中庸とは?(2019/8/1)

参議院選挙を終えて、日本の明日を切り開くことが出来るのか?
国(社会)守るために、国民の義務と責任で監視をしよう。

 暑い夏の参議院選挙を終えた。結果、与党が過半数を維持できたので、安倍内閣にとっては安定政権運営が取り組めることになった。自民党は「日本の明日を切り開く」との旗印を掲げ、取り組んだのだが、他の政党はどうだったのだろう?消費税問題。年金問題。どれもが与党の政策の揚げ足取りの論議に終始し、大局の政策論議があまりにも今回も見えなかった。

 各種データーで予測される将来の課題に、財政を確保しながら対応策を打ち立てて、国民の命や生活を守るのが政治の最大の使命と役割だ。個の尊重、多様性の受け入れの寛容は当然必要だが、特殊な状況に焦点を当てクローズアップし、それに誘導しすぎるのは如何なものだろう?中庸をはかることも、健全な社会を、理解し、協力しながら支え、全体の大義・大局を求める上では大切だ。軸を無くして駒は回らない。バランスも失えば回らない。自然の摂理だ。一時しのぎも解らないではないが、それに目を奪われていてばかりでは明日を切り開けないだろう。国民一人一人が、目と心を開いて、閉塞感から抜け出そう!

 事件や事故にも、原因があって結果があるのだろうと思うが、最近の事件や事故のニュースでは、なぜ?と疑うようなことが多すぎないだろうか。京都アニメーションの放火事件で、有為な若い人材が一瞬で奪われたが、放火犯と会社の関連など全くかかわりもない災害だ。自分の妄想の中に、善良な人が巻き込まれるような事があってはならない。この社会の闇の中で蠢くものがあるのなら、これに対しても取り組みが必要ではないだろうか? いずれにせよ闇をなくして明るい社会を作らなければならない。それが人間として生きるものの倫理であり、道徳であろう。これを失っては健全な社会は成り立たない。

 さて、今年も命の危険を感じるような猛暑にも見舞われるかもしれない。ともかく自分の命と心を大切に守りましょう。
お盆にはご先祖様にも供養の誠を捧げましょう。

水の惑星に
生きる

月刊『致知」2019.8月号【巻頭の言葉】より引用 
福地茂雄(アサヒビール社友)

『豊かな水資源の源になるもの』

 私は今春、かねて念願であった北アフリカのモロッコを訪れました。
 現地で利用した列車やバスでは、窓に広がる草原の美しさに目を奪われ、時の経つのも忘れて見入ったものです。

 ところが、そこには時折木立こそ見かけるものの、木々の密生した林や森は一向に視界に入ってきません。それゆえに陽光に輝く小川も酒々と流れる大河も、ついぞ目にすることはなかったのです。この地方の水資源はいったいどらなっているのだろう。異国の情緒を楽しみつつも、私の心には素朴な疑問が残りました。

 当社は、広島県の庄原市と三次市に広がる山林 「アサヒの森」を、七十年以上にわたり所有·管理してきました。

 東京都の千代田区と中央区の合計面積に匹敵する二千百六十五ヘクタール、十五の山々からなる杉と檜などの山林で、七十五%が人工林、二十五%が自然林です。私が社長時代に植林した小さな檜の苗が、相談役に退いて再び訪れた際に十メートルにも育っているのを見た時は、いたく感動したものです。

 その時、現地ではちょうど四残二伐(四列を残して二列を伐採)が行われていました。杉、檜に太陽の恵みを与えるための処置です。森は適切な間伐をしなければ元気に育ちません。アサヒの森では毎年百ヘクタール前後の間伐を行っており、一巡するには十五年以上を要します。森の木々の間には清らかな水が流れています。清流は小川となり、やがて江となって河口へ向かっていく。木々の葉から滴り落ちた雨の滴が、やがて大河となり、海へ注がれていく雄大なロマンがそこにあります。「森は海の恋人」とはけだし名言で、慌ただしい日常に埋没してしまいがちな私たちの心を、悠久の時の流れに誘い、豊かな自然に恵まれた日本という国に生を享けたありがたさを自覚させてくれます。

  

『美しい森をつくるのは私たちの義務』

 アサヒの森には、間伐の切り株で設えた椅子がありました。夏から秋にかけて、地元の小学生を対象に行う「アサヒ森の子塾」などの環境教育で利用するものです。こうした野外教育を通じて、次代を担う子供たちに森林の果たす役割を実感してもらい、森林の大切さへの理解を深めてもらいたいという願いがあるのです。

 企業の社会的責任を果たすために、近年は森林保全を支援する企業が増えています。大切なことは、こうした取り組みを継続していくことです。私どもは、地球緑化に貢献するためにアサヒグループ環境基金「水の惑星」を設立し、株主の皆様から寄付を募っています。

 アサヒの森には四人の社員が働いています。彼らはそこで、社業であるビールや飲料の製造·販売に直接関わってはいませんが、悠久の森を育むことを通じて、自然の恵みに支えられているアサヒグループの業に立派に貢献してくれているのです。

 新聞によれば、五月にご即位された新天皇陛下は、水の問題に深い関心を持っておられ、 六月二日に尾張旭市(愛知県)で開かれた「全国植樹祭」がご即位後最初の地方行幸になりました。

 日本は、豊かな水資源に恵まれた希有な国です。それはたくさんの森林を有し、国土が緑で溢れているからに他なりません。美しい森をつくるのは、水の惑星に生きる私たちの大切な義務です。

 今夏にはまたアサヒの森を訪ね、この手で植樹した檜と再会するのを楽しみにしています。