「五月の鯉のぼり」(2024.5.1)

春のゴールデンウィーク如何お過ごしですか?

 長い休みのとれる人は今年は、4月27日から5月6日までの10連休と思い切った休みを取ってリフレッシュする方も多くいらっしゃるのではないかと思います。最近は20年ほど前のように、連休で休みをとることに気が引けるような社会環境にはなくっていますね。むしろ大いにリフレッシュ休暇や、育児休暇を推奨される時代となっていますね。

 ただ、まだ多少コロナ感染に対する取り組みの名残というか、癖というか、思いっきり外に出て、仲間と色々な取り組みを計画しようとの気分に多少遠慮というか思い切りが弾んでいない世間の空気もありますね、早く社会全体で開放的で、前向きな創造を生み出すエネルギーを発出する空気感にしなければなりません。

 円安の効果もあるのか、外国から日本への入国者状況はかなり回復しています。中国がコロナと続く福島の原発事故処理水で、日本との往来を制限し、殆ど行き来がないので全体数字としては回復していないのが、全体数字を下げている状況ではあります。外国旅行はともかく、国内での旅行を回復させましょう。

 会議はリモートの活用も排ガス削減のためには必要かもしれないが、やはり人間は心の作用か大事ですから、大いにリフレッシュに役立つことには一層取り組みたいものですね。新入生や新入社員には5月病といって、新しい環境に溶け込む戸惑いも見られるようなこともあるようですが、皆で見守り励まし頑張りましょう。 

 さて4月17日の午後11時15分頃、愛媛県愛南町沖の豊後水道沖で、震度6の地震が発生、南海トラフ地震への誘導につながらないかと肝を冷やしました。西条市では震度3で、これから寝ようかとした時、かなり揺れを感じましたが10秒ほどで収まり、テレビでの情報やその後の報道でも、能登半島や熊本地震のような重大な被害がなかったようで、一安心です。

 しかし、これを誘引に南海トラフ地震へと連動しないかと危惧するものですが、専門家の解説ではマグニチュードを見ても、南海トラフへの連動影響は直ちにはないと言われており、気は休めているが、気を緩めてはいけないだろう。大きな被害を未然に防ぐための大切な個所は、重点的に再度見直し、対策工事などが急いで取り組まれたい。

 色々内憂外患の多難が多いのだが、国の政治状況は政治家に資質が問われる、金やスキャンダルに絡むことで、大切な外交や平和維持の問題の我が国の指針・内政としても円安・物価高・少子化・人口減少・災害対策などなど、一向に前が開けて見えてくるような状況にないことは、非常に残念ですね。
マスコミの報道の在り方についても、三面記事の視点中心でなく、健全な国家社会の在り方を問い直す視点が中心であって欲しいと思います。いずれにしても「五月の空に泳ぐ鯉のぼり」のように腹の中に変なものをため込まず、空っぽにして悠々と、風任せ堂々と泳ぐ姿に、学びたいものです。

 総理がアメリカ大統領と会談や議会で演説し、世界の同盟者と平和を守る方途を探る努力をしているのに、国民の支持が回復しない、国会の混乱で自民党の支持が党員でさえ回復せず見放すような状況だが、みんな野次馬感覚でいいのだろうか?この国の主体はどこにあるのだろう?私も政治に深くかかわる一人として、残念で憂うる毎日だが、余りにも無力ささえ感じてならない日々である。
 
みんな、平和な社会づくりを目指して、良い風を吹かそうではありませんか! 

君子は諸を己に求む。小人は諸を人に求む
        ―『論語』衛霊公第十五 ―

月刊『致知」2024.5月号【巻頭の言葉】より引用 
JFEホールディングス名誉顧問 數土文夫

~ 国家の大事にも 無策状態の日本 ~

 日本のGDPがドイツに抜かれ、世界第四位に陥落しました。内閣府の発表では、日本の二〇二三年の名目GDPはドル換算四・二兆ドル、ドイツは四・五兆ドルとなっています。

 日本は一九六八年に西ドイツを抜き、アメリカに次いで世界第二位に躍進しました。この地位を長く保持していたものの、二〇一〇年に中国に抜かれ、世界第三位に後退。中国の当時の人口は日本の約十倍(約十三億人)ですが、今回は人口が日本の約三分の二(約八千四百万人)のドイツに抜かれたわけです。

 この間、日本は漠然と「失われた十年」、さらには「二十年、三十年」と繰り返すのみで、国政レベルでの十分な解析、効果的な対策の立案、実践が不十分でした。 国家の大事であるにも拘らず、国会・マスメディア・学識経験者の間で、侃侃諤諤の論戦は行われたでしょうか。 「失われた時代」と言うのみで結果的にほぼ無策であったことは、残念でなりません。

~ 不適格な政治家を 野放しにしたのは誰か ~

 その一方で今日、マスメディア・政治評論家・学者も交えて大々的に取り上げられているのは、政党派閥の裏金問題です。政党交付金として三百十五億円余りを負担している国民からすれば、真に不明瞭で不誠実、腹立たしい限りです。特に見苦しく、いじましいのは、当該政治家の説明能力の幼稚さ、責任感や倫理観の欠如です。このような政治家には即刻退場を願わなくてはなりません。

 しかし、ここで省みなければならないのは、彼らを選ぶ権限は選挙人たる我われにあったということです。彼らを国政選挙で選び、そして野放しにしてきたのは、他ならぬ我われです。責任は当該政治家だけにあるのではなく、根本的にはいま、彼らを糾弾している我われにこそあるのです。

 日本の国政選挙における過去三回の平均投票率は、衆議院で五十四・〇九%、参議院は五十一八五%でした。不祥事への厳しい不満のわりには、我われ選挙人の半数近くが国政参画の権利と義務を放棄しているのです。政治家への批判は、天に睡しているようなものともいえます。

 国際的な研究機関 「民主主義・選挙支援国際研究所」の二〇二〇年調査によれば、日本の国政選挙投票率順位は百九十四か国中、百三十九位という惨状です。ちなみにオーストラリアやシンガポールでは、棄権者には罰金を科し、より厳格に社会的責任を求めています。

 約二千五百年前、古代中国の偉大なる教育者・孔子は弟子に、
「君子は諸を己に求む。小人は諸を人に求む」

と諭しています。即ち、上に立つ立派な人物は、周りに起きた諸々の過誤や失敗に対して謙虚に反省し、自ら責任を取る。しかし、未熟で卑怯なる者は、自らの過誤や失敗をも他人のせいにして反省などしない。小人(卑怯者)にはなるなと。

~ 心に刻んでおきたい 「信無くんば立たず」 ~

国別順位の話題をもう一つ。冒頭、日本がドイツに抜かれたことに触れましたが、逆にドイツを抜き返した話です。

 昨年十一月、世界的に著名な市場調査会社のイプソスが二〇三三三年「アンホルト―イプソス国家ブランド指数」(NBI) を発表しました。本調査は六十か国を対象に、「輸出」 「ガバナンス」「文化」「人材」「観光」「移住と投資」の六つの分野でそれぞれの国家の評判・評価を指数化、ランク付けしているものです。 調査は二十か国の十八歳以上の成人約六万人の協力を得て、二〇〇八年から継続的に実施、公表されています。

 この指数でドイツは過去六年間連続して一位。日本は二〇一九年五位、以来毎年順位を一つずつ上げ、二〇二三年、ついにトップに立ったのです。

 ちなみに、二位以下の順位はドイツ、カナダ、イギリス、イタリア、アメリカ、スイスと続いています。NBIは「国家の品格指数」といえるかもしれません。日本のマスメディアがこの快挙をほとんど取り上げていないのが不思議であり、怠慢とも思えます。もちろん慢心してはいけませんが、大切にすべき指数だと思います。

 孔子はまた、「信無くんば立たず」とも説いています。国の内外に共通して理解され得る言葉であり、表題にも重なる大切な教えとして、心に刻んでおきたいものです。

孔子はまた、「信無くんば立たず」とも説いています。
国の内外に共通して理解され得る言葉であり、表題にも重なる
大切な教えとして、心に刻んでおきたいものです