼロにすることを目指した「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策『COCOLOプラン』」を取りまとめ、一人ひとりに応じた多様な支援が必要という認識の下、学校及びその設置者は、教室に入れない児童生徒には校内教育支援センターを活用した学習の継続に努めること、登校できない児童生徒には教育支援センターを活用した学習支援等に取り組むとともに、フリースクールなどの民間施設やNPO法人等と連携し必要な支援を行うことが重要であると示している。
県は、国に先駆けて不登校児童生徒の多様な学びの場の確保を目指し、学校や教室に行きづらい生徒が自分に合ったペースで学習、生活するための校内サポートルームを設置するなど、市町と連携し切れ目ない支援体制の構築に努めてきた。特に、昨年度開設したメタバース上の学びの場であるメタサポキャンパスは、自宅から出ることができず、外部とつながりを持ちにくい児童生徒など個々の実情に寄り添った先進的な取組みであり、各メディアや他自治体からの注目が集まるなど、今後の展開に期待している。
子どもを取り巻く環境が様々に変化し、不登校の背景や状況が一層複雑化する中、子どもや保護者の悩みを受け止め、一人ひとりの実態に応じてきめ細かく対応することが今後更に求められる。
=> 教育長答弁
不登校の要因が複雑化し個々の状況も様々である中、一人一人に適合しうる多様な学びの環境を学校内外を問わず整えていくことが重要と認識しており、県教委では校内サポートルームの設置やフリースクールとの連携強化、オンラインを活用した家庭での学び場づくりなど、重層的で先進的な支援体制を構築しているところ。
このうち県内8中学校に設置する校内サポートルームでは昨年度利用した195名のうち約53%の状況が改善するとともに、不登校の新規出現率が県平均で4割を超える中、設置校に限れば16%と極めて低い水準に収まるなど、不登校の未然防止にも大きな効果が表れている。またメタサポキャンパスでは、昨年度登録した中学3年生8名全員が高校進学を果たすなど、確かな手ごたえを実感している。
このため県教委では、今年度新たに校内サポートルームを砥部町と八幡浜市に1校ずつ追加設置したほか、メタサポキャンパスへの受入枠拡大とともに、動物園や砥部焼、菓子工場等のオンライン見学や、木工、手芸、理科実験等の体験活動を通して子供たちの興味や関心の幅を広げ、社会や他者とつながる楽しさを体感できる取組も始めており、今後ともこれら施策の拡充を図りながら、個々の状況に応じたきめ細かな支援に努め、子供たちの学びの継続を確保し、将来の社会的自立につなげてまいりたい。