令和5年3月7日(火)一般質問 明比議員(自民)の質問要旨と答弁要旨
一般質問(要旨)=> 理事者答弁(要旨)
1 市町における単身高齢者に対する孤独・孤立支援の状況はどうか。また、今後、この問題に県としてどのように向き合っていくのか。
令和3年国民生活基礎調査によると、65歳以上の単身世帯は約743万世帯と、平成13年の約318万世帯から2倍以上に増加しており、核家族化と高齢化の影響等で高齢者の孤独や孤立が社会問題化している。
さらに、新型コロナウイルスの感染拡大がその流れに追い打ちをかけた。我々の生活は一変し、行動制限や感染回避のための外出自粛等により、他者とのつながりや出会いの場がなくなり、特に、周囲に家族など身近な人がいない高齢者は、社会から孤立し、その孤独感は計り知れない。そのような中、非接触の推奨に伴うデジタル化の波により、高齢者は社会から取り残されているとの感情が生まれ、少しずつ心が追い込まれている。
今後、団塊の世代が後期高齢者になると、高齢者の孤独・孤立問題は更に深刻化し、特殊詐欺等の犯罪に巻き込まれたり、孤独死のような悲劇が生み出されたりと社会不安にもつながり、正に全世代に共通した課題とも言える。
そのような中、政府は、単身高齢世帯が更に増加することを見据え、昨年末に孤独・孤立対策の重点計画を改定し、単身高齢者への対応を強化する姿勢を示した。全国的にも行政の支援が進みつつあるが、本県でも昨年、多様な主体が連携するための、えひめ孤独・孤立対策官民連携プラットフォームを構築し、「えひめ孤独・孤立対策相談窓口・支援情報サイト」により、各種相談の受付や支援制度の紹介等を総合的に行っている。
県内各市町で状況や支援内容は異なるが、どの地域に住んでいても社会の一員としての実感を持ち、人生100年時代に健康で、自分らしく生きていける愛媛県づくりを実現してほしい。そのためには、市町による高齢者の居場所づくりや相談体制の強化、見回りなど、社会とのつながりを保つ環境づくりを県の強いリーダーシップで引っ張っていく必要がある。誰一人取り残されない、温かみのある社会の実現を願う。
=> 保健福祉部長答弁
少子高齢化の進展に加え、これまで地域社会を支えてきた地縁・血縁といった関係性が希薄化しており、長引くコロナ禍も相まって、人と人との交流が減少する中、国は孤独・孤立対策を推進しており、県としても高齢者の望まない孤独を防ぐためには、見守り活動や、相談支援など地域で支え合う体制の構築が必要と認識している。
市町では、高齢者が身近な場所で運動や趣味の活動等を行う「通いの場」を確保するとともに、地域包括支援センターにおいては、高齢者世帯への個別訪問や相談業務を行い、一人ひとりのニーズに応じた保健・医療・福祉サービス等適切な支援に繋げている。さらに民生委員や見守り推進員等による訪問など、地域全体で単身高齢者を見守り、社会的孤立の防止に取り組んでいるところである。
県においては、行政や公的機関に加え、NPOやボランティア団体等の多様な主体による官民連携プラットフォームを構築し、支援情報サイトも活用しながら単身高齢者などへのきめ細かな支援につなげている。また、市町の取組みの底上げを図るため、県主催の会議等を活用して好事例の情報共有や困難事案の事例検討を行うなど、今後とも、市町と連携しながら、人と人とのつながりが実感できる地域づくりに取り組んでまいりたい。
2 大規模災害に備えた防災・減災の取組みについて
(1)将来発生が予想される巨大地震に備え、西条地域における公共土木施設の強靭化に今後どう取り組んでいくのか。
東日本大震災後の平成25年12月に県が公表した地震被害想定調査結果最終報告では、本県で南海トラフ巨大地震が発生した場合、最悪のケースとして人的被害は死者数1万6,032人、避難者数55万8,902人と推計されている。中でも西条市では、死者数は3,648人と県内最多となり、農地被害面積は津波浸水によるものが約2,000万㎡と県全体の半分以上、液状化によるものが約5,800万㎡と県全体の3分の1を占める。
このような衝撃的な被害想定が発表されて以降、県下で最も被害想定が大きい同市は危機感を持ち、県と緊密な連携体制の下、防災・減災対策を実施してきた。県では、津波浸水などの被害防止のため、海岸・河川護岸の改修や堤防の耐震補強など、西条地域の防災力強化に努めている。
しかし、東日本大震災の発災から12年、県が被害想定を作成してから9年が経過する中、これまで取り組んできたハード整備や近年の新たな知見等も踏まえると、緊急性の高い整備箇所や住民の避難ルート、住民がとるべき避難行動自体も変わってくると思う。大規模災害に備え、住民が正しく恐れ、命を守る行動をとるためにも、最新の知見を踏まえた被害想定調査を行い、県と西条市が綿密に協議・検討を重ねた上で、効果的な社会インフラの整備や避難対策などを進めてほしい。
=> 土木部長答弁
県では、南海トラフ地震から県民の生命を守り、被害を最小限に抑えるため、公共土木施設の耐震化等を進めており、西条地域においては、地震発生時の避難ルートの確保や緊急物資の円滑な輸送につながる対策を優先的に進めてきたほか、津波による浸水被害を防ぐ堤防についても、緊急性の高い箇所から順次整備を進めている。
具体的には、これまでに緊急輸送道路における21橋の橋梁耐震補強や3箇所のトンネル保全などの防災対策、東予港の耐震強化岸壁の整備を終えるとともに、重点整備海岸に位置づけた東予港海岸において、水門・樋門の耐震化や、今在家地区の液状化対策などの堤防の耐震化にも取り組んでいるところである。
また、南海トラフ地震の被害想定については、整備が完了した施設の被害軽減効果の定量的な評価が有用と考えているが、国において新たな被害想定手法の検討が進められていることから、この動向を注視するとともに、地元西条市と連携しながら、現在、対策を行っている公共土木施設の強靱化を着実に進め、地域の安全・安心の確保に努めてまいりたい。
(2)ため池の防災対策に今後どう取り組むのか。現在の取組状況も含めて問う。
地震発生時には、土木施設のほかにも身近なため池の決壊による甚大な被害も想定される。築造後100年以上が経過したため池もあり、堤体からの漏水や浸食など危険性が高まっている。さらに、農家の減少等により維持管理が困難なため池も増加しており、危険なため池の整備が急がれる。
=> 農林水産部長答弁
ため池は、農業用水の供給源であるとともに、洪水調整機能も併せ持つ重要な水利施設であるが、その多くは設置から長い年月が経過し、老朽化が進んでいるうえ、農家の高齢化等により、地域で管理する体制もぜい弱になりつつあることから、激甚化・頻発化する集中豪雨や巨大地震などの自然災害に備え、決壊等から人命と財産を守るための対策を強化することが急務である。
このため県では、被災時の影響が大きい1,751か所を「防災重点ため池」として指定し、劣化の著しい箇所の老朽化対策を着実に進めるほか、耐震調査の結果、特に緊急性が高いと認められた31か所については、西条市の城之谷(しろのたに)池など22か所で既に対策工事に着手しており、残る9か所も令和8年度までの着工を目指している。
また、今年度中にハザードマップを全て完成させ、住民の迅速な避難への意識醸成に努めるとともに、全てのため池を対象に災害時の危険度をリアルタイムで予想する「ため池防災支援システム」の導入や、ため池保全サポートセンターによるパトロール、地元への技術的助言などを通して管理体制の強化を図ることとしており、今後とも国の補助事業を最大限に活用しながらハード・ソフト両面で防災・減災対策を推進し、ため池の安全性向上に努めて参りたい。
3 主要地方道西条久万線の整備状況はどうか。また、未開通区間の整備に向けた県の考えはどうか。
石鎚山は、コロナ禍でのアウトドアブームもあり、観光コンテンツとしても本県が誇る共有の財産である。地元の西条市では、国から地域再生計画に認定され、久万高原町、高知県いの町、大川村の3町村と第三セクターを設立し、石鎚山を核とした観光客誘致を目指しており、ガイドツアーの増加や石鎚スカイライン終点の土小屋の施設改修にも寄与するなど、既に石鎚観光の一翼を担っている。
一方、石鎚山への主要ルートである主要地方道西条久万線は、昭和46年に石鎚スカイラインが開通したが、面河から土小屋までの一期工事において、土砂の流出など環境への影響が生じた。それ以降、二期工事分である土小屋~西之川間は着手されておらず、西条市と久万高原町がいまだつながっていない。
また、石鎚山へは、西条市側からは成就社を経由する登山道があるが、設置されているロープウェイも老朽化が進み、近年の大雨等による災害でいつ使用できなくなるか分からず、国内外から人が西条市に足を運んでも石鎚山に気軽に登ることができない事態を招きかねない。そのため、早期に西之川から成就社を経由し、土小屋までつながるアルペンルートとして開通させ、西条市と久万高原町を道路でつなげてほしい。
さらに、西条久万線は生活道路、災害時の救助活動のための道路としても重要である。災害が発生すると迂回路もないため孤立集落が発生するおそれがあり、災害リスクが高まる近年、危険箇所への対策は、人命・財産を守るために最優先での実施が待たれる。そのほか、近隣には民有林や国有林も多く存在しており、今後の適切な森林整備や木材活用等にも道路は欠かせない。
このように、西条久万線は西日本最高峰である石鎚山登山口を結ぶ唯一の観光道路であり、防災や林業振興などの観点からも重要な道路であるなど、多くの役割を持つ路線で、今後の地域活性化に不可欠である。
この先も信仰の対象や観光コンテンツとして、県民の身近にあり続ける石鎚山でいられるよう、西条久万線の早期開通に向けた取組みを進めてほしい。
=> 土木部長答弁
西条久万線は、地域住民にとって代替路のない唯一の生活道路であるとともに、石鎚登山道へのアクセス道路であるほか、周辺ではキャンプやスキーなど季節に応じて自然を体験できる環境が充実しており、観光振興に資する重要な道路であることから、県では、豪雨による孤立防止や観光客の安全安心な通行確保などを図るため、道路改良や落石対策等に取り組んできた。
これまでの整備で、供用している久万高原町側の全線と西条市側の約9割で道路改良が既に完了しており、現在、未改良で残っている2.5kmのうち西之川工区において、令和6年度中の完成を目指し、約800mの改良を進めているほか、残る工区についても調査や設計に着手している。また、落石対策についても危険箇所58箇所のうち34箇所の対策が完了している。
一方、未開通区間の整備については、石鎚山系の急峻な地形と1,000mを超える標高差のため、極めて難易度の高い道路の設計や施工が想定されるほか、国定公園区域内における自然環境や生息する動植物への配慮など、技術的対応や費用対効果、環境保全をはじめとする多くの課題があることから、まずは、地元西条市などの関係者とともに整備の必要性を検討してまいりたい。
4 ユニークベニューによる誘客コンテンツづくりの取組状況はどうか。また、今後、どのように普及・定着を図っていくのか。
コロナ禍により、これまで各種イベントは、様々な制約の下で開催されるなど、観光業を始め関係業界は深刻な打撃を受けたが、全国旅行支援や訪日外国人観光客の入国制限緩和等により、観光客数も回復傾向にあるなど、ようやく明るい兆しが見えてきた。そこで、更なる誘客促進のためには、アフターコロナを見据え、新しい旅行者ニーズに対応した、いわゆる「旅行者に刺さる」観光コンテンツづくりも必要である。
近年、観光やまちづくりの観点から、神社仏閣や城跡等の歴史的建造物や文化施設など、地域の文化資源をイベントやレセプションに活用するユニークベニューを軸とした取組みが注目されている。国は、全国の先進的な取組事例や手続き等をまとめた「文化財を活用したユニークベニューハンドブック」を作成したり、多くの集客が見込まれる会議やイベント等の誘致の手段として利用促進を図ったりするなど、ユニークべニューを推進している。本県でも、「大洲城キャッスルステイ」や国の重要文化財である萬翠荘での「プレミアムダイニング」など、県内を代表する歴史的建造物を活用した取組みも進められており、参加者からも好評と聞く。
このような歴史的建造物や文化施設等を有効活用し、特別な体験として非日常感やプレミアム感を演出できるユニークベニューは、今後、インバウンドの増加が期待される中、日本固有の歴史・文化に興味を持つ外国人旅行者を呼び込むためにも有効と考える。
ユニークベニューは、新たな観光コンテンツとして地域資源に着目し、その良さや独自性を多くの人に知ってもらうことで、知名度向上や来訪者数増加にもつながる。今後、県内各地域の特色ある施設や場所で、多くのイベント等を実施することで、国内外から新たな来訪者の創出が可能となり、地域活性化にも資することが期待できる。
=> 知事答弁
歴史的・文化的建造物を「見る」だけでなく「体験できる」施設として多面的に活用し、非日常感やプレミアム感を演出することで、誘客促進にも結び付くユニークベニューの取組みは、歴史的文化資源の新たな価値の創出による魅力向上や保存・継承に向けた地域住民の機運醸成にも繋がるものと認識している。
このため県では、県内の神社仏閣や史跡等の中から新たな誘客コンテンツとして活用が期待できる40施設を選定し、専門家の助言のもと、各施設の特徴や活用事例等をWEBサイトで紹介し、広く県民に周知することで機運醸成のための環境づくりに努めるほか、今年1月には、運営ノウハウを学ぶセミナーや資金調達など持続可能な実践スキルを習得する研修会を開催するとともに、今後のコンテンツづくりに向けた提案を募集しているところである。
来年度は、更なる普及・定着を図るため、県内3施設を選定し誘客効果を検証するモデル事業を実施するとともに、旅行会社に外国人旅行者にも対応した商品造成を働きかける他、地域と調和した持続可能な運営体制の構築を支援する等、新たな価値を生み出すユニークベニューの取組みを、県内各地に波及させることで、誘客促進と歴史的文化資源の保存継承の両面から地域の活性化に結び付けて参りたい。
5 スタートアップ等の創業支援に今後どのように取り組んでいくのか。
少子高齢化や人口減少が想像以上のスピードで進む中、今後、本県経済の持続的な発展を目指すためには、転出超過解消や出生率向上等の人口減少対策のほか、これまでの企業誘致に加え、創業支援により注力する必要がある。
1960年代初頭の高度経済成長期に、県内でも多くの企業が県全体にイノベーションを巻き起こすスタートアップとして設立された。創業当時はスタートアップであったこれらの企業が、この約60年間の成長過程において、本県の新しい経済成長分野を切り拓き、雇用とイノベーションを創出し続けてきた。また、家電製品や自動車など、現在では必要不可欠な製品の多くも、初めはスタートアップから生み出されたものであり、このような時代の流れを踏まえ、社会的課題の解決を成長の原動力とするスタートアップの役割に期待する。
昨年11月には、松山市内で中四国を中心に起業を志す人やスタートアップ関係者など200人以上が集まり、瀬戸内地域でのスタートアップ創出を目的とした交流会などが開催されたと聞き、本県にも多くのチャレンジ精神を持つ起業家がいることを心強く感じた。
県でも「愛媛から、はじめる」をスローガンに、地域資源を活用して地域課題を解決するビジネスを創出し、オール愛媛で支援する愛媛グローカル・フロンティア・プログラムを展開しているが、東京にあらゆるものが集中する現在、地方でのスタートアップ創出は並大抵のことではない。国は、国内のスタートアップへの投資額を今後5年間で10兆円規模に拡大する目標を掲げ、強力に支援する姿勢を示しており、本県でも、人口減少社会やアフターコロナを見据え、スタートアップ創出に引き続き果敢に挑戦してほしい。
=> 知事答弁
人口減少による地域活力の低下が懸念される中、本県経済の持続的発展のためには、新たなイノベーション等を生み出す創業支援に取り組むことが重要であることから、県では、創業予定者を県内外から募集し、専門家や県内企業の伴走支援により創業から成長に繋げる「愛媛グローカル・フロンティア・プログラム」を平成30年度から積極的に推進し、150件を超える創業を生み出してきた。
今年度からは、本県経済の将来を担う若年起業人材の育成にも取り組み、大学生や高校生を対象に開催したビジネスプランの作成にチャレンジするワークショップに、こちらには約90名が参加したほか、若手IT起業家を創出するため、県内外から意欲ある人材を募集して約2か月間にわたり開催したプログラミングや起業の知識を集中的に学ぶ全国初の合宿講座では、こちらに参加したのは14名で、全員が年度内の県内での創業を予定するなど、確かな手ごたえを感じている。
さらに、来年度は、こうした県内での起業の動きを確実なものにするとともに、創業案件を質・量の双方から充実させるため、これまでのプログラムを発展させ、専門家による伴走支援を一層強化するほか、先月協定を締結した大阪の若手経営者組織「秀吉会」や県外大手金融機関等とも連携を図りながら、首都圏や関西圏等のスタートアップ企業の県内誘致や県内企業との共創による新事業の創出にも挑戦することとしており、「四国一のスタートアップ県」を目指し、全力で取り組んで参りたい。
6 県有施設の老朽化対策に今後どのように取り組んでいくのか。
現在、多くの県有施設で老朽化が進んでおり、建替えや大規模改修が必要な施設が増加していると思う。県庁第二別館も昭和41年に整備されてから50年以上が経過し、耐震性も低いことから、令和2年度から現地建替えに向けた設計調査を実施し、今年度から整備事業に着手している。
県有施設については、平成28年度に策定され、昨年3月に改訂された県公共施設等総合管理計画により計画的に管理されている。この計画は、国のインフラ長寿命化計画の策定に伴い、地方公共団体でも施設等の全体把握から、計画的な更新、統廃合、長寿命化を図る総合的な管理を進めるよう国から要請を受け、現在では全都道府県で策定されている。
本県の計画を見ると、県庁舎や学校施設など一般建築物は、27年度末時点で約2,900棟あり、建築後30年を経過した建物等の割合は約60%に上る。そして、10年後にはその割合が約80%を超えるとされ、今後、更に老朽化した施設が増加する中、県において安全に施設を管理していくためには、計画的な建替えや修繕が必要不可欠であり、多額の財政負担が今後の県財政にも影響を及ぼすのではないかと懸念する。
また、昨年、県が発表した将来推計人口では、本県人口は、何もしなければ2060年には約78万人にまで減少するとされ、人口減少のスピードはこれまでの想定を大きく上回っており、県民サービスとしての県有施設等の在り方自体も改めて考える必要がある。もとより、対策を講じ、できる限り人口を維持したいが、現実問題として人口が減少する状況を踏まえ、県有施設の適正な総量のほか、将来の建替えや修繕に要する経費などの議論をしてほしい。
一方、現在、空き家の増加が社会問題となっている。放置された空き家は、倒壊や崩壊等はもとより、景観の悪化など地域住民に悪影響を与えているが、県有施設で用途を廃止した建物が老朽化することで同様の問題が生じることがないよう適正な管理が求められる。
今後発生する施設の老朽化に伴う建替えや修繕、解体等に要する経費は、人口減少が進む中、県民に大きな負担となるが、避けられない問題であり、将来に過度な負担が転嫁されないよう適正な施設管理を進めてほしい。
現在の県公共施設等総合管理計画の期間は令和7年度までとなっている。
=> 総務部長答弁
本県の県有施設は、築後30年以上経過したものが過半を占めており、厳しい財政状況が続く中、今後の人口減少、DX等による利用需要の変化も踏まえ、愛媛県公共施設等総合管理計画に基づき、全庁的かつ経営的視点に立って、統廃合・集約化など保有総量の適正化や長寿命化など計画的な保全措置に取り組んでいるところである。
このうち、老朽化の進む県有施設については、施設そのものの在り方をゼロベースで見直した上で、必要な施設については、財政負担も考慮し、建て替えや計画的な保全措置による長寿命化、統合・集約化などを進めている。一方、検討の結果、将来にわたり利活用が見込めない施設については、用途廃止を行い、敷地も含め、積極的な売却や貸付け等を推進することとし、それまでの間、適切な保全管理を行っている。
ただし、用途廃止施設の老朽化の進行により、周辺環境へ悪影響を及ぼすことが懸念されるほか、建物があるため敷地の売却が進まない事例もあることから、計画的に除却を進めることとし、その財源として県有施設更新整備基金の積み増しに要する経費を2月補正予算案に計上したところ。今後とも、公共施設等の利用需要を見極め、財政負担の軽減・平準化にも配慮しながら、計画的に老朽化対策を進め、県有施設の適正な管理に努めてまいりたい。