H29年2月27日(月) 代表質問 明比昭治(自民)の質問要旨と答弁要旨

代表質問(要旨)=>理事者答弁(要旨)

えひめ国体・えひめ大会の成功に向け、本県の魅力を全国に発信するため、愛媛らしさあふれるおもてなしや式典にどのように取り組むのか。

えひめ国体・えひめ大会の本番まで、残すところ半年余りとなった。
昨秋、東日本大震災の被災地で開催されたいわて国体・いわて大会は、復興支援への感謝の気持ちが込められたのぼりによる歓迎や総合開会式での郷土芸能による盛り上げ、各競技会場での地元の人による盛大な応援など、県民総参加の機運と震災を乗り越えた力強さを感じさせる復興のシンボルにふさわしい大会であった。

 今回の当初予算案には、えひめ国体・えひめ大会の成功に向けて、愛媛らしさを発揮した円滑な大会運営や競技力向上対策、おもてなしに万全を期すための各種事業が盛り込まれており、大変心強い。両大会には、県内外から延べ約80万人の参加者が見込まれ、多くの人にスポーツの祭典を楽しんでもらうことはもとより、本県が誇る伝統文化のすばらしさや魅力を全国にアピールする絶好の機会になる。

=>知事答弁

本県では64年ぶり、初の単独開催となる「えひめ国体」、初開催となる「えひめ大会」の成功に向けて、現在、各種準備も総仕上げの段階を迎えているが、そのなかで特に力点を置いていることの一つが、全国から来県される大勢の方々に愛媛の魅力を知ってもらい、愛媛ファンになっていただくということであり、開・閉会式会場や県内各市町の競技会場において、おもてなし広場等を設置し、全国に誇る愛媛の農林水産物を使った食の提供や特産物の販売、観光資源のPRなどを積極的に行うこととしている。

 さらに、県内小中学生による都道府県応援団の結成、小中高校生が育てた花を使った会場周辺等の飾り付け、県内4市町で1,300人の選手団を受け入れる民泊の5年ぶり実施など、県民総参加による「おもてなし」を行うほか、開・閉会式会場の仮設トイレを洗浄機能付きの水洗トイレにしたり、雨対策・バリアフリー対策にも配慮するなど、選手や観覧者に快適な環境を提供することを考えている。

 また、開会式等では、生誕150年を迎える正岡子規や夏目漱石にもスポットを当てながら、本県の歴史や文化、豊かな自然、県下各地の情熱的な祭りなどに加え、タオル体操、書道パフォーマンス、野球拳おどり、えがおダンスなど愛媛らしさ満載の演出にも取り組む予定である。

 えひめ国体・えひめ大会を通じて、来県者と県民の交流が深まり、多くの人が感動し、スポーツの持つ力を改めて実感できる、参加者全員の記憶に残る素晴らしい大会となるよう、今後ともしっかりと準備を進めたいと思う。 

サイクリングアイランド四国の実現に向けた取組状況はどうか。また、今後どのように取り組んでいくのか。

知事は、自転車新文化の普及・拡大を提唱し、サイクリング振興のため、しまなみ海道をサイクリストの聖地として世界に発信すること、サイクリングパラダイス愛媛を実現することを目標に掲げ、サイクリングしまなみの開催をはじめ、愛媛マルゴト自転車道の整備や愛媛サイクリングの日の創設など、多彩な振興策をオール愛媛体制で展開している。また、自転車の安全利用対策にも取り組み、平成25年に自転車安全利用促進条例を施行し、シェア・ザ・ロードの精神に基づく、思いやり1.5m運動やヘルメットの着用促進など先進的な施策を展開し、各地からの視察が絶えないと聞く。

 このような中、昨年12月、自転車活用推進法が成立した。その基本方針には、自転車専用道路等の整備や自転車の活用による健康の保持増進など、15項目の重点施策が掲げられており、自転車施策のフロントランナーである本県にとっても追い風になると期待している。また、同法の整備を契機として自転車施策による地方創生の取組みが全国へ波及し、今後は、広域での連携が重要になると考えるが、知事はこれに先んじて、これまでの取組みを四国に拡大させるサイクリングアイランド四国の実現という壮大な目標に取り組んでいる。

 中でも、四国遍路に育まれたお接待の文化と触れ合いながら、四国を一周するサイクリングは、そのプロセスにおいても、一周を達成するという面でも、感動を与えることができると思う。本県のリーダーシップの下、4県が連携して、四国一周に臨むサイクリストの受入環境を整備することで、四国が世界に誇れるサイクリングアイランドへ発展すると確信している。

=>知事答弁

「サイクリストの聖地」瀬戸内しまなみ海道の飛躍的な認知度の高まりや、東京オリンピック・パラリンピック開催のチャンスを逃すことなく、国内外から本県へ誘客を促進するためには、豊かな自然や食に恵まれ、遍路文化が根付く四国の新たな魅力として「サイクリングアイランド四国」を打ち出していくことが重要であると認識する。

 このため、本県がけん引役となって、その実現に向けた本格的な取組みに着手したところであり、四国を安全かつ快適に一周できるルートの検証や著名人を起用したツアーによる情報発信などを実施するとともに、世界から多くのサイクリストが訪れる台湾に、官民合同のプロモーション隊を派遣することとし、私も同行して四国一周サイクリングの魅力を直接アピールする予定である。

 今後は、松山市を起点、終点とする四国一周サイクリングの完走証をサイクリストの聖地しまなみ海道で交付することとして、話題性・ストーリー性のある仕組みづくりを検討するとともに、大学自転車部による四国一周合宿の誘致やSNS等を通じた情報発信の強化など、戦略的な取組みを積極的に展開したいと考えている。

 さらには、四国3県に対し、サイクリング環境の整備や共同キャンペーンの実施等を働きかけるとともに、四国地方産業競争力協議会など官民連携の枠組みを活用し、オール四国の体制による連携を強化しながら、海外からも注目されるサイクリングエリアに育て上げ、国内外からの交流人口の拡大による地域活性化につなげてまいりたいと思う。

全国で整備計画への格上げに向けた取組みが活発化する中、四国の新幹線導入に向けて、どのように取り組んでいくのか。

日台観光サミットの一環として、本年6月に西条市で日台鉄道観光フォーラムが開催される。新幹線の生みの親である十河信二氏の記念館がある西条市でフォーラムが開催されることは、四国の新幹線導入に向けた機運醸成に弾みがつくと期待している。

 昨年末、北陸新幹線の敦賀~大阪間が、小浜と京都を経由するルートに決定したと報じられた。全国の新幹線ネットワークが着実に構築されつつある中、四国だけが取り残されると多くの人が危機感を募らせている。また、全国各地で基本計画路線から整備計画への格上げに向けた動きも活発化しており、山陰新幹線では、昨年10月に東京で決起集会を開催したほか、東九州新幹線では、東九州新幹線建設促進期成会と大分市が、新幹線導入に向けた費用対効果を調査し、整備の妥当性を訴えている。

 このような中、四国においては、四国鉄道活性化促進期成会や四国の鉄道高速化連絡会が、四国への新幹線導入に向けた要望活動を行うとともに、シンポジウムの開催などにより機運醸成に取り組んでいる。これらの活動の積み重ねにより、国の四国圏広域地方計画に四国の新幹線に関する記述が盛り込まれたことは一つの成果であり、住民の理解と期待度も少しずつ高まっていると感じる。

 他の地域で活動が活発化する中、四国でも、県、市町、議会、経済界等の関係機関が更に強力なスクラムを組み、国に対して強い思いを届けることが重要であり、そのためには、県がリーダーシップを取り、県内はもとより四国全体での機運醸成を図るとともに、四国への新幹線導入は四国のためだけでなく、国土強靭化の面でも必要であるということを全国に向けてアピールしていくべきである。

=>知事答弁

本格的な人口減少社会を迎えた四国において、新幹線が地域活性化に不可欠な高速交通基盤であることは、新幹線開業により交流人口が拡大している北陸や北海道を見ても明らかであり、整備新幹線建設に一定の目途が立ち、全国各地で基本計画から整備計画へ格上げするための動きが活発化している今こそ、唯一の空白地域である四国への導入に向けた取組みを加速させる必要があると認識している。

 このため、4月には県と20市町で構成する「県鉄道高速化促進期成同盟会」を「県新幹線導入促進期成同盟会」、仮称ではあるがこれに変更し、新幹線に取り組む姿勢を強くアピールするとともに、経済・観光・農林水産団体を加えた官民一体の組織として拡大改組し、私が先頭に立って機運醸成や国への要望活動に積極的に取り組んでいきたいと考えている。
 
 また、四国全体の活動組織についても、経済団体等が新たに参画する組織へと拡大改組する方向で検討を進めているところであり、4月から署名活動を展開する日本青年会議所四国地区協議会などとも連携を図りながら、四国選出の国会議員とともに、四国一丸となって国等に対して強力に働きかけることとしている。

 新幹線の導入は、長い年月を要するものであるが、愛媛、四国の次の時代を切り拓くため、四国の新幹線実現の道筋をつけることは今の時代を生きる我々の大きな使命と考えており、オール愛媛、オール四国による推進体制を強化して精力的に取り組んでいく所存である。 

県原子力防災訓練の検証結果等を踏まえ、今後、原子力防災対策の充実・強化にどのように取り組んでいくのか。

県は今月15日、昨年9月に実施した佐田岬半島部の住民避難個別訓練及び11月に実施した県原子力防災訓練の検証結果を公表した。

 検証結果では、訓練の成果として、一時集結所や避難所へのスムーズな移動などが適切に行われたことや、大分県側の着岸港でのスクリーニング検査など大分県への避難体制の充実が図られたこと、また、放射線防護施設での放射性物質除去装置を稼働させた運営訓練の実施など、多くの新しい取組みが挙げられており、県広域避難計画に沿った実践的な訓練が行われたと認識している。一方、課題としては、原子力災害時に、住民がより安全に避難できるよう被災状況の把握や避難ルートの選定等が迅速かつ効率的に行える体制整備や自家用車で避難する住民に対する情報伝達手段の確保などが挙げられている。

 また、参加住民へのアンケートによると、昨年9月の住民避難個別訓練では、96%が「自宅から一時集結所までスムーズに参集できた」、11月の県原子力防災訓練でも、91%が「避難はスムーズに行えた」と回答するなど、これまでの訓練の積み重ねにより、万一の場合における避難行動が住民に着実に浸透してきていると思う。その一方、一時集結所や避難先、避難ルート等の避難方法について、伊方町からの参加者の80%が「知っていた」と回答しているものの、UPZ圏の大洲市及び西予市からの参加者の50%以上が「今回の訓練で初めて知った」と回答するなど、地域によって避難計画の理解度にばらつきがあり、一層の周知が必要である。

 県では、避難計画の実効性を高めるため、これまでも訓練による検証と結果を踏まえた避難体制の充実に取り組んでいるが、今回の検証結果についても抽出された課題を今後の避難対策に反映させ、その充実・強化を図っていくことが重要である。

=>知事答弁

伊方原発については、絶対に事故を起こさせないとの強い決意の下、県では、これまで四国電力に対して、揺れ対策や電源対策、通報・連絡体制の徹底など、本県独自の追加安全対策を要請してきたが、引き続き、四国電力や国に対し、安全対策の向上を求め続けるとともに、原子力防災対策についても、訓練による検証と改善を積み重ねながら、実効性の向上に努めているところである。

 このような中、今年度実施した住民避難個別訓練や原子力防災訓練の成果としては、大分県等への海路避難の手順等を改めて確認することにより、住民の避難行動への理解が深まるとともに、関係機関との連携も強化されたところである。一方、課題としては、複合災害時の避難路の状況把握や避難住民への的確な情報伝達、避難計画の一層の周知などが挙げられたところである。

 このため、当初予算案に、避難路の状況を迅速に把握するためのドローンを活用した実証実験や、避難住民への的確な情報伝達を行うための臨時災害放送局用の設備、住民に避難計画等を周知するためのDVDの作成や、大気中放射性物質濃度を把握するシステムに要する経費のほか、大分県との連携強化についても、避難受入に必要なスクリーニング資機材や通信機の配備、大分県内の輸送機関等を対象とした避難計画等の説明会の開催など、積極的に対策経費を計上しており、今後、これらの取組みを着実に進めるとともに、市町や関係機関などとの連携の下、原子力防災対策の一層の充実・強化に取り組んでまいりたいと思う。

本県の少子化の現状を踏まえ、今後、愛顔の子育て応援事業をはじめとした少子化対策にどのように取り組んでいくのか。

昨年12月に発表された平成27年の人口動態調査によると、合計特殊出生率は1.45と前年に比べ0.03ポイント上昇し、出生数も2,138人増加するなど明るい兆しが見え始めている。しかし、29歳以下の母親の出生数の減少や第2子以降の子どもの数、婚姻数の減少が続いており、人口維持に必要と言われる出生率2.07には程遠い状況である。

 安倍内閣は、昨年6月に閣議決定したニッポン一億総活躍プランに、希望出生率1.8の実現を掲げ、待機児童の解消や保育人材の確保など、様々な子育て支援策を積極的に進める方針を示し、来年度予算案では重点的に予算配分が行われており、国が積極策に転じたことは評価したい。

 先の人口動態調査によると、本県の合計特殊出生率は1.53で全国24位と、全国平均を上回っているものの、出生数は1万146人で前年比253人の減、また、婚姻数も減少しており、少子化に歯止めを掛けるまでには至っていない状況にある。国の対策強化に加え、県も効果的な支援策を実行していく必要がある。

 子育て支援策の強化は、移住を促進する上でも強力なセールスポイントになるため、今回、本県が他県に先んじて、県内紙おむつメーカーや市町と連携し、愛媛オリジナルの愛顔の子育て応援事業に取り組むことは時宜を得たものと考える。

=>知事答弁

少子化問題が、我が国の社会経済の根幹を揺るがしかねない喫緊の課題となる中、本県では、合計特殊出生率の向上に向け、結婚、出産、子育ての各ステージに対応した、多様で独自性のある施策を積極的に展開しており、この内、未婚化・晩婚化対策では、えひめ結婚支援センターを核に、ビッグデータを活用した“愛結び”など先駆的な取組みに加え、来年度から、市町や県内企業と連携した異業種間交流会の開催等にも取り組み、20代を中心に、新たな出会いの場を創出したいと考えている。

 また、子育て支援では、市町と連携した保育所の整備や保育士の確保、「きらきらナビ」による子育て支援情報の提供等に加え、来年度から、市町や県内紙おむつメーカーと協働して、第2子以降の出生世帯を対象に、約1年分の紙おむつが購入できるクーポン券を交付する「愛顔の子育て応援事業」を実施することとしたところである。

 本事業は、国内屈指の紙産業の集積地である本県の強みを生かすとともに、子育て世帯への経済的な支援はもとより、地域経済の活性化や子育て世帯の移住誘致にも資する、本県ならではの地方創生の取組みとしてアピールしていきたいと考えており、今後とも、地方の創意工夫や資源を活かした実効性のある少子化対策を、地域総ぐるみで推進するとともに、国に対しては、少子化対策の基盤となる全国一律の子ども医療費制度の実現等について、引き続き全国知事会等を通じて、働きかけてまいりたいと思う。

県観光物産協会を核として設立予定の愛媛版DMOにおいて、どのような体制・戦略の下、営業・誘客活動を展開していくのか。

人口減少や少子高齢化が急速に進行する中、地方創生の切り札として観光振興に大きな期待が寄せられている。特に今後4年間は、東京五輪を見据え、国内外からの誘客に全力で取り組むべき重要な時期となる。

 国では、昨年3月に明日の日本を支える観光ビジョンを策定し、世界が訪れたくなる日本を目指して、様々な政策を打ち出している。特に、地方では、観光地域づくりのかじ取り役として、民間的手法を導入しながら、戦略的に事業を展開するDMOの整備が求められており、全国各地が観光誘客を競い合う時代の到来を実感する。
このような中、県は第2期県観光振興基本計画において、平成32年の観光入込客数を2,900万人とする高い目標を掲げており、国内外からの誘客促進に地域の総力を挙げて取り組むことが喫緊の課題となっている。

 このため、県では、県観光物産協会を愛媛版DMOとして機能強化する方針の下、今年度から同協会に営業・誘客活動等の中核となる専門人材を配置するとともに、愛媛版DMOが担う機能や体制等を検討するなど、来年度のDMO設立に向けて取組みを進めていると聞くが、東京五輪まで残された期間を考えると早急に体制を整備し、本格稼働させてほしい。

 観光産業は、旅行業をはじめ運輸業、宿泊業、飲食業などに波及効果をもたらす裾野の広い総合産業である。本県は、道後温泉やしまなみ海道などのトップブランドのほか、サイクリングや四国遍路といった多彩な資源を有していることに加え、瀬戸内しまのわやえひめいやしの南予博を契機として地域資源の掘り起こしを行ってきた。また、東予東部3市の要望を受け、31年度に開催する振興イベントを見据え、潜在する地域資源の発掘も進められるとのことであり、これらの資源の特性を生かしながら、愛媛版DMOを核としたオール愛媛体制の下、戦略的な取組みを展開していく必要がある。

=>知事答弁

来年度の早期に設立を目指す愛媛版DMOでは、インバウンドをはじめ、急増する国内外の観光需要を県内全域に取り込むため、サイクリングや食など本県の強みを活かした、観光と物産の一体的な打出しを図ることとし、道後温泉を核とした周遊・宿泊の促進、中国・韓国・台湾など従来のターゲットである国や地域に加え、香港・タイなど有望市場からの誘客促進、地域経済の牽引役となる観光・物産事業者への支援等を戦略の方向性として事業展開を図ることとしている。

 このため、来年度は、国内外の旅行会社への徹底したセールス活動や、個人旅行時代に対応した電子メディアを活用したマーケティングの強化に加え、魅力ある観光素材を活かした旅行商品の企画や旅行業の資格取得による体験型旅行商品の販売、旅行客視点に立った物産開発等に取り組むこととしている。

 また、こうした事業が成果を上げるためには、民間的手法の導入や幅広い関係者の主体的な参画が鍵を握ることから、昨年秋に設置した民間出身の専門人材に加え、今後、民間企業からの職員派遣などDMOの体制を強化するとともに、せとうち観光推進機構や四国ツーリズム創造機構、市町や観光関係団体との緊密な連携と役割分担を図りながら、オール愛媛の「打って出る組織」として、実需の創出に徹底的にこだわった事業展開に取り組み、本県経済の持続的な発展につなげてまいりたいと考える。

農業の担い手確保を図る上で、JAの役割をどう認識し、どのように対策を進めていくのか。

2015年農林業センサスによると、本県の農業従事者数は5年前に比べ8,000人減の3万5,000人にまで減少しており、その約半数が70歳以上という厳しい状況となっている。国では平成24年度から、青年就農給付金制度を創設するなど、担い手対策に力を入れてきたほか、県でも、国の施策と連動し、就農研修経費の助成や首都圏での就農相談会の実施など、新規就農者の確保・育成に努めている。その結果、40歳未満の新規就農者は、24年度以降の平均が年間108人となり、それ以前の5年平均の2倍近くに増加するなど、一定の成果が上がっている。

 しかし、毎年1,000人超がリタイアする状況の中、地域農業の担い手を確保していくためには、県・市町はもとより、生産者や関係団体が力を合わせ、オール愛媛体制の下、もう一歩踏み込んだ対策に取り組んでいく必要があると思う。特に、県内農業産出額の約45%を取り扱うJAの役割は大きく、JA自らが本格的な農業参入や担い手の確保など、より主体的に取り組んでいくべきと考える。安全・安心を担保した高品質の柑橘をはじめとする本県農産物は、厳しい地域間競争にも打ち勝つことができる可能性と潜在成長力を秘めており、担い手の確保さえできれば本県農業の展望は明るいものになる。

=>農林水産部長答弁

JAは、農業者による協同組合として、農産物の生産・販売はもとより、金融や生活物資の供給など重要な役割を果たしているが、農家数の減少や高齢化の進行に伴い生産力の低下や荒廃農地の増加がみられるなど、JAの弱体化、ひいては集落の存続自体が危惧されており、農業の担い手確保は、関係者が総力を挙げて取り組むべき最重要課題と考えている。特に、JAにあっては、現在進められている原点回帰ともいうべき自己改革において、危機感を共有し、一段レベルを上げた取組みを強く期待している。

 このような中、県ではこれまで、青年就農給付金制度と連動し、JA等による研修用機械の導入等を支援してきたが、今回新たに「えひめ次世代ファーマーサポート事業」を創設し、出資法人の設立等によるJA自らの農業参入をはじめ、新規就農者のための研修ほ場の整備、就農後の定着研修や婚活など、JAが行う新規就農者の確保・育成・定着に向けた主体的、前向きな取組みを強力に支援したいと考えている。

 今後とも、市町や関係団体等との連携を密にしながら、「愛顔の農林水産人データベース」や「ワンストップWebサイト」の活用等による就農意識の向上や多様な担い手の確保に努めるとともに、生産コストの低減や高付加価値化、販売力強化など、体質強化に注力し、えひめ農業を将来に夢と希望のある「魅力ある産業」として、次世代に継承してまいりたいと考えている。

将来を見据えたとべ動物園の在り方について、どのように認識し、今後どう取り組んでいくのか。

我が国の動物園の多くは、子ども向けアミューズメント施設として、戦後復興期から高度経済成長期にかけて開園し、約8割が公営の施設である。とべ動物園の前身である道後動物園もその一つであり、昭和28年に開園し、当時は年間約39万人の来園者を誇る県内有数の施設であった。その後、周辺地域の市街化や施設の老朽化に伴い、63年に砥部町へ移転したが、このとべ動物園も来年には開園から30年の節目を迎えようとしている。

 同園では、国内で初めて人工哺育に成功した白くまピースや家族で暮らすアフリカゾウなどが人気を博しているほか、最近では、ライオンやチンパンジーなどの繁殖に成功し、週末になると多くの家族連れやカップルなどで賑わっている。オランウータンがロープを使って空中散歩するタワー展示やペンギンが遊泳する姿を観覧できる水中展示などの来園者に驚きや感動を与える仕掛けづくりのほか、夜の動物園の開催など、今では、西日本屈指の人気スポットに成長したとべ動物園であるが、これは様々な魅力向上策が実を結んだものであると評価している。さらに今年度は、アフリカゾウの餌やり体験施設の整備や連絡バス停留所の入口付近への移設など、来園者が楽しく快適に観覧できる環境整備にも取り組んでいると聞く。

 とべ動物園においても、全国の動物園と同様、動物の高齢化や個体数の減少のほか、獣舎や休憩施設等の老朽化などの問題が顕在化し、来園者数も伸び悩んでいると聞くが、世界最大の旅行口コミサイトの動物園ランキングで国内5位にランクインする潜在能力の高さに加え、えひめ国体・えひめ大会の開催は、全国にとべ動物園の魅力を発信できるチャンスでもあり、来園者の増加に弾みがつくと期待している。

 また、子どもの関心が高い地元の川や海に生息している水生生物の展示といった新たな切り口も検討してはどうかとの声も聞く。

=>知事答弁

とべ動物園は、動物とのふれあいを通じて県民に憩いと感動を与える県内有数の観光資源であり、27年度の入園者数は中四国第1位、動物園人気ランキングでも全国第5位を獲得するなど高い評価を得ているものの、動物の減少や施設の老朽化等により来園者数が減少するなど、その潜在能力を活かしきれていない状況にあると認識している。

 人口減少が進む中、その能力をいかんなく発揮するためには、これまでのような動物の見せ方などに力点を置くだけでなく、愛媛の発展につながる集客施設となるよう、新たな視点で提案できる総合プロデューサーを配置し、将来を見据えた戦略を作り上げ、これまでにない仕掛けや人を呼び込むアイデアを打ち出していきたいと考えている。

 また、新たな戦略を本格的に展開していくためには、その裏付けとなる財源の確保が不可欠であり、今議会において、動物購入や施設整備などに対応できる基金を造成し、長期的視点に立った取組みを進めたいと考えている。

 さらに、この秋に開催される、「えひめ国体」と「えひめ大会」を、とべ動物園の魅力を全国に発信する絶好の機会と捉え、みきゃん広場でのキャラバン隊によるPR活動や、園内ガイドツアーによるおもてなしなどに努め、園の知名度向上や、来園者の拡大に繋げたいと考えており、今後とも、県民に愛され、愛顔あふれる動物園となるよう全力で取り組んでまいりたい。

検討委員会の提言を踏まえ、県立新居浜病院の整備をどう進めていくのか。

県立新居浜病院は、昭和50年に現在地へ本館を移転新築し、循環器系医療をはじめとした新居浜・西条圏域の中核病院としての役割のほか、東予東部地域の周産期医療・小児救急医療や東予全域の三次救急医療の提供に貢献してきた。しかし、本館は築後40年以上が経過し、老朽化に加え、増改築に伴う患者動線の複雑化、診療機能の拡充など、県立病院に求められる医療機能の高度化・専門化等により、診療機能の維持も限界に達していると聞く。

 昨年度、県が策定した県立病院中期経営戦略の中で、新居浜病院については、新居浜・西条圏域の中核病院としての機能強化を図るため、施設の建替えを含めた整備基本計画の早期策定及び設計、施工が必要とされた。

 この中期経営戦略を踏まえ、新居浜病院の整備方針を検討するため、今年度、愛媛大学や新居浜市医師会などの外部委員による検討委員会が開かれ、新病院への建替えの必要性や三次救命救急センターの機能強化など、様々な意見・提言があったと聞く。

 東予東部地域の拠点病院として、今後、急性期医療に果たす新居浜病院の役割は大きくなる一方、全国的な医師不足に加え、産婦人科や小児科、麻酔科など特定分野における診療科の医師確保が困難になるなど、地域医療は危機的な状況が続いている。新居浜病院が、新居浜・西条圏域の中核病院にとどまらず、東予全域の三次救急医療や大規模災害時の災害医療を提供する自治体病院として、更なる機能の充実を図り、地域住民の医療の確保や地域医療水準の向上に資するべく、一刻も早い機能強化を実現してほしい。

=>公営企業管理者答弁

今年度設置した県立新居浜病院整備基本計画策定委員会では、県立新居浜病院が新居浜・西条圏域はもとより、東予全域の三次救急医療や東予東部地域の周産期母子医療・小児救急医療及び災害医療を担う必要性に鑑み、施設の老朽化への対策として、早急な全面建替えが必要とされ、その整備にあたっては、診療制限を最小限に止めること及び、再整備後の医療機能の充実並びに、継続的な健全運営を実現させるなどの基本方針が示された。

 具体的な内容としては、現状、本館、別館、救命救急センターの3ヶ所に分散している診療機能を1箇所に集約し、敷地内に免震構造の新病院を建設すること。比較的新しい救命救急センター棟を管理棟として有効活用すること。三次救急患者や災害時における重篤患者の受入機能を拡充するため、屋上ヘリポートを設置すること。現状の許可病床数313床を削減し、240床とすること。民間の創意工夫によるコストダウンと工期短縮が見込まれる、設計・施工一括方式のデザイン・ビルド方式を採用することなどが示されている。

 この基本方針を受けて、今後は、平成33年度の開院を目指し、来年度からデザイン・ビルド方式により整備事業に着手するとともに、病院運営のソフト面においても大学等関係機関の協力のもと、引き続き医師確保に積極的に取り組むなど、県立新居浜病院の医療機能強化に向けて、スピード感とコスト意識を持って事業を進めてまいりたいと考えている。

=>