個性を伸ばし、全体の力に結ぼう(2023/9/1)

慶応義塾高校優勝!仙台育英高校連覇ならず準優勝。感動をありがとう!!
今年の高校野球大会出場チームの取り組みに学ぶべきところが大である。
一般社会も取り組みと健闘を見習いたい。

 日本の夏の最大イベントは、何といっても甲子園での「全国高等学校野球選手権大会」といつも私は思っている。今年で105回大会と歴史を重ね、これまで年々歳々この大会に向け全国の高校球児が毎日練習を重ね、チームでまず一勝を目指して夢も見ながら、青春と情熱を傾ける姿があり、それを支えて応援する家族や、学生、学校、地域が一体となるという、大いなる社会性を培ってきたものである。だから国民的支持と人気がある、影響力を持つイベントであると評価されるものである。

 コロナ感染症対策により、この3年はみんなで燃えて取り組むという姿に制約があり、半煮えの思いであったかと思うが、今年は従来のようにブラスバンドの演奏も応援団が声を張り上げての応援も復活し、選手も応援する人たちも一体感が蘇った。この一体感が何よりかけがえのない人間力に意義を持つものである。

 スポーツ界でもパワハラ・セクハラ防止の為にガバナンスコードの制定実施が求められているのであるが、優勝した慶応高校の監督も、準優勝の育英高校の監督もまたその他の指導者も一様に選手に求めるものは自主性とチーム内での自分の役割の自覚を高めることが、チーム力となっていると語られている。そのことを監督もコーチも選手も、自覚し取り組み総合力を発揮できるようにすることが大切なチーム作りと今はなっている。

 私たちの若いころは、根性野球が重用され、監督に怒られないようにするために心も砕いていたように思う。指導者への絶対的服従が求められ、それに従うことが組織力と説かれたものでもあった。高校野球といえば、頭は丸刈りの坊主頭が当たり前で、それが爽やかな若者の象徴のようにも考えられていたものだが、今は多様性の尊重の重視で、今は高校野球選手では3割近くのチームが長髪を認めているそうだ。慶応高校もそうであった。

 このようにかけがえのない青春の取り組みに、残念ながら少子化で単一校でチームが組めない学校も出てきており、他校と連合でチーム編成することも多く見うけられるようになった。それでも「野球がしたい」学生の志を汲み上げ生かせてあげることも大いに意義があるものだ。

 今回は高校野球の話題を通じて、時代が大きく変化進展していることを書いてみた。過去にこだわりすぎることなく、未来への道を切り開くための方途のチャレンジを常に見開く勇気と情熱が大切だとの実感である。 

世界の異常気象や気候変動による大災害、特に山火事の発生が異常に多い!

 連日ハワイのマウイ島で8月9日より発生している山火事は、世界中の山火事による犠牲者の過去の歴史を塗り替え、100人以上出すという大惨事となって未だ鎮火していない。他にもカナダでも発生、ヨーロッパでも・・世界各地で山火事が発生している。高温による枯れ草の自然発火が火災を引き起こしているのが殆どの原因だそうだ。

 我が国では自然発火の山火事は起きていないものの、連日35度を超える猛暑で熱中症で救急搬送される件数、死亡に至る件数が過去にない状況だ。
地球環境を守る事!・平和を守る事!しっかり自分の命を守るために考え行動しよう!! 

これから台風シーズンともなり、危険から身を守る自覚を深めておこう!

お金で買えないもの ーそれはお金で買えますか

月刊『致知」2023.9月号【巻頭の言葉】より引用 
アサヒビール社友 福地茂雄

果たしていまの日本で、徳を積むことの尊さがどれほど理解されているでしょうか

 生命ほど崇高なもにはありません。この世に生を享ける時も、この世を去る瞬間も、自分の意思は働きません。また、自分より先にも、自分より後にも、自分の“いのち”はありません。たった一つ限りの“いのち”なのです。その“いのち”は、果たしてお金で買えるでしょうか。今や市場万能主義が行きわたり、もはやこの世のもので、お金で買えないものは極めて少なくなりました。

 私がNHK 会長を務めていた2010年4月、同局で『ハーバード白熱教室』という番組が全12回にわたり放映されました。講師はハーバード大学で政治哲学の教鞭を執っておられるマイケル・サンデル教授で、5回目の講義内容が「お金で買えるもの 買えないもの」でした。

 我が国でも福岡の西南学院大学でサンデル教授による白熱教室が開催され、私は講義終了後にサンデル教授にお目にかかる機会を得ました。素顔の教授は、白熱とは程遠い温厚な方でした。サンデル教授によれば、南北戦争の折、北軍に召集された鉄鋼王アンドリュー・カーネギーは、彼の年間の葉巻代よりも安い金額で代理兵を雇ったといいます。富裕層が兵役義務を低所得層に押し付けた、いわゆる傭兵制度です。

 ソマリアやパキスタンでも傭兵制度は存在するといいます。自分の祖国でもなく自分の故郷でもない土地で、“いのち”を失うかもしれない兵役の義務を全うできるものでしょうか。もちろん愛国的価値観も、国を守るという義務感もありません。そこには殉ずるべき大義は一切存在しません。 

全てが売り物になることで生じる問題点

ハーバード大学の学内誌『クリムゾン』に、卵子提供を募る広告が掲載されたそうです。応募条件として、知的で運動神経が良いこと、併せて大学進学適性検査のスコア提出が求められました。報酬は、卵子1個につき5万ドルといいます。

 インドでは妊娠代行サービスがあるといいます。妊娠・出産できない女性がお金を支払い、受精卵を提供すると、代理母の子宮に移植して出産するのです。しかし、自分の出自を知った子供は、受精卵を預けただけの女性を素直に「お母さん」とよべるでしょうか。

 我が国でも少子化対策の一環として、第三者の精子を用いた不妊治療が検討されています。しかし、そのような背景で生を享けた子供が自らの出自を知る権利の保全など、解決すべき課題は多いようです。

 サンデル教授はすべてが“売り物”になることで、“不平等”と“腐敗”という問題が生じると説いています。不平等は、お金を持つ者だけが様々な機会に恵まれるようになるということ。そして腐敗については奴隷制を引き合いに、人間という尊い存在までもが利益を得るための道具に貶められてしまうことを示唆しています。

 数少ない”お金で買えないもの“として、名誉、親友、ボランティアなどが挙げられます。徳もここに含まれるでしょう。私の父が米寿を迎えた折に書き記した色紙には、「積善の家に余慶あり」とあります。また『論語』には、「徳は弧ならず、必ず(トナリ)有り」と説かれています。果たして今の日本で、徳を積むことの尊さがどれほど理解されているでしょうか。

 私たちは、“お金で買えないもの”をもっともっと大切にして生きてゆかなければなりません。