愛媛県議会 議員海外派遣 研修事業 参加報告

日 程 2013年11月7日から11月16日
参加者
 ◎公的訪問団《23名》
  【愛媛県】(6名)知事 中村時広・経済労働部長 神野一仁・国際交流課長 大森文雄・
         国際交流係長 武智公博・国際交流主任 戸田政治・秘書課秘書 末廣祐之
  【愛媛県議会】(9名)議長 竹田祥一・議員 明比昭治・議員 三宅浩正・議員 大西誠・
         議員 越智忍・議員 兵頭竜・議員 古川拓哉・議員 福田剛・秘書 石丸浩章
  【市・町会】(8名)今治市長 菅良二・(秘書課長)矢野隆治・八幡浜市長 大城一郎・
        (市議会議長)大山政司・(政策推進課専門員)井上洋一・松山市副市長 
        遠藤美武・(秘書課主査)清水太郎・鬼北町長 甲岡秀文
  〇民間訪問団《10名》(愛媛県海外協会)
          会長 井上善一・幹事 勝田泰博・事務局長 上野公広・(会員)上野日登美・
          松森国彦・松森温子・瀧澤孝安・柳瀬初美・田房七七重・山中隆徳
  〇報道機関《2名》
          南海放送 三谷隆司・愛媛新聞 高橋正剛        
主たる目的 
  ○ブラジル愛媛県人会創立60周年記念式典参加 交流と視察
  ○パラグァイ愛媛県人会 訪問交流と視察

日程による事業内容の概要
〈11月7日〉松山空港を11時50分に出発、成田空港を17時45分に出発予定のユナイテッド
航空で、アメリカのニューアーク空港経由で、
〈11月8日〉10時40分にブラジル・サンパウロ空港へ、成田で電子機器の不具合を調整中で、出発が15分遅れるとの案内から3時間後にやっと出発し、どうなることやらと心配したが結局ビデオや音楽の機器が使えないでアメリカまで。出鼻をくじかれ心配したが、8日の朝10時40分に予定時刻に、結局トータル約35時間で松山からブラジルに到着した。(帰路も同じような時間を要す)。
 西村県人会長以下役員の出迎えを受け、早速サンパウロ州議会へ州警察の先導を得てバスを優先走行で州議会へ表敬訪問、副議長のジョージ・羽藤(父は今治出身)が出迎えてくれた(彼によりパト先導が手配された)。

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 議長との面談の後、日本総領事館(福嶌総領事)を訪問、サンパウロに住む日系人は約100万人(愛媛ゆかりは累計で約5000名)や185社の日本企業の活躍ぶりなど説明を受けた(西条出身の坪井領事も同席)。
余談だが、総領事館はビルの一室を借りているのだが、ここへ入るには2重3重の警備セットを通らなければ入れない。如何に治安が悪いかということで、総領事には2名のガードマンが常に付いているそうだ。

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その夜は役員との交流会。


〈11月9日〉8時出発でイビラプエラ公園内にある開拓先没者慰霊碑参拝、献花。
   碑石の地下には霊廟があり、平和慈母観世音菩薩像が安置されており、焼香させていただいた。(ブラジル日本都道府県県人会連合会が維持管理し、6月18日の『移民の日』に毎年慰霊祭が行われている。)

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 次に移民70周年祭の記念事業として開設された『移民史料館』を視察。ブラジル移民の歴史である第1回の「笠戸丸」以来の関係書類や、生活の様子などが展示されている。中でも驚いたのは、今上陛下並びに皇后の等身大肖像画(皇太子・同妃の時)が飾られていることであり、国内にも存在しないものだろう。〈写真撮影が禁じられており、写真は撮っていない〉
 次に、県人企業のサクラ醤油(中矢レナットケンジ社長の案内)を工場視察(南米最大のメーカーで欧州にも輸出している)。工場は4か所で稼働している。
充填やラベル貼りなど自動化機械を導入しているが、容量にバラツキも見られ何処の機械メーカーかと尋ねると、イタリア製と聞き、中村知事と2人で日本の食品機械のスピードや精度を説明、愛媛の機械メーカーで対応できるので、検討されたいいつでもメーカーを紹介しますと、愛媛の産業PRに力を込めておいた。

20131109
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 次に、ハウスの花卉栽培で成功している藤原農場(前県人会長の藤原利貞さんの経営で、今は息子さんが約100人の従業者を仕切っている。農場総面積は1,430,000㎡を所有する)視察。サンパウロから北へ約55KM程離れたアチバイヤ市にあり、現地では市行政とも道や開発許可などの必要があるので深くかか わっているのだろう、市長・副市長・議長も農場で私たち
一行を出迎えてくれた(ここでも警察パトカーの護衛先導があった)。
 経営作物の変遷や、風でハウスが倒れたりなどの被害など、苦難の歴史や、それを乗り越えての成功を見聞きさせていただいた。

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〈11月10日〉は、ブラジル県人会創立60周年記念式典が(10年ごとに開催)                 午前10時から12時まで開催され、中村知事から功労者へ感謝状や記念品を贈る  なども行い、約400人の参加者と和やかに歓談交流した。
 西条市黒瀬出身の「丹俊彦」さんが、高齢者表彰(全22名対象者)を受けられるので、同郷としてお会いできると楽しみにしていたが、奥さんの具合が良くないとかで欠席だった。チョトしたみあげを準備していたので、事務局に届けていただくことにした。だが、西条高校57回生の先輩「浅海護也」さんが、久万町出身の奥さんと出席されており、お会いできてうれしかった。
私は式典の最後に、万歳三唱の音頭をとらせていただく栄誉に浴した。
午後は樽酒の鏡割りで祝賀会にうつり、アトラクションではサンバも登場。我が方は野球拳おどりと、私は「伊勢音頭」で盛り上げた。

20131110
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 また、青年海外協力隊を支援する会から、5月人形を届けて欲しいとの依頼を受けて、預かって行ったのだが、これも西村会長に無事お届けできた。
夜は県費留学生OB・海外技術研修員の皆さんと意見交換会。日本とブラジルのつながりの深さや、県人会の強さを実感できた。

20131110
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〈11月11日〉サンパウロを朝出発、一旦アルゼンチンに入国、イグアス国立公園(「悪魔の喉笛」滝)を視察、圧倒されるような大自然と、地球の神秘にふれることができた。何しろスケールが絶大だ。国境のブラジル側のホテルに帰り宿泊。


〈11月12日〉朝7時に出発し、バスでパラグァイへ国境の橋を越えて入国、2時間ほどでイグアス移住地の日本人会(会長 福井一朗)を訪問、町の様子や今後の課題などを聞かせていただいた。ここでも警察に協力し、助成なども行い防犯に連携して取り組んでいるとのことで、やはりパトカーに署長が乗り組んで先導される姿が有った。
 農協が経営する製粉工場の見学・農場(1組合員平均50町歩で大豆や小麦・トウモロコシを耕作)などを視察、さらに学校や診療所も視察できた。
 県人会(会長 篠藤真喜夫)との交流では100人ほどの参加者だったが、初めての県人訪問で、豚の丸焼や赤飯・稲荷寿司・和菓子などの料理も準備され歓待をいただいた。いわゆる戦後の入植者が殆どで、まだ1世が健在で頑張っておられるが、後継者問題よりも2男・3男の就業問題もあると言う。だがみんなで結束してこれらの問題にも、日本人会として750人が絆を深くして取り組まれている。大きな採石場なども会で経営しており、農協事業の拡大と共に就業機会の確保に寄与している。
日本人は信頼されており、さらに日本人魂を伝承する姿や、意思が見てとれ本国の方がしっかりせねばと諭されもした。
その後、記念植樹で「愛媛の森」づくりに一緒に取り組んだ。

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 次に世界最大のイタイプダムの水力発電所(今は2位)を視察、ブラジルが5基、パラグァイが5基の発電機が稼働している。その大きさにも圧倒された。
パラグァイではここで国内(人口約600万人)の電力がすべて賄え、余力の70%をブラジルに売電している。これらの水資源であるパラナ川のイグアスの滝も含め、自然の偉大さに圧倒される。 

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〈11月13日〉イグアス国立公園を今度はブラジル側から水しぶきを浴びながら視察の後、フォスドイグアス空港を立ち、15時40分にリオデジャネイロ空港に到着、夜レストランで大洲出身の野村隆子さん、片山ちずさんなど、4名のリオ在住の方と懇談したが、やはり皆さんシッカリしている、自分の能力をフルに発揮して常にチャレンジの姿勢が伺え、これから日本人の輪を広げたいと話された。私たちから見れば何でスラム街が町の40%もあるような、物騒なところで安心して暮らせるんだろうと思うが、何となくいい加減なところで何とかなるようなところが良くて、日本には帰りたくないという。解ったようで解らない話では有った。ところでブラジルは来年ワールドカップのサッカー大会が開かれる、決勝戦をするマラカナン・スタジアムを視察したが、椅子席で7万人収容の施設が完成していた。
 だが道路や鉄道などのアクセスが見たところで解決できそうにない。ホテルも収容能力が無いそうだ。
次にオリンピックも控えているのにどうなるのだろうと思う。だが何とかするのがブラジルだそうだ。

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〈11月14日〉最後にキリストが両手を拡げた塔のある、コルコバードの丘からリオデジャネイロ市内を一望し、延々の渋滞道路を経て、リオデジャネイロ空港から22時55分に出発、アメリカのテキサス州ヒューストン空港を中継して帰路に就いた。さて帰路の飛行機は揺れること揺れること、何時間も揺れっぱなしで地震で逃げまどう人を助けようと一生懸命になった夢を見る体験もした。
いずれにしても地球の反対側の最も遠いところでも、シッカリ「日本人魂」は生きている。このスピリッツは見習うべきで、今、日本を立て直すのはこの精神を立て直すことが必要だろうと、あらためて確認できた。今後この体験をさらに生かして頑張りたい。


〈11月15・16日〉アメリカヒューストン・成田・羽田を経由して20時50分に松山空港に全員無事帰りついた。
以上、概要報告とする。

■総評
 今回の議員海外派遣事業は、在伯愛媛県人会創立60周年記念式典に、出席の要請が、知事並びに県議会議長にあったのを受けて、県市長会並びに県町長会にも呼びかけ、さらに県海外協会とも過去の例にも習い共同して実施計画が作成されたものに、議会内から参加希望が募られ、議会の承認を得て参加することができた。貴重な体験の機会であり今後の議員活動の中でも、世界感覚を視野にしながら、国際協力の意義や大切さを、更にはその原点となる「日本人の魂」を誇るべき道徳として守り継ぐ必要性を、外から見つめ直してあらためて気づき確認した。

 青年を中心に就学や職業体験などを支援し、交流する機会をこれまでも続けているのだが、これらによってまいた種がいろいろなところで世界規模での視点で活躍の場を拡げ貢献、相互理解の世界平和に生かされることも強く感じ、一層これらの事業の充実にも力を入れたい。
空があくまで青く、夜空に天の川がはっきり見える空を久しぶりに見た。この環境を守るため、森林の必要性を南米の国々も気づき取り組みも始まっている。

 移住者によって多民族国家で、治安が落ち着かせにくいのが難点のようだが、経済成長により教育が向上することを期待したい。先進国としてこのことにも我が国が範を示されるようになりたいものだ。