もう梅の便りあり(2010/2/1)

寒さに耐えて育つ、新しい息吹を生み出そう!

 早くも2月だ。梅の便りが各地から届き始めた。

  日本列島北の方では大雪が続くところもあるが、南の地方では三寒四温で春が駆け足で迫ってきているようだ。
 
自然界では温暖化が進んでいるが、人間界の社会情勢は世界的不況から抜け出せず、厳しい寒さが続いている。この春卒業を控えている、高卒にしても大学卒にしても就職が70%程度しか決まらず、激寒状況だ。新卒のチャンスを失うと更に厳しくなる。

 昨年の選挙で国民は「政権交代」を選択し、社会の歪を何とか改革してくれと期待を込めているのだが、もう半年が経過しようとしているが一向に上昇機運に乗れない。

 それどころか、民主党の鳩山党首・小沢幹事長の政治資金で不明朗なことが暴かれ、これらの話題でいたずらに時間が経過し、景気回復どころでは無い。
 
 国民の税で綺麗な政治をしてもらおうと、政治資金で議員の活動は保証されているのだ。
政治活動を種にして、税を逃れたり、献金を集めて蓄財したりはもってのほかだ。

 ぬくぬくと守られ育ってきた人に、真の国民の痛みなど解るはずも無いが、これを見過ごすと、尚とんでも無い犠牲を国民は払うことになるだろう。

 政治家の自浄能力に期待する他は無いのだが、国民も一人ひとりが責任を持って、全ての政治家の活動を見つめ、選択や支援が必要だ。

 鳩山政権となり始めての施政方針も示されたが、「命を守る」との政治理念が示された。

 もちろん理念や哲学は基本であり大事なことなのだが、今、国民が求めているのは具体的にこれから如何する・・。これによってどうなるとの、方針を示して欲しいのであり、言葉でもなく、その場しのぎのバラマキ政策でもない。

 厳しいことは痛いほど解っているのだが、これを耐えて新しい希望が持てる社会経済の安定であり、信頼を持って新しい息吹を一緒に生み出す社会づくりの道筋を示して欲しいのだ。

 今年は大きな試練を乗り越えなければならない難題に、勇気を持って果敢に取り組まなければならない。

 国の財政もそうではあるが、地方の財政はもっと厳しく、県政も来年度の予算や施策の議論を本格化させなければならないが、国政に左右されず自立の道を切り開いてゆかなければならない。覚悟を込めて臨みたい。

激流にもびくともしない中流の砥柱のように、困難にも毅然と耐え抜いて本当の強さを身につけたいものです。

中流の砥柱

月刊誌「致知」の《巻頭の言葉》より抜粋引用 =論語普及会学監 伊與田 學=

『二つの強さ』

 人に上に立つ者には強さが必要です。ただしこの強さには二つの種類があります。「剛毅朴訥仁に近し」(ごうきぼくとつじんにちかし)と言いますが、この剛毅と言う文字がそれを示しています。剛は、表面的な強さ、外に表れた強さを意味します。毅は、内に潜んだ強さ、忍ぶ強さをいいます。この忍ぶ強さというものが特に指導者には求められると思います。

 松柏はいずれも常緑樹ですが、対照的な木です。柏は中国では檜の一種のことを指し、日本の檜のように真っ直ぐには伸びませんが、孔子廟などに行くと、厳しい寒さにも耐えて樹齢を重ねた味わい深い老大木が随分あります。

 ところが松は、枝ぶりは見事でも割合弱く、雪が積もると折れてしまいます。金沢の兼六園では、枝が折れないように縄で吊るして、それが冬の風物詩にもなっています。

 ちなみに竹は、細くとも大変強く、雪が積もると曲がるけれども、雪が落ちるとまた元に戻ります。竹は折れずに伏すと言いますが、やはり見てくれの強さよりも、困難に耐え、忍ぶ強さこそがしんの強さといえましょう。

『四耐四不訣(したいしふけつ)』

 清代末期の政治家・曾國藩は、四耐四不訣という言葉を残しています。

 「冷に耐え、苦に耐え、煩に耐え、閑に堪え、激せず、騒がず、競わず、随わず、もって大事を成すべし」冷は冷ややかな目を表し、冷たい仕打ちや誤解に耐えるということです。苦に耐えるは文字通り苦しいことに耐えること。煩に耐えるは、忙しさや煩わしいことに耐えること。閑に堪えるとは暇に耐えることですが、これがなかなか難しい。これらのことに耐え、つまらないことに腹を立てず、物事が上手く運んでも調子の乗らず、余計な競争をせず、かといって何でも言いなりになってはいけないという戒めです。

 困ったことが起きると、空元気を出しても、後ろから見ると何かしょんぼりして見えるものです。人の心はすぐ後ろ姿の表れるものです。

 親しい政治家に塩川正十郎さんがいます。裕福な家に生まれ、政治家になってからも割合順調にきていましたが、70代に入って初めて落選を経験します。その間の態度は毅然として見事なものでした。案の定、後の選挙で返り咲き、財務大臣として国民から大きな人気を博しました。落選という逆境に耐え、忍ぶ強さを身につけた好例と言えましょう。

 昔の偉人の中には、牢に繋がれる逆境に耐えて大を成した人もいます。ガンジーは、静かな牢の中を最良の勉強部屋として、そこから出るたびに多くの人を啓発しました。吉田松陰は、同じ牢の罪人や看守まで巻き込んで共に学び、牢屋を教室に変えました。まさに四耐四不訣の実践者と言えましょう。

 中国の春秋時代の書「晏子春秋」に、「中流の砥柱」という言葉があります。これは黄河の中に柱のようにそそり立っている石のことです。私たちも、激流にもびくともしない中流の砥柱のように、困難にも毅然と耐え抜いて本当の強さを身につけたいものです。