不要不急の外出控えて夏休み(2020/8/1)

感染拡大第2波の始まり

 年初から始まった新型コロナウイルスの感染拡大は、我が国では「緊急事態宣言」を発して、5月のゴールデンウィークまでに何とか封じ込めをとの思いを込めて「マスクの着用や消毒など感染予防の実施」「不要不急の外出自粛」「人と人の接触に距離をとって密接や密室・密閉状態のいわゆる三蜜を避ける」など、国民が一丸となっての取り組みを要請してきました。

 さらには企業にも在宅でのテレワークの推進、学校も長期休校の措置をとるなど、過去に例のない取り組みも行われました。医療関係の皆様の自己の犠牲も顧みないほどの、献身的な努力をいただき、その結果6月は一定のおさまりが期待できる傾向も見られたのだが、やはりホームステイのストレスもあってか、またいわゆる夜の街の社交場で、経済的にも経営が立ち行かなくなる板挟みもあったのでしょう、営業されたお店にお客さんが集まり、若い人を中心に感染が広まり、さらに特定できない市中感染が起こり、経済活動の規制も強制がままならず、混乱を招き、打つ手がちぐはぐ、ゴテゴテの感もあり、封じ込め・囲い込みに至らず、7月に入ってから第2波を招いたかのような状態になっている。

 また「緊急事態宣言」を発して、国民の命とくらしを守るために、これまでの学習を生かして規制すべきは規制し終息を図る方向に全力を入れなければならないと思うのだが、政府は国民の経済社会活動との両立をと、一方では外出自粛をと呼びかけながら、一方では旅行(GO TOキャンペーン)で人の移動を促す、所謂ブレーキとアクセルを同時に踏むようなパニック状態さえ引き起こしている状況だ。

 国民の命を守る使命感が、現状ではこの国の体制で全くちぐはぐだ。犠牲になるのは国民であり、どこまで行っても国民がしりぬぐいをしなければならなくなるのだが、対策事業も砂漠に水をまくような結果になったのではならない。

 今年は梅雨が1月以上も続き、日照不足で野菜も不作で高騰しているようだ。梅雨の前にはコロナ対策で消費が外食や学校給食が減り、野菜余りの現象もあったのだが、農家も大変だ。

 また梅雨前線の停滞により「線状降水帯」現象から、九州から中部・東北まで各地で豪雨による災害が発生して、大きな水害が発生、多くの犠牲者も出ている。四国では2年前のような被害は出なかったのだが、被災された皆さんに心からお見舞いを申し上げたい。

 7月末をもって、やっと四国地方も梅雨が明けました。

「明けない夜はありません」
お盆には「ご先祖様に命をいただいていることに感謝しましょう」

  災害ボランティア活動もコロナの関係で、他県への支援が断られる状況で、被災地の片づけがままならない状況のようで、いろいろなことで2重苦・3重苦の試練を受けているようなことが続いておりますが、「明けない夜はありません、みんな頑張りましょう。」

 今、人間の価値、人の心根が問われているのかもしれません。自分一人が苦しいのではないのです。みんな苦しいのです。だがみんなで寄り添い、明日を待つ心があるから頑張れるのです。みんなで頑張りましょう!!

 お盆の帰省も今年はままなりにくいですが、ご先祖様も許してくれます。心のなかで手を合わせ、今を生きる命をつないでもらっていることに感謝しましょう。

諦めずに、地道に、収束への努力を

月刊『致知」2020.8月号【巻頭の言葉】より引用 
千 玄室(茶道裏千家前家元)

『百年の時を経て再び直面した試練』

 人類の歴史は、常に未知の疾病との闘いであったのではなかろうか。
 近代医学がこのように発展する前には、人々は治療の術を持たなかった。古くは『源氏物語』を繙いても、病に罹れば僧侶や陰陽の術士が呼ばれ、悪鬼退散の加持祈祷を行っている。そして薬用になるといわれるものを摂取していた。

 いまは飲用として誰もが親しんでいるお茶も、中国、そして朝鮮半島を渡って日本へもたらされた当初は、薬用効果を持つものといわれ、高貴な方々のみが嗜んでいた。時代とともに皆が喫するようになり、現代の研究でカテキンなどの薬用効果が改めて認められている。

 今回の新型コロナウイルス感染症には解明できない部分が多いと聞くが、百年前に大流行した「スペイン風邪」が類似しているとされる。

 スペイン風邪といわれているが、発生地がスペインではないことはご存じであろう。第一次世界大戦時、スペインは中立の立場をとっており、そのために報道統制が敷かれず、感染者及び死者の実数などの事実をそのまま公開し世界に知らしめたためについた名前である。発生地には諸説あるが、アメリカだというのが有力であり、欧州にはアメリカ兵が持ち込んだとされている。

 当時、人類史上最悪の感染症であり、最初のパンデミックといわれている。世界的には第一波は一九一八年三月で、その後第三波まであったが、興味深いことに日本における第一波は七か月後の同年十月からであった。瞬く間に世界に拡散された現在の状況と比べると、当時の主要な遠距離交通手段が船であり、国と国との距離にまだまだ大きな隔たりがあったことが窺える。そして日本の第三波は一九二〇年からであり、奇しくも百年の時を経て今回の感染症が起こっている。

『世界規模の感染拡大をいかに収束させるか』

  この時代はまだ医学が発達しておらず、当然原因の究明や薬の研究などできてはいなかったため、それこそ神頼みに走ったことであろう。ではなぜ収束したのか。スペイン風邪は世界規模で拡散し、死亡者も甚大であった一方、生き残った人たちは抗体を獲得し、それが感染の減少へと繋がり、自然消滅的に収束したといわれている。

 今回の感染症に関しても、海外にはこの方法での収束を試みた国もあったが、たとえ抗体ができても繰り返し罹るリスクがあるとされたため方向転換を余儀なくされた。

 今回のウイルスは、どのように収束するのであろうか。
 現代はこれだけ医学が発達しているにも拘らず、世の中には未だ治療薬がない病気がある。多くは五歳以下の子供が罹る「ポリオ」もその一つである。

 私は国際的組織であるロータリーの京都クラブに属しており、そこでは民間による国際的な公共保健イニシアティブとしては史上初で、かつ最大規模となる「ポリオプラス」を一九八五年より開始している。

 ポリオに治療薬はないが、ワクチンを接種することによって予防できる。ポリオプラスは、発展途上国でそのワクチン接種を支援する運動である。ポリオは九十九・九%撲滅されているが、どうしても百%にならないのだ。感染者がやっといなくなったと思った国や地域に、また感染者が出るのである。しかし、私たちは諦めずに、地道に、撲滅へ向けた努力を重ねている。

 今回の新型コロナウイルス感染症についても、油断することなく、気を引き締めて対処することで、早期に収束へと向かうことを念じてやまない。

 今回の新型コロナウイルス感染症についても、油断することなく、気を引き締めて対処することで、早期に収束へと向かうことを念じてやまない。