西条市を前に進めよう(2016/12/1)

西条市長に「玉井敏久」さん。当選!

 11月20日に投票で行われた西条市長選挙は3人の戦いとなったが、即日開票の結果、新人で前県議会議員の「玉井敏久」さんが、31,022票を獲得し、初当選を果たした。
現職の「青野勝」さんは、22,919票、もう1人の新人「西田直人」さんは、1046票だった。投票率は59.67%と、激戦が予想された割には前回よりも4ポイントも下回る結果であった。

 私は「玉井候補」を市民団体『西条の明日を創る会』の皆さんと応援させていただいたが、現職を8,103票の差をつけて当選するとは思いもよらない結果だった。それというのも運動の基盤が寄合の市民草の根組織で、日ごろ私たちの取り組む選挙とはちょっと違った感じがしたものだった。
 だが県内各地で今年の選挙で新人が当選したような、流れを変えよう、前に進めようと若返りに対する期待の流れもあったのだろう。前回の激戦が繰り返されるのではとの大方の予想に反して、「新人」への期待が勝ったのだろう。
 玉井新市長には市民の期待に反することの無きよう肝に命じて頑張って、明るい西条を、そして「前進」が感じられる街づくりに取り組んでほしい。

 いずれにせよ戦いを終えられた3人の候補者にはご苦労さんでしたとご慰労を申し上げたい。
選挙は結果が出ればノーサイド、前青野市長のご苦労もたたえ、引き継ぐべき政策は市民のために推進されなければならない。しこりを残さず爽やかな「西条市」を築きましょう。その市民一丸の取り組みが「自慢ができる」郷土づくりのベースです。

世界情勢混迷の中、如何進む「日本」

 アメリカの大統領選挙では共和党のトランプさんが当選、最も信頼関係を深めて取り組んできたアメリカと日本の関係であるが、オバマ民主党政権と厳しい協議を重ねてきた結果、日本も譲歩し何とか合意を目指していたTPP貿易協定が、トランプさんは協定しないと言明している。協定しないということは貿易で「関税」をかける保護主義を通すということで、景気動向が非常に不安定なことになるのだろう。雇用問題にも大きく影響する。また、日米安保の在りよう、基地の負担の在りようなども、日本に厳しくなりそうだ。

 そんな中、韓国では大統領がスキャンダルで支持率も5%を切り、退陣を求められる騒動が起こっている。北朝鮮は今年何度も核実験やミサイル実験を行い暴発の危険もぬぐえない、中国は東シナ海や南シナ海でいわば傍若無人に領土拡大を狙う行動に出ている。台湾の総統も何か力ない。フィリッピンの大統領も人道も無視するような言動で掴み切れない。ロシアのプーチン政権と息長くコツコツと関係改善の道筋を築いてきていたのだが、トランプ氏の出現で主導権の駆け引きが始まっているようだ。ヨーロッパはイギリスのEU離脱で混とんとしている。中東ではイスラム国紛争が収まらない。

 いま世界は混迷の最中にある。安倍総理も世界各国を精力的に訪問し、各種会議にも積極的に出席し発言をされ、日本の存在感を高められているのだが、非常につかみづらい思いをされているのではないだろうか?
 いま国益を守り、国の平和と安定を守るためには、みんなで冷静に協力して、これまでにない、平和裏にこの難局を乗り切らねばならない。

 平成28年も、師走には整理整頓し、無事つつがなくおくれ、新しい年を迎えましょう。

着眼大局着手小局

月刊『致知」2016.12月号【巻頭の言葉】より引用  ウシオ電機会長 牛尾 治朗

『これからの70年はどうあるべきか』

 戦後70年が経過し、日本は大きな歴史的転換点に差し掛かっています。
奇しくも、日本が敗戦を迎えたのも明治維新からおよそ70年後の事でした。
とりわけ最後の20年が激動の時代であったように、この20年で世界は劇的な社会変化を遂げており、不思議な歴史の符合を感じます。
私たちはいま、重要な節目に立っていることを自覚し、これまでの70年の歩みを踏まえ、これからの70年のあり方を考える必要があります。
 
 戦争に負けた日本では、マッカーサーによって戦争放棄と平和憲法の制定、組合活動の公認、家督相続の廃止、学制改革等々、大胆な改革が次々と行われ、社会の様相が一変しました。 
さらに、公職追放によって戦前の日本を支えていた層が退場させられ、40歳代の若い世代がリーダーとして新しい日本を牽引していったことも、社会の変化に拍車をかけました。

 ほどなく世界は東西冷戦時代に突入し、西側陣営に組み込まれた日本は、アメリカの庇護の下で、複雑な国際情勢に翻弄されることもなく、一国繁栄主義を貫いて奇跡の高度成長を遂げました。

 ところが冷戦の終結によって世界の情勢は一変し、日本もアメリカさえ見ておけばよかった時代から、国際的な見識を持って自立して歩んでいかなければならない時代に入りました。

 こうした時代に銘記しておきたいのが、「着眼大局、着手小局」という言葉です。
 着眼大局とは、広い視野で物事の要点や本質を見抜く事。着手小局とは、細部に目を配り、目の前の重要なことから具体的に手をつけていくことです。

『大国を治むるは小鮮を烹るが若し』

 いまの時代、案外難しいのは着手小局のほうかもしれません。
このグローバルな時代においては、政治もビジネスも日本とは異なる他国の事情に適切に対処しながら展開していかなければならないからです。

 ウシオ電機がアメリカで最初に工場をつくったオレゴン州のポートランドは、当時は他州との交流にも乏しかったことから独特の地域のカラーをもっており、工場運営を円滑に進めていくには、それをよく理解しなくてはなりませんでした。
特に印象的だったのが、勤務時間中に社員が社会還元について議論する時間を設け、会社もそれに資金援助をするという習慣でした。

 海外との交流が一層盛んになる今後は、こうした未知の事態に直面する機会もますます増え
ていくことでしょう。
 その際に指針となるのが、『老子』の「大国を治むるは小鮮を烹るが若し」という言葉です。
 小魚を煮る時にあまり引っかき回すと、身がバラバラになって食べられなくなってしまいます。
同様に、大国を治めるには形を崩さぬよう、寛容を旨としてこまごまと細部にわたって干渉せぬ
ことが大切であるという訓戒です。
 
 今後は国の枠を超えてグローバルに活動する機会がますます増えていきますが、その際は思想も感性も異なる異国のスタッフが納得できるような形で物事を進めていくこと。まさに小鮮を烹
るが若く、細部にまで丁寧に目を行き渡らせながらも見守っていくことが重要です。

 時代が大きな転換期に差し掛かっていることを十分に自覚した上で、日本が次の70年にいかなる道を歩んでいるべきか、私たちはしっかり見極めなくてはなりません。