謹賀新年。今年も宜しく!(2024.1.1)

2024年新しい年の始まり・・。皆様にとって如何ですか?解決の見通しも見えない戦争・円安で物価高の日本経済・年末には国会議員派閥の政治資金パーティーによる裏金資金還流問題などなど、気の休まらない話題で年越しとなりましたね。明けない夜はありません。希望を生み出すよう頑張りましよう。

 昨年春3月、国や地域別で野球の世界1を決める「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」で日本代表(「侍ジャパン」)が、14年ぶり3度目の優勝を成し遂げました。アメリカの大リーグで活躍中の「大谷翔平選手」が、決勝戦を前にアメリカチームとの対戦にあたり、『大リーグのアメリカ選手に「憧れる」のは、止めましょう』と、日本選手のチームメイトに「自分たちが(日本の選手はすごいと)憧れられる頑張りを見せよう」と鼓舞した姿も印象的でした。

 大谷選手そのものはシーズン最後に腕の手術をし、欠場しましたが本塁打王や投手で10勝を挙げるなどアメリカ大リーグ、ア・リーグでの2度目のMVPを受賞する大活躍をしました。

 来期に向けては史上最高額の契約金で(10年で総額1000億円を超える契約金でドジャースへ移籍する)世界一の投打の「二刀流」プレーヤーとして、世界中の野球選手いやプロスポーツ界選手のあこがれの人となっています。決して奢ることなく全霊を込めて野球に打ち込んでいる大谷選手の姿は、全人格評価としても、世界の偉大な人として後世にも名を残す日本人の誇りと私は思います。

 野球の話題では日本のプロ野球で「阪神タイガース」が、38年ぶりに日本一になったのも多くの人を沸かせましたね。

 5月には2020年から緊急事態宣言を発し、世界中で累計7百万人もがなくなり苦しんだ「新型コロナウイルス感染症」が鎮静化を見せ、世界保健機関(WHO)も緊急事態宣言の終了を発しました。我が国でも感染症法上の扱いが2類から5類へと季節性インフルエンザと同じ扱いに変更され、法律に基づく入院要請や外出自粛要請もなくなり、円安も影響し訪日の外国人も増え、人流の活気も出てきている。

 続いて5月に岸田総理が議長として「先進7か国首脳会議(G7広島サミット)」を開催、核兵器保有国の米英仏を含む首脳が、史上初めて「原爆資料館」を訪問する足跡も残った。

 このような明るさや希望も見える事柄もあったが、ロシアのウクライナへの軍事侵攻は2年目となり長期化が続き、新たにイスラエルとパレスチナガザ地区の戦闘も10月に勃発2万人を超える死者を出し、人道危機が続いているが和平の道筋も見えない。

 北朝鮮では相変わらずミサイルの発射を繰り返し、軍事偵察衛星も打ち上げている。中国では習近平国家主席が3選され長期政権下、東シナ海での軍事行動も活発化、グローバルサウスと呼ばれる新興国会議も起こっているが、全体的には世界の動きに不透明感が深まり漂っていると思われる。

 地球環境も「地球沸騰」と呼ばれてもいるが、温暖化は予想もつかないような災害に結びつく事態が、世界各地で起こっており、これが対策も待ったなしの課題だ。このような中にあって我が国でも、物価高騰が続き、円安が続き、GDP(名目国内総生産)はドイツに抜かれ世界4位に転落、各種世界基準のランクでも下落の一途である。

 福島原発の処理水の放出をめぐって、中国が水産物の輸入停止などの影響もあって、輸出貿易にも色々な影響も出ているようだ。年末には国会議員の派閥の政治資金問題、ダイハツの安全基準不正問題で工場生産停止など、国民の信頼感を損ない、不安に陥れるような問題が取り上げられ、先行きが一層不明瞭な空気の中での新年の幕開けです。

 私たちの日常も晴れの日ばかりや穏やかな日ばかりでは在りません。雨の日もあり、風の日もあり嵐や雪の日もありますね。クヨクヨしないで、難を逃れる工夫もしながら立ち向かいましょう。

 私は昭和23年(1948年)生まれで、いわゆる戦後生まれです。今年は喜寿を迎える年の始まりです。過去も大切ですが、この蓄積を肥やしに、希望ある未来に向かって色々なチャレンジに心がけるよう、新年の誓いとしました。


長い占領政策の呪縛から 目覚めつつある日本

月刊『致知」2024.1月号【巻頭の言葉】より引用 
高千穂神社宮司 後藤俊彦

~ 記者を感心させた 高田好胤氏の振る舞い ~

 私のふるさと高千穂は奈良時代の『日向国風土記』に〝天孫降臨の地〟として記されている。上古、未開の荒く暗いこの国を美しく豊かに整え、統治する使命を帯びて、天照大御神の孫瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が降臨になった所と伝えられている。

 瓊瓊杵尊が暗い地上に降り立ち道を失っている時、大鉗・小針という土蜘蛛 (先住民)が現れ、二人の進言を受け、皇孫が携えてきた稲千穂を抜き、籾種を四方に撒き散らしたところ、日月照り輝き光明の世界が開けたことから、この地を臼杵の郡千穂の郷と受けたという。この稲千穂こそ高天原で天照大御神が自らおつくりになった斎庭の稲であり、わが国の始まりが稲作の伝来と共に語り伝えられている。

 高千穂盆地の中心部に標高五一三メートルの〝国見ヶ丘〟がある。昔、この地を治めた神武天皇の孫・建磐龍命が国見をした所と伝えられているが、秋のはじめから晩秋にかけ出現する雲海名所として知られている。

 霧の深い朝この丘に立つと、昇る朝日に映える雲の波間から阿蘇、祖母の両山をはじめ九州中央山地の山々が島影のように現れ、幻想的なその美しさは天孫降臨を彷とさせるものがある。宮中歌会始の選者でもあった歌人の川田順はこの地を訪れた時、「はろかなる 神代はここに創まりぬ 高千穂村の山青くして」と詠んでいる。 先日私は久しぶりにこの丘を訪れてみたが、あらためてその神秘さに心が洗われ、東方より昇りくる日輪の美しさに思わず手を合わせていた。

 その時、不意に、昔、知人から聞いたある話を思い出した。一九七〇年前後の頃、奈良県法相宗大本山・薬師寺の管主・高田好胤氏肌が高千穂を訪れ、その案内と取材に同行した地元記者が語ってくれたエピソードである。

 高田氏は、当時多くの修学旅行生徒への巧みな説法や、百万巻写経勧進を通して白鳳の大伽藍とも称された金堂の再建に功績を残した僧侶として知られている。国見ヶ丘に着くや、先ず四方の山々に向かって敬虔な作法で四方拝を行い、その夜宿泊した旅館では夕食の時、高田氏のために新穀を炊いて饗応したところ、氏は「新嘗祭が済んでいないから」と言って新米には手をつけず、丁重に辞退したそうである。

 新嘗祭は一種の収穫感謝祭のことであるが、記者を感心させた高田氏の振る舞い(マナー)は、古来、日本人が身につけて。いた自然や歴史に対する畏敬や慎みの念ら生まれてきたものと思われる。

~ 若い世代から感じる より良き日本の復興の兆し ~

 お米の一粒一粒には稲魂が宿っていると言われる。毎年、伊勢神宮では実った稲の初穂を神前に供え、秋の実りを報告する”神嘗祭”が行われ、十一月二十三日には宮中の神嘉殿において新嘗祭が斎行される。

 身を清められた天皇が御一人で、夕方から翌朝にかけて、夕の儀、暁の儀と称し、二度にわたり新米の蒸し御飯などの神饌を神前に供えられた後、天照大御神からの戴きものとして聖上自らも新米を召しあがられるお祭りで、この祭りを通して、神の力も人々の生命力も新たに蘇り更新されるという神聖な儀式である。

 新嘗祭は全国津々浦々の神社でも行われているが、戦後の祝日法では〝勤労感謝の日”意味不明の呼び名に改称されたから、戦後生まれの人々には高田氏が示した心意を理解することは難しいと思われる。

 先の大戦で史上未曽有の敗北を喫したわが国は、戦勝国が押しつける価値観をすべて不用意に受け入れてきた。その中で国際法にも抵触する過ちは憲法の押しつけであり、わが国の文化と古典教育の否定であった。その主な原因は当時の連合国が日本人の精神性としてもつ武士道と、 近代思想としての軍国主義を混同した点にあったと思っている。これにより悠久の昔から築かれてきた社会の仕組みや伝統的価値観が失われてしまった。

 このことに深い憂念と危機感を抱いて起きたのが昭和四十五(一九七〇)年の三島由紀夫氏による楯の会事件である。その後の日本は、ほぼ三島氏の予言どおりの道を歩んできた。しかし私は最近になって、 主として若い世代から、より良き日本の復興の兆しを感じるようになった。

 災害時にボランティア活動に献身する多くの若者たちをはじめ、米大リーグで日本勢初の本塁打王になった大谷翔平選手や、史上最年少で将棋界初の全八冠制覇を成し遂げた藤井聡太氏である。 共に良き師に恵まれ、幼い頃より自ら抱く目標にひたむきに精進し努力を重ねてきた結果であろうが、勝者としての驕りなど微塵もなく、人々に愛される礼節と素直さを併せ持っている。

 ロシア・ウクライナ戦争や地球規模で発生する自然災害などの深刻なニュースで閉塞状態にある私共に明るさと感動を与えてくれた。個人一人ひとりの努力の積み重ねはあくまでも個人的なものであるが、その一人ひとりの努力が万人の歓びとなり、社会変革の力ともなるのである。人間一人の存在は小さいものであるが、自らの勤めに意義と誇りと使命感をもって自己を完成させることが信頼と豊かさに満ちた社会をつくってゆくのであろう。

 戦後の日本は今漸く長い占領政策の呪縛から目覚めつつある。わが国の歴史は古く、聖徳太子の十七条の憲法や鎌倉時代の御成敗式目の中には、すでに国家のあるべき理性と道理が「人の道」として説かれている。国であれ、一個人であれ、危急存亡の時こそ私共は古典の知恵に学び、わが国の真の自由と名誉を守り抜く意志が肝要と思われる。

危急存亡の時こそ私共は古典の知恵に学び、わが国の真の自由と名誉を守り抜く意志が肝要と思われる。