H25年6月20日(金) 一般質問 明比昭治(自民)の質問要旨と答弁要旨
一般質問(要旨)=> 理事者答弁(要旨)
職員の給与減額措置について、どのような考えで実施の決断に至ったのか。
財政構造改革がスタートした平成18年度から、全職員を対象に給与の臨時的な減額措置が実施され、これに伴う一般財源の削減額は累計で200億円を上回る。また、地方分権の進展に伴い、行政需要が増大し複雑多様化する中、定員適正化計画の実施により、平成25年度の一般行政部門の職員数は、平成17年度比で約15%、600人以上の削減が行われている。
このような厳しい環境においても、職員は前向きに職務に励み、地域の安全・安心対策の推進や県産品の販路拡大、さらには観光振興や地域活性化等、様々な分野において着実に成果を上げている。
一方、国は平成24年度から2年間限定で国家公務員の給与減額措置を行ったが、本県と比べ大きく遅れ、職員数も平成14年度からの10年間で約3%の削減にとどまり、十分な行政改革が行われているとは言い難い。
今回、国は国家公務員の給与減額に準じた措置を地方に要請し、これを前提に地方交付税を削減した。このやり方は、地方の実態やこれまでの努力を考慮せず、地方固有の財源である地方交付税の削減により地方財政を圧迫している。地方公務員の給与をコントロールすることは、地方自治の本旨に反するもので言語道断である。
現在、安倍政権は日本経済の再生に向けたアベノミクス3本目の矢を発し、長引くデフレ不況の克服に取り組んでいる。多少明るい兆しが見えてきたが、今回の給与減額措置が地域経済活性化の動きに水を差すのではないかと懸念する。しかし、地方交付税の削減により、結果として県民生活に影響が生じることも否定できず、何らかの対応が必要なことも事実である。
知事は、地方分権に逆行するとして、極めて遺憾との主張を続けてきた。今回の給与減額措置は、国予算の成立を踏まえ、これまでの取組みや職員への影響を考慮し、ぎりぎりの判断により踏み切ったものと推察する。
=> 知事答弁
今回の国からの給与カット要請は、いくつか問題点がある。まずは、ご指摘のあったとおり地方のこれまでの行革努力に全く触れることなく、一方的に地方交付税を削減したということ。ご存じのとおり、ここ数年の行革努力、地方は、職員の定数削減、そして国が一切実施していない段階での給与削減の実施等々に地方は踏み切ってきた。いわば、地方が行ったときには国はついて来なかったわけである。県では、加戸前知事の下で全国の平均以上に職員の給与カットが続けられてきたところであり、今なお管理職以上は給与カットを継続してきた。
また、私も市長という立場で、市町村合併の最前線で仕事をさせていただいた。その間、地方公務員は毎年のように減員を続けてきたわけであるし、また特に市町村議員は、大幅に、合併に伴い削減をしたことにより、ピーク時に6万人いた地方議員は3万8,000人まで、大幅に減少している。
今回、こうした過去の実績については、私自身も、また知事会でも幾度となく主張をしてきたところであるが、国から、その地方の行革努力について明確に触れたということは残念ながらなかった。ともかく、国が給与カットを初めてやったから一緒にやれ、ということであって、これは本当に、実施するに当たっては、この過去の実績・事実と言うものは主張しておく必要があると同時に、多くの県民の皆さんにもその事実・実態というものを知らせておく必要があると思う。
もう一点は、根拠にしているラスパイレス指数の問題である。これについても、幾度となく問題点を指摘させていただいたが、特に表面上、国家公務員を100として、地方の給与水準を比較するということに使われる数字であるが、ここには、地域手当という隠された給与というか、支給額というものが入っていない。例えば東京であれば、地域手当は18%がついているわけであり、表面上ラスパイレス指数が100と出てきても、実際の支給額は118ということになる。
こうした問題点も指摘し続けてきたが、ラスパイレス指数をあくまで、最後まで根拠に、今回の地方交付税削減ということを主張してきたのが国の姿勢であった。こうした問題点は、ぜひ共有をしておいていただきたいと心からお願いする。
残念ながら、こうした地方の声は全く届かず、給与カットを前提に、現実に68億円もの地方交付税が削減されることになり、行革努力等の取組みでこの大幅な削減額を補うことはできないことから、県民サービスに影響を及ぼさないためには、何らかの対応をとらざるを得ないと考えた。このため、苦渋の決断ではあるが、給与カットに踏み切らざるを得ないと判断したものであり、まず、率先垂範として、私の給与減額率を25%から30%にするとともに、特別職全員の減額率を5%上乗せすることにした。
また、職員については、これまでの国を上回る給与カット、行革努力の実績や職員の士気への影響、さらには他県の実施状況等を総合的に勘案して、管理職を除く職員の本給は減額率を国より緩和するとともに、職員の業績等に報いるために全職員の期末勤勉手当は減額しないこととしたものであるが、これに要する財源については、本県が国や他県に先んじて実施している人件費の抑制や、事務事業の徹底した見直し、一層の経費節減等の取組みにより捻出して参りたい。
議員ご指摘のとおり、今回の国の措置は地方分権に逆行するものとして極めて遺憾であり、国に対して、今回のような手法で地方公務員の給与カットを二度と強要しないこと、地方の行革努力を正しく評価すること、ラスパイレス指数による比較は極めて問題があること。この3点について、全国知事会でも主張をしてきたので、今後とも、こうした機会を通じて強く述べていきたいと考えているので、引き続き、議員各位のご支援、ご協力をお願いしたい。
合併市町に対する地方交付税の特例措置終了に向け、県として、今後どのように取り組むのか。
平成の大合併は、人口減少・少子高齢化等の社会経済情勢の変化や、基礎自治体にふさわしい行財政基盤の確立を図ることを目的に、国を挙げて進められた。本県の市町村数の減少率は7割超、全国第4位の合併先進県である。各市町村が、悩ましい選択と難しい決断に向き合い、新しい地方分権時代に向け地域をまとめ、基礎自治体の行財政基盤の確立に取り組んできた。
合併市町では、これまで職員数の削減や給与減額措置等、行財政改革を実施し国家財政に貢献してきた。しかし、合併により周辺部となった地域では、空き家の増加や学校の統廃合等、地域社会そのものの衰退が顕著な地域も出ており、行政に地域社会を守る役割が強く求められている。
普通交付税の合併算定替は、合併後10年間の特例期間に続き、5年間の経過措置を経て段階的に減額される。県内市町の多くが平成26年度末で特例期間の終了を迎え、全体で298億円もの大幅な削減が見込まれている。中でも今治市は74億円も削減されるとのことで、これは同市の平成25年度当初予算の約1割に相当する額となる。
このままでは大幅な財源不足に直面することは確実で、合併によって生じた新たな財政需要への対応どころか、更なる歳出削減に取り組まなければならず、住民サービスの低下等の影響が避けられない。
自民党県連としてもこの問題を重視し、合併先進県の長崎県や大分県とともに、党本部政務調査会長をはじめ幹部に対し、合併算定替終了後の新たな財政支援措置について提言を行った。
=> 知事答弁
平成の大合併は、国において「人口減少・少子高齢化などの社会経済情勢の変化や地方分権の担い手となる基礎自治体にふさわしい行財政基盤の確立」を目的として進められ、県内市町においても、地域の将来を見据えて積極的に合併に取り組み、70市町村が20市町に再編されたところである。
合併市町では、合併後10年間はいわゆる合併算定替として県内合併市町全体で298億円の地方交付税の特例措置が講じられているところである。
しかしながら、合併により広域化・多極化した市町では、旧市町村単位で支所を引き続き設置して地域づくりや集落対策に取り組むなど、合併当初では想定できなかった新たな財政需要が生じていることや保育所、消防署などの運営経費が適正に交付税で措置されていないことなどから、現実には特例措置が講じられていることにより、かろうじて、住民サービスを維持しているのが実態である。
したがって、このまま特例措置が終了し、298億円もの交付税の減額がなされれば、合併市町に大幅な財源不足が生じ、今後の財政運営に多大な影響が生じることを懸念している。
このため県では、県・市町連携推進本部で、合併市町が抱える課題と対策を踏まえた適切な交付税算定のあり方について、県・市町で意見を取りまとめ、今後国に、積極的に提言していくこととしている。
また、先般、自民党県連・公明党県連では、「特例期間終了後の合併市町村に対する財政支援措置について」関連合併先進県と合同で党本部に要望いただいたところである。その結果、自民党では先日、合併市町村への新たな財政支援措置を実現する議員連盟を設立いただき、公明党が党の政策として前向きに検討いただけると聞いており、大変心強く感じている。
議員ご指摘のとおり、今回の市町村合併は平成の大合併として、国における大きな方針の下でいわば国策として進められてきたものである。そして何よりも、合併により愛媛県では合併市町の議員数が約63%の削減、市町首長などの特別職が約80%の削減、さらに職員数は約19%の削減と徹底して行財政改革に取り組んできたところである。
このことを、国は適切に評価をした上で、国策として責任を持って合併市町が将来にわたり安定的な財政運営ができるよう、財政措置を講じていく必要があると考えている。
県としては今後、市長会や町村会における活動に歩調を合わせ、合併が進んだ他県とも緊密に連携をとり、国に強く要請して参りたいと考えているので、議員各位におかれてもご支援を賜るようお願いしたい。
松山・成田線を本県の地域活性化にどう生かしていくのか。また、どのように利用促進を図っていくのか。
平成24年度の松山空港利用状況は、東日本大震災の影響等により落ち込んでいた需要が回復し、前年度比5.7%増の約235万3千人で、6年ぶりに増加に転じた。しかし、各航空会社が収益を重視し路線再編を進める中、地方空港間の競争も激化し、依然厳しい状況にある。
県は、これまで官民で構成する松山空港利用促進協議会を通じて、ポンジュース蛇口の設置や県産品プレゼントによる利用促進キャンペーン等の実施、路線の維持・拡充、利用しやすいダイヤの実現に取り組んできた結果、那覇線の定着や伊丹線の充実等、一定の成果が上がっている。
このような中、知事のトップセールスにより、中四国初の国内線LCC、ジェットスター・ジャパンによる松山・成田線の就航が実現した。成田空港はLCCの就航で国内線が急速に充実し、特に北関東の住民には、羽田空港より身近な交通拠点になっている。さらに、LCCの魅力である低価格運賃は、新たな航空需要を生み出すと思う。
今回の就航は、県民の利便性の向上はもとより、県外からの利用客を積極的に誘致することで、更に地域を活性化させるチャンスと期待する。
知事答弁
大都市圏から遠い本県にとって、県民の移動や交流人口の拡大を図る上で、航空路線の果たす役割は極めて大きいことから、今般のLCC松山・成田線の就航により、東日本や海外へのアクセスの向上はもちろん、本県への誘客促進が一層図られるものと期待している。
御承知のとおり、LCCは低価格の運賃で、気軽に利用できることから、今回の就航を契機に、学生や知人同士の旅行、家族旅行などを中心とした潜在需要の掘り起こしに加え、人口が多く経済規模も大きい、千葉県や茨城県・栃木県などの北関東をはじめ、成田を経由する国内外の観光客を積極的に取り込み、新たなマーケットを獲得することで、「実需」の創出につなげていきたいと思う。
このため、県では、ポスター、チラシにより、LCCの特徴も含め、路線開設を広く県民に周知するとともに、千葉・茨城両県のスーパーマーケットの協力を得て、観光PRや県産品フェアなど、愛媛を売り込む取組みを既に進めているところである。
さらに今後は、北関東地域を中心に首都圏において、トップセールスやキャラバン隊によるキャンペーンのほか、メディア関係者のモニターツアーなどを通して、本県の魅力を積極的に発信しながら、LCCを活用した旅行商品の造成や受入体制の整備など、誘客に向けた取組みを観光業界に働きかけることで、松山・成田線の利用を促進し、県内経済や地域の活性化に、直接つなげて参りたい。
県の南海トラフ巨大地震等による地震被害想定調査の第一次報告を踏まえ、今後、防災・減災対策にどう取り組むのか。
国では最大クラスの地震として、首都直下地震や南海トラフ巨大地震発生の可能性について議論が深められ、最近は、地震の誘発による富士山噴火の話も出ている。正に日本は地震大国であると改めて実感するが、本県にとって最大の脅威は南海トラフ巨大地震であり、甚大な被害の発生が想定されるため、更に対策を強化しなければならない。
このため県では、昨年度から南海トラフ巨大地震が発生した場合の詳細な被害想定調査を実施し、6月10日に第一次報告として、県内の震度や津波高、浸水域、液状化の危険度等の推計結果を発表した。最大震度は13市町で7、残る市町も6強、最大津波高は宇和海沿岸で9~21m、瀬戸内海側で3~4m、津波による浸水域は県全体で約1万2千haに及ぶなど、想像を絶する事態になるとの推計が示された。この結果により、県民が諦めの気持ちを持つことを危惧するが、備えによって被害は大きく軽減され、生命・財産を守ることができるとの考えを持つことが大切である。
今後、行政、地域、企業、県民がそれぞれ果たすべき役割を考え、行動に移し、社会全体でこの脅威に立ち向かっていかなければならない。そのかじ取り役を担う県が、市町、県民をリードし、県全体で南海トラフ巨大地震対策に向き合い、県民の生命・財産を守る取組みを進めてほしい。
知事答弁
今回の地震被害想定調査は、国の最新の知見をもとに、本県に大きな影響を及ぼす5つの地震を調査対象として、市町ごとのより詳細な被害状況を推計し、今後の防災・減災対策に生かしていくことを目的としており、先般、震度分布や津波浸水域等について公表したところ。
想定結果は、県全体で見ると、揺れや津波等の全ての項目において南海トラフ巨大地震による影響が一番大きく、ほぼ全域で震度6弱以上、津波浸水域は国の想定結果の約2.8倍に拡大している。特に浸水域については、数字上大変厳しい結果となっているが、これは、前提が重要であり、この前提を県民の皆さんに知っていただきたいと思うが、地震の揺れによって、その段階で全ての防潮堤が壊れてしまうという、極めて確率は低い、地震発生と同時防潮堤が全て破壊するということを前提にした推計になっている。それ故に、確率は極めて低いわけであり、県民の皆さんには、数字に振り回されることなく、冷静に受け止めて、最悪の場合にはそこまで浸水という可能性がゼロではないということで、津波からはとにかく逃げるという意識を持っていただきたいと考えており、そうしたことも含め、今後、今回の被害想定調査を踏まえた防災・減災対策を一層推進していく必要があると思う。
このため、この度、新たに県と市町等で「広域防災・減災対策検討協議会」を立ち上げ、南海トラフ巨大地震対策を検討していくこととしたところであり、今後取りまとめる人的・物的被害及び経済被害等も踏まえ、広域応援の受入れを視野に入れた広域防災活動要領や被害軽減策を盛り込んだ減災プログラム等の策定のほか、新たな課題の抽出・対策の検討にも取り組み、一人でも多くの県民の命を守り、被害が最小限に抑えられるよう、総合的な対策を推進していきたいと思う。
また、県においては、これまでも東日本大震災の教訓等を踏まえ、建物の耐震化や津波から逃げるための避難路の整備など、急を要する課題については、国の方針を待つことなく迅速に対応してきたところであるが、南海トラフ巨大地震のような大規模災害に対しては、公助ばかりでなく自助・共助の果たす役割が非常に大きいことから、「正しく恐れる」という観点のもと、県民や自主防災組織、企業、防災関係機関等と連携し、チーム愛媛で防災・減災対策に取り組んで参りたいと思う。
伊方原発3号機の再起動に係る状況と見通しはどうか。
先般、伊方原発3号機の異常通報連絡が遅れたとの報道があった。正常状態以外の全ての事態を事業者から報告させ、県がランク分けして公表する「愛媛方式」が、福島第一原発事故を踏まえ再徹底されていると信じていただけに、今回の事案は残念極まりない。
このような報告の遅れは、原発そのものに対する県民からの信頼に亀裂を生じさせ、隠ぺいは信頼を失墜させるものとの認識を、改めて四国電力に徹底させ、原因究明と再発防止を強く要請してほしい。
安倍首相は原発の再起動について、原子力規制委員会の新しい規制基準に適合すると認められれば、再起動を進めていく旨の考えを表明した。また、5月に設立された自民党の電力安定供給推進議員連盟が、設立趣意書に「原発再稼働の可否は安全第一の原則の下で順次判断する」と明記するなど、原発再起動の早期実現を目指す方針を表明している。
伊方原発の全機停止から約1年5か月を迎える四国電力では、火力発電の燃料費増加等に伴い電気料金の値上げを申請している。しかし、県が1月に実施した「電気料金値上げによる県内企業への影響」の調査では、10%値上げの場合で約7割の企業が悪影響ありと回答している。伊方原発の停止は、広く県内経済、ひいては県民生活にまで影響を与えるものと認識する。先月、料金値上げに関連して、核燃料税更新の報道があり、新たな課税方式である出力割を検討しているとのことで、その動きにも関心を寄せている。
また、今夏の電力需給について、四国電力は、電力の安定供給に最低限必要な予備率3%以上を上回る5.9%を確保できるとしているものの、これは5.2%の節電を前提とするものであり、安心して県民生活や経済活動を行える状況ではない。
一方、原子力規制委員会は、新たな規制基準の条文案を公表した。この案は、基準津波を策定し安全評価を行うことや、活断層上に安全上重要な施設の設置を禁止するなど、福島第一原発事故の教訓や最新の知見等を踏まえた内容となっている。
知事答弁
お話しの四国電力の報告遅れについては、誠に遺憾であり、直ちに厳重注意するとともに、徹底した原因究明と再発防止策の報告を求めているところである。四国電力には、今回の問題の大きさをしっかりと受け止め、愛媛方式による通報連絡体制が県民の信頼を得る上でいかに重要であるかを再認識していただきたいと思う。そしてその上で、信頼回復に努めていただきたいと思う。
御質問にあった原発の新たな規制基準については、東京電力福島第一原発事故の教訓や最新の技術的知見、IAEA等国際機関の安全基準や海外の規制動向等を踏まえ、過酷事故対策や津波、火災、テロ等への対策が追加されており、高い安全性を確保するための厳しい基準になっているものと認識している。
新規制基準は、昨日の原子力規制委員会において決定されたところであり、7月8日予定の施行後は、原子力事業者から許可申請のあった施設について、原子力規制委員会において審査されることとなるが、新基準に基づく初めての審査であり、あらかじめその終了時期を特定できるようなものではないと聞いている。
原発の再起動については、県内経済をはじめ様々な影響があることは承知しているが、何よりも安全性の確保が大前提であり、原子力規制委員会には、厳格かつ的確に安全審査を行うとともに、その結果について、根拠も含め、国民にわかりやすく丁寧に説明していただく必要があるものと考えている。
県としては、これら安全性も含めた国の考え方、そして政府の姿勢が示されれば、四国電力の取組姿勢、地元の理解を踏まえ、最終的に総合的判断していくこととしているが、それ以前に四国電力が今回の報告遅れに対してどう取り組んでいくのかを、現時点では厳しく見極めさせていただいているところである。
西条第1防波堤の整備状況はどうか。また、東予港における耐震強化岸壁の整備に、今後どう取り組むのか。
東予港は、四国第2位の製造品出荷額を誇る西条市が主な背後圏であり、産業活動や人・物・文化の交流を支える拠点港として、また本県と阪神地域を結ぶフェリー航路を有するなど、地域の発展に貢献している。
経済社会活動のグローバル化やアジア諸国の著しい経済成長により、更なる産業競争力が求められる中、東予港は、取扱貨物量の増加や船舶の大型化に対応できる港湾施設の充実、港の安全確保のための防波堤、堤防の早期整備が重要な課題となっている。
特に西条地区は防波堤が未整備のため、波浪により今治造船の艤装中船舶が大きな被害を受けるなど、沿岸部の工場施設や一般住宅で、度々越波・浸水被害が発生し、産業活動や市民生活に支障や不安を与えている。現在、整備を進めている西条第1防波堤は、港湾の静穏度を向上させ、沿岸部に立地する企業の安定した生産活動を支え、住宅地への浸水被害を防ぐ重要な役割を果たすものである。
また、東予港では東南海・南海地震への備えとして、耐震強化岸壁を整備することで、フェリー等により救援物資や復旧資材等を大量に輸送し、被災地救援を速やかに行うことが可能になる。
先月20日、東予港港湾整備促進期成同盟会が開催され、早期整備について関係各方面に対し強く要望していく旨の決議が行われた。
土木部長答弁
東予港は、地域における企業活動や物流の拠点であり、また、愛媛県地域防災計画で位置付けられた防災拠点としても極めて重要な港であることから、県では、岸壁や臨港道路などの整備に積極的に取り組んできたところ。
このうち、西条第1防波堤は、平成23年度から、費用の一部を受益者である企業が負担し、平成28年度の完成を目指して整備を進めている。これまでに地質調査や詳細設計を終え、現在、関係漁協と漁業補償の交渉を行っているところであり、交渉妥結後は、ケーソンの製作など本格的に工事を進めることとしている。
また、東予港は、大規模地震発生直後の緊急物資の海上輸送などを担っているが、先般、公表した地震被害想定では、発生頻度が極めて低いものの、あらゆる可能性を考慮した最大のケースで、西条市の最大震度は7となり、臨海部は液状化の危険性が高くなっていることから、改めて岸壁の耐震化の必要性を認識したところである。このため、県としては、国や西条市と連携して、耐震強化岸壁の早期整備に向けて取り組んでまいりたい。
警察施設の耐震化について、今後どのように進めていくのか。
県警では、大規模災害によって警察署等が倒壊した場合に、市町の施設や他の警察署等に直ちに災害警備本部を設置して対応できるよう、代替施設の利用に関する協定を締結し、警察署機能の移転訓練も行っていると聞く。
しかし、まずは地震等による自らの庁舎の被害を最小限に食い止めなければならない。西条西警察署も老朽化が著しく、庁舎が被害を受ける可能性が高いのではないかと憂慮する。
県は、防災上の重要拠点となる警察施設の耐震改修又は建替えによる耐震化を進め、県民の安全・安心の確保に努めてほしい。厳しい財政事情であることは理解するが、災害時の司令塔となる警察施設の耐震化は喫緊の重要課題と考える。
警察本部長答弁
警察署は、災害発生時において、情報収集・提供、避難誘導、被災者の捜索・救出救助、緊急交通路の確保などの災害対応の拠点となるものであり、議員ご指摘のとおり、その耐震化は喫緊の課題と認識している。
このため、警察署庁舎については、平成20年度から耐震診断を実施するとともに、現在は、平成25年10月完成を目指して今治警察署新庁舎の建設を行っているところであり、計画的な耐震化に努めているところ。
こうした中、県下の16警察署のうち、昭和56年以前に旧耐震基準に基づいて設計・建築された庁舎は、今治警察署を除き8警察署あるが、県は厳しい財政状況にあることから、各庁舎の老朽度合や耐震強度等に応じ、計画的に耐震化を進めていきたいと考えている。