人災を無くそう!(2018/7/1)

子供は親のおもちゃではない、かけがえの無い命を授かった宝だ!

 先ごろ5歳の女の子が、親からひどい虐待を受け、香川にいるときは親権まで放棄するような状態で、児童相談所や祖母も関り、保護されてもいたようだったのに、関東に移転するので子供を連れて行ったのだが、虐待・育児放棄は止まず、衰弱死させてしまった事件があり、亡くなった子供が、いい子になるように頑張りますとの母にあてた文章をノートに書いていたのが報道された。これを見て私は心臓もかきむしられる思いがした。

 本当に多くのお母さんもお父さんも、お爺ちゃんもお祖母ちゃんも。お兄さんもお姉さんも、ショックが隠せないようだった。
5歳であれだけの文章や文字が書けるのは、相当の能力のある子で、親に育児放棄をされたり、虐待されている子が、普通なら書ける文章ではない。ゆえに衝撃も大きく感じられるのだ。

 そもそも親と呼ばれる資格さえこの両親には無いと腹立たしい。周囲からも手をさしかけられていたにも関わらず、これさえ拒否して、かけがえのない命を失うことになり、本当に残念だ。世の親、兄弟家族、行政関係皆で重く彼女の死を受け止め、子供をみんなで守り、育てよう。

 また、先ごろ新潟では小学2年生(7歳)の女児が、下校時にいたずら目的で連れ去り、首を絞めて殺害、その夜自宅近くのJR線路内に放置し、列車にひかせ事故と見せかけるような事件もあった。

 そもそも人格が全く感じられないような事件が多発していることは、正常な社会維持のために看過できない社会状況にあると、みんなで対策に危機意識を持って当たらなければならない。

自然災害の発生確率も高まる中、構造物から命を守る点検や対策にも手を抜かず取り組もう

 また、先日大阪の高槻市で震度6を記録した朝の地震で、通学中の4年生の女の子が、学校のプールわきの通学路のブロック塀が倒れかかり、亡くなった事故も悲しくやり切れない。私の孫にも4年生に女の子がいるのだが、姿が重なり他人ごとにも思えず悲しい。

 災害があるたびにブロック塀の倒壊も問題として定義され、対策も講じられてきたとは思うが、もっと命の重みを図って対策されたいものだ。構造物は年々劣化するものなのだから、5年前に点検して大丈夫ですませてはならない。

 境界を明確にするためなどの名目で、高い塀がよくあるが、狭い通路など逃げ場のない場所での、ブロック塀などは倒れかかっても足元で済む高さに抑えるようお互い気をつけたいものだ。

 またがけ崩れなどが想定される危険個所も、以前調査した(10年以上)とはいえ、周りの状況の変化に応じて、調査が必要だ。念には念を!の考えと姿勢で、みんなの命を守ろう!

国の内外共に、安定して平和な状況を創るため、握手のできる道筋を生み出すようみんなで考え協力しよう

 6月12日には、アメリカトランプ大統領と、北朝鮮の金正恩委員長が、シンガポールで、世界が注目する中会談が行われた。北朝鮮の核廃絶を完全で不可逆的に、速やかに行い、それを検証可能な状態で確認するという話し合いができるという環境づくりをしながら、双方脅したりすかしたりの外交交渉をしているのだが、一応出された合意文書では、アメリカや日本、韓国が求め期待したところには至ってないが、まずテーブルについて話をしたことは、前進であり、何より北朝鮮を主権国家として、世界が認めることになったのは、金正恩にとっては何よりの成果だったのだろう。

 自分の都合や正当づける事ばかりを主張しあい、角を突き合わせばかりしていては収まりがつかない。何のための話し合いなのか、収まりの付く平和な状況を創るため、大道を開くことを求めて協力しよう。

西郷どんの言葉に思う

月刊『致知」2018.7月号【巻頭の言葉】より引用 
福地茂雄( アサヒビール社友)

『時代を超えて示唆を与える言葉』

 NHK大河ドラマ『西郷どん』もいよいよ佳境に入ってきました。
 江戸城の無血開城により江戸の町を火の海から救った偉業をはじめ、江戸末期から明治初期に遺した西郷隆盛の足跡はあまりに偉大です。改めてその言葉を紐解いてみると、現代の日本の実情を見通すかのように重要な示唆に満ちており、驚きを禁じえません。

 西郷どんの遺した言葉を読み解く時、まず第一に挙げなければいけないのは「敬天愛人」でしょう。
「道は天地自然の物にして、人はこれを行うものなれば、天を敬するを目的とす。天は我も同一に愛し給ふゆえ、我を愛する心を以て人を愛する也」
(道というのはこの天地のおのずからなるものであり、人はこれにのっとって行うべきものであるから何よりもまず、天を敬うことを目的とすべきである。天は他人も自分も平等に愛したもうから、自分を愛する心をもって人を愛することが肝要である)

 人間は、自分の生死を自分でコントロールすることはできず、天、すなわち神や自然といった人知を超えた大いなる力のもとに存在しています。『小さな人生論4』に収録されている遺伝子研究の世界的権威・村上和雄先生のお話によれば、一つの生命細胞がこの世に生を受ける確率は、1億円の宝くじが100万回続けて当たるほど希有なことであうそうです。

 かくも尊い命を与えてくれた天を敬い、同じく尊い命を宿した隣人を家族のように愛し、他の国々ともいたわりあえば、争いごとは起こりません。この混沌とした社会情勢の中で、私たちは敬天愛人という言葉が示唆するものを銘記しなければなりません。

『国の基盤となる 文、武、農 をたてなおせ』

 西郷どんは、次のような言葉も遺しています。
「政の大体は、文を興し、武を振るい、農を励ますの三つにあり。その他百般の事務は、皆この三つの物を助くるの具なり。この三つの物の中において、時に従い、勢いに因り、施行先後の順序はあれど、この三つの物を後にして他を先にするは更になし。

( 政の根幹は、文(学問・教育)を奨励して盛んにし、軍備を整えて精強な軍隊を作り、農業を奨励して盛んにする、この三つにある。その他の様々な事務や事業は、皆この三つの物を助けるための道具である。この三つの中で、時勢により、先後・緩急・強弱の差はむしろ政治判断すべき問題だが、この三つの物を後回しにして、その他百般の事業を先にするようなことがあってはならない )
文(教育)、武(国防)、農(農業)は、今の日本にも通じるテーマであり、西郷どんの慧眼に感服させられます。

 1番の教育において、日本は近代大きな誤りを犯していました。ゆとり教育の導入により、習得する学問の分野が非常に狭くなり、とりわけ優れた見識を養うリベラルアーツ(一般教養)が大幅に削減されたことは、憂慮すべきことです。

 近年驚くべき進化を遂げつつあるAIは24時間365日休むことなく知見を吸収し続け、知識の習得において人間は太刀打ちできません。AIにはない人間の強みを生かし、先の見えない時代に的確に対処できるような、優れた判断力を養う教育が求められます。

 2番目の武について言えることは、自分の家を守ることを他人任せにする人がいないように、自分の国は自分で守らなければならないということです。しかしながら、平和ボケした日本は国防の意識に著しく欠けており、財政こそ世界でトップクラスにありながら、その規模に見合った国防の態勢が敷かれていません。緊迫する半島情勢などを鑑みて、有事に対応できる国づくりを早急に進めていく必要があります。

 3番目の農についても、日本は現在食卓に上る食物の多くを海外に依存しているのが実情です。G7の食料自給率を見ると1位のカナダが223%であるのに対し日本は最下位で38%しかありません。
西郷どんの言葉はこのように、今の日本が抱える問題を次々と浮き彫りにしていきます。この偉大な先人の言志を、改めて心に刻み新しい時代に道を切り開いていかなければなりません。