代表質問と答弁の要旨

9月16日(金) 代表質問 明比昭治(自民)の質問要旨と答弁要旨

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野田新政権に対し、どのような政治姿勢で臨むのか。これまでの民主党政権に対する評価も含めて問う。

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 東日本大震災で学んだことは、政治のリーダーシップの重みと、人々を奮い立たせる明確で力強いビジョンの必要性である。

我が国は、以前から巨額の財政赤字、TPP参加の是非、持続可能な社会保障制度の構築といった様々な構造的問題を抱え、危機的状況にあったが、震災により更に深い傷を負った。

 震災発生後、数多くの困難の中で、住民の命を守るため懸命に努力する地方自治体のリーダーの存在感が際立ったが、政党の内外で権力争いに明け暮れる中央の政治家と対比したとき、両者の落差があまりにも大きかった。こうした非常事態だからこそ国会議員は、国家というスケールを意識して国家の理念と方向性を明確に示し、今こそ、誇りを持てる日本の将来像の実現のため、英知を結集して大胆に取り組まなければならないと思う。

 このような中、ようやく民主党の代表が決まり、野田新政権がスタートしたが、国会議員はしっかりと地に足をつけ、今度こそ国民の期待を裏切ることのないよう、この未曽有の国難に臨んでもらいたい。我々地方も覚悟を持って、この困難を乗り越えていかなければならないと思う。

知事答弁

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 これまでの民主党政権2年間を振り返ると、国民の大きな期待を受けて政権交代を果たし、政策課題を次々と掲げるものの、調整不足などから十分な成果が上げられず、未熟な政権運営に国民の失望が広がっているのが現段階の状況ではないかと思う。

 特に、東日本大震災から半年が経過したが、被災地の復旧・復興、福島第一原発事故の早期収束・安全対策は思うように進まず、また、歴史的な円高やデフレで窮地に陥っている日本経済の立て直しなど、喫緊の課題が山積しているにもかかわらず、無益な党内抗争や統一感を欠いた政権運営により、結果的に政治停滞が長引き、国民不在の政治であったという印象が拭えない。

 また、野党の姿勢や言動にも政局優先の色彩が感じられ、衆参ねじれ現象も相まって、時に政策実施のブレーキ役に一役買っているところもあるように思う。こうした中、発足した野田新政権には、仕事第一でやるべきことをやり、明確な戦略を持って、スピード感のある政治を実行していただくよう願うとともに、国民の政治への信頼を取り戻すためにも、主要政党が前回選挙で等しく国民に公約した国会議員の定数削減や世襲制限など、自らが痛みを伴うことにも積極的に取り組み、国としての覚悟を国民に示していただくよう、強く期待している。最近はこの削減問題、一票の格差に論点をすり替え、国会議員の削減をごまかしてしまうような議論も始まっており、この点は全議員が共通して一致している思いなのかもしれない。

 しかし、これまでの十数年間、地方は6万人から3万8千人への地方議員の削減を行って、厳しい時代を乗り越えた実績を作った。だからこそ、地方政治家の我々が、国会議員へその論点のすり替えはおかしいという声を強くあげていかなければならないと思う。
私としては、地方自治体を預かる知事、そして基礎自治体の首長経験者として、地方にとって大きな課題である分権改革の推進や、社会保障と税の一体改革などについて、地方の立場で言うべきことは、しっかりと主張してまいりたいと考えている。

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東日本大震災関連対策について

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(1)

伊方原発の2基が停止している現状も踏まえ、3号機の再起動について、現在、どのような認識を持っているのか。

 県は、福島第一原発事故の発生を受けて、直ちに四国電力へ安全対策の実施を要請し、その後も次々に対策を講じるなど、県民の安全・安心の確保に努めていることを心強く思う。

 一方、県議会も5月の臨時会において、会派を超えて「原子力発電所の安全対策の強化等を求める意見書」を採択したほか、エネルギー・防災対策特別委員会で、集中的に原発の安全対策や防災対策などについて、様々な角度から議論を重ねてきた。しかし、国は、自治体に対して定期検査中の原発の再起動を求めた直後に「ストレステスト」の実施を求めるなど、方針が定まらないことから、全国的に、定期検査の終了予定を過ぎた原発の再起動に目途が立っていない状況にある。

 伊方原発においても、4月に定期検査入りした3号機が予定された7月に再起動できないまま、電力需要が大きくなる夏場を迎えたが、火力発電所の定期検査時期の延期や企業からの電力供給、県民の節電努力などで、何とか乗り切れたと聞く。9月4日に1号機も定期検査に入り、四国の電力の40%を担ってきた原発3基のうち2基が停止した状況となった。今後、冬場の需要上昇により、電力需給の更なるひっ迫が予想される。

知事答弁

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 伊方3号機等の運転が再開できないまま原発が3基すべて停止した場合、1月以降の電力供給が極めて厳しいものになることが想定され、大変心配しているが、県では、伊方3号機の再起動については、従来から安全確保が大前提と考えており、1、原子力発電所の安全性に係る具体的な国の方針、2、四国電力の追加安全対策を含めた取り組みの姿勢、3、それらを受けた地元の理解、この3点を総合的に判断していくとの方針を一貫して示してきたところである。

 国の方針については、6月に経済産業大臣が原子力発電所の安全性が確保されたとして、書面でもって再起動の要請を各地域に行った直後に、再起動の新たな条件として、「ストレステスト」の実施が追加されるなど、一貫性を欠き、また、その評価がいつ頃出されるかも定かではなく、今後の見通しは不透明である。そんな中で、野田新政権においては、「ストレステスト」への対応など、安全性を厳格にチェックし、方向性を示していただきたいと思う。

 四国電力の姿勢については、県からの様々な要請に対し、原子力本部の県内への移転や更なる独自の揺れ対策など、5項目の追加的な安全対策のほか、この8月には、原子炉容器の劣化の確認試験を早期に実施するなど、誠実にお応えいただいているところであるが、安全対策には終わりはないとの考えのもと、今後も引き続き、国の方針とは別に気付いたところについては、県が積極的に追加対策を求めていきたいと考えている。

 地元の理解については、国の方針が明確に示されていない現時点においては、議論の土壌が整うような状況ではないが、今後、県としては、国から示される方針や四国電力の姿勢をつまびらかにお示しする必要があると考えている。

 このような状況であるので、現時点では、再起動については白紙という思いに変わりがないが、まずは、「ストレステスト」の評価結果を待つ必要があると考えている。県としては、その評価結果を含めた国の考え方を直接聞いた上で、地元の意見をはじめ、県環境安全管理委員会の審議や県民の代表である県議会の議論を踏まえて最終的に総合的に判断したいと考えている。

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(2)南海地震等による大規模災害に備えるため、どのように取り組んでいるのか。

 今回の震災では、「想定上は安全であったはずの避難所が、津波にのみ込まれた」「高台へ上る階段が急で、自力で避難できず、津波に巻き込まれた」「地域防災の拠点であるはずの市町村庁舎が被災し、機能の喪失又は著しい低下を招いた」などの課題が、浮き彫りになった。

 南海地震の脅威が迫っているが、東海・東南海地震と同時発生の可能性もあり、その場合には東日本大震災を上回る甚大な被害が予想される。
県では、震災を踏まえた課題の洗い出しと対策の検討が進んでいるが、課題解決の基本方針となる地域防災計画の見直しを含め、できる限り早急な対応を願う。

知事答弁

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 県では、今後30年以内に60%程度の確率で発生するといわれている南海地震等に備えるため、4月下旬に庁内に地域防災計画検討会を設置し、東日本大震災を踏まえた本県における防災対策上の課題を全庁的に洗い出すとともに、その対策を検討している。検討会では、現時点で、23項目119課題とその対応案を整理し、そのうち緊急を要するものについては9月補正予算で計上している。

 また、今回の震災で大きな課題となった津波対策については、宇和海沿岸市町や愛媛大学等の専門家とともに津波災害対策検討会を設置し、8月下旬には検討会メンバーが岩手・宮城両県の被災地を訪問して、自主防災組織や防災教育など、本県の参考とすべき対策について調査したところである。今後は、宇和海沿岸の避難場所や避難経路等の実地検証を通じ、課題とその対策を検討していくこととしている。

 このほか、9月1日に実施した県総合防災訓練においては、今回新たに孤立地区対策として情報伝達手段の確保やヘリコプターによる救援活動訓練を行ったほか、実際に避難所を開設し、その運営訓練などにも初めて取り組んだ。さらには、いずれの訓練においても、被災地で実際に支援活動を行った経験者に参加していただき、現地で得た知識やノウハウをそれぞれの訓練を通して、他の参加者へ伝えていただいたところである。ご案内のとおり、今回の被災地支援はこの数か月の間に愛媛県から自治体職員1,800人以上が現地に行き、「チーム愛媛」で派遣したことにより、20の全市町の職員どなたかが、被災地支援の経験をしてきており、全ての自治体にその経験が伝わっているのではないかと思う。

 なお、今回の訓練で実施できなかった津波避難訓練については、被害が想定される宇和海沿岸において、市町と連携して、できるだけ早い機会に実施したいと考えている。
これらの取組みから得られた成果については、県内全域に周知を図り、緊急に対策が必要なものは、逐次、迅速に対応するとともに、県地域防災計画の見直しに反映させ、本県の防災体制の強化と地域防災力の向上に取り組んで参りたい。

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(3)

県単独緊急防災対策事業の方針とその内容はどうか。

 今回の震災では、東北地方を南北に貫く幹線道路が被災の翌日から緊急輸送道路として機能し、幹線道路から太平洋沿岸へのアクセス道路も被災4日後から機能するようになり、避難のみならず救援物資の輸送や救助隊の派遣等にも大いに役立ったと聞く。

 一方、本県の道路は、高速道路も宇和島市以南は未整備で、平成21年4月現在における道路改良率も70.9%で全国水準の83.4%を大きく下回っている。南海地震等発生の可能性が高まる中、道路整備の促進は防災の観点からも喫緊の課題である。
今回の震災は、津波・地震・原発事故の複合災害であり、原発立地県の本県では、多くの県民が、福島第一原発と同様の事故があった場合に、速やかに避難できるのかという不安を抱いている。避難路等の早急な整備は県政の最重要課題であると思う。

 国は、これまでの補正予算において、被災地支援対策に取り組んできたが、被災地以外の防災対策への対応については、いまだ不明である。このような状況では、県民の不安は一向に収まらないため、国の対応を待つことなく、地方独自で早急に防災対策に取り組む必要がある。
今回、約70億円の県単独緊急防災対策事業を計上したことは、時宜を得た対応で、大変心強く思う。

知事答弁

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 先の東日本大震災では、我々の予想を遥かに超える自然の猛威により未曾有の被害が発生したところであり、東南海・南海地震が差し迫っている本県においては、今まで以上に県民の生命・財産を守る防災施設に軸足を置いた社会資本整備を進めることが必要となっている。

 このため、今回の補正予算については、抜本的な対策は新しい知見に基づく国の補助制度等に委ねざるを得ないが、まずは、県民の不安を低減するため、この段階で国の措置を待つことなく、県財政は非常に厳しい状況下ではあるが、県単独事業により可能な限りの対応を行うことが適切な決断ではなかろうかと考えている。
具体的には、原発事故と津波被害の発生を想定し、速やかな住民避難を図る観点から、
○ 原発30キロ圏内や津波浸水想定区域内の道路について、避難に支障となる箇所の現道拡幅や、法面防災、橋りょうの補強などの事業に取り組むとともに、
○ 原発以西の住民の九州方面への避難拠点となる三崎港の耐震化事業、
○ 海岸部の急傾斜地崩壊防止施設に階段を設置し、津波から高所への避難に活用する事業を実施することとしたところ。

 また、先の震災では、整備してきた防災施設は津波高を抑制するなど、被害軽減に有効であったことから、その機能を十分に果たすことができるよう、破損箇所の改修や耐震点検にも早急に取り組むとともに、地震による土砂崩れでも多くの人命が失われていることから、土砂災害の防止対策にも意を用いたところである。

今後とも、県の地域防災計画の見直しの状況や国の新たな地震・津波対策の方向性を踏まえながら、県民の安全・安心確保のため、必要な防災対策事業の実施に全力を注いでまいりたいと考えている。

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(4)

放射性物質に係る食品検査体制について

 近年、食品の偽装表示や農薬混入事件、異物混入等による自主回収など、食の安全・安心を脅かす様々なニュースが報じられてきたが、これらに加え、現在は、福島第一原発事故に伴う放射性物質による食品汚染が、大きな社会問題となっている。

暫定規制値を超えた牛肉の県内の流通状況とその対応はどうか。

 国は、原発事故発生後、放射性物質に汚染された食品の流通を防ぐための措置を講じ、市場に流通している食品は安全と考えられていた。

 しかし、放射性セシウムの暫定規制値を超えた牛肉が全国的に流通し、各県は、汚染の疑いのある牛肉の流通経路の確認や、放射性物質の検査等の対応に追われている。

 本県は、原子力センターに放射性物質の検査機器を整備しており、初期の検査に対応できたと聞くが、汚染された牛肉の流通問題はいまだ解消されず、東北地方では、米の出荷前に放射性セシウム検査を実施すると報じられている。県民の食の安全・安心を確保するため、流通する様々な食品に係る放射性物質の検査体制を早期に充実させる必要がある。
検査体制の整備に、どう取り組むのか併せて問う。

知事答弁

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 放射性セシウムに汚染された牛肉については、9月15日現在までに、汚染の可能性のある119頭分、約2,482㎏の牛肉が県内に流通し、その内9頭分、約189㎏について放射性セシウムの暫定規制値を超えていることが確認されており、県では、食肉加工業者や小売店等の協力を得て牛の個体識別番号を基に、流通経路や販売状況を調査するとともに、牛肉の残品がある場合には、原子力センターで放射能検査を行い、これらの結果を速やかに県民に情報提供してきたところ。

 また、併せてお尋ねのあった流通食品の検査体制の整備については、福島第一原子力発電所の事故発生以後、保健所の食の安全安心相談窓口において、食品の放射能汚染に関する相談に対応するとともに、食品衛生監視機動班により、出荷制限食品等の流通監視に努めてきたが、汚染牛肉が県内にも流通していた事態を踏まえ、今回新たに、東・中・南予の3保健所にスクリーニング検査用の簡易検査機器を配備するとともに、衛生環境研究所に精密分析用の機器を整備する経費を計上し、放射性物質に係る食品検査体制を確立することとした。

 今後は、これらの検査機器を有効活用し、計画的な食品の収去検査や食品関連事業者等からの依頼検査を実施するなど、放射性物質に係る流通食品の監視強化を図るとともに、県民に対する相談や的確な情報提供等に引き続き取り組むことにより、食の安全安心の確保に一層努めて参りたい。

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本県農水産物の放射性物質安全性確認の状況はどうか。また、今後の検査にどのように取り組むのか。

 原発事故は放射能という目に見えないものを相手にしなければならないため、住民や消費者の不安は極めて大きい。

 出荷制限や調査対象県以外の中国・四国各県でも、既に主要農水産物の安全性確認を独自に実施していると聞く。本県では、原発事故発生以降、放射性物質のモニタリング調査で異常は認められていないが、安全・安心な農水産物を提供し、不安解消と風評被害を防止するため、先般、県内農水産物の確認検査を実施する方針を打ち出した。

知事答弁

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 福島第一原発事故による放射能汚染の影響について、本県は国が示した食品の検査対象区域に含まれていないことに加え、県が実施している空間放射線量率のモニタリング調査や海水の監視調査においても異常は認められないことから、本県産の農水産物は安全であると考えている。

 しかしながら、原発事故後半年を過ぎた現在でも、農水産物等からの放射性物質検出の報道が続いており、首都圏などの消費者の中には、食品の安全性に強い不安を抱いている方々がおられるのも事実である。
このため、県では戻りカツオの漁獲や首都圏等への温州みかんの出荷が始まる時期に合わせ、去る9月6日から主要農水産物の放射性物質検査を開始したところであり、これまでに検査を実施した戻りカツオと極早生の米については、いずれも放射性ヨウ素やセシウムは検出されなかった。

 今後は、戻りカツオについては定期的に、また温州みかんやマダイ等の主要農水産物12品目については、収穫・水揚げの時期に合わせて検査を実施する予定である。また、万が一、暫定規制値を超える値が検出された場合には、直ちに出荷自粛を要請し、追加調査を実施する体制を構築したところであり、これらにより、農業者や漁業者、消費者の方々が安心して本県産の農水産物を出荷し、購入できるよう取り組んでまいりたい。

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(5)

住宅用太陽光発電導入に係る補助制度創設の狙いとその内容はどうか。

 福島第一原発事故に伴い、国のエネルギー政策が見直されつつある中、先般、再生可能エネルギーの特別措置法案が成立した。今後の運用に当たり、透明性のある適切な買収価格の設定や、電気料金値上げへの特段の配慮など、産業活動への影響を防ぎ、再生可能エネルギーの普及拡大につながるような円滑な施行を望む。

 特に太陽光は、技術革新により発電効率が向上し、家庭で最も気軽に導入できるエネルギーであることから、住宅用太陽光発電設備の普及を図ることが、再生可能エネルギーの導入促進に大きな役割を果たすと思う。
補助制度創設を契機として、県内全ての市町に支援の取組みが広がることを期待する。

知事答弁

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 太陽光をはじめとした再生可能エネルギーについては、エネルギー資源の多様化や地球環境への配慮などの観点から、これまでも公共施設への太陽光設備の整備や各種バイオマスの活用など、その導入促進に努めてきたところ。

 こうした中で、先般、「再生可能エネルギー特別措置法」による新たな電力買取制度が国によって創設されたが、正直申し上げて、買取の価格や期間の設定が不透明なほか、電力会社の買取拒否条項が含まれるなどの問題もあり、今後、その運用の動向を注視していかなければならないと考えている。

 しかしながら、今回の原発事故に伴い電力供給問題が顕在化し、再生可能エネルギーへの関心が高まっている中で、その更なる普及促進を図ることは重要であることから、住宅用太陽光発電システム導入の補助制度を創設することとしたもの。
具体的には、住宅用太陽光発電の補助を行う市町に対し、設備出力1KW当たり1万円で、最高4KWまでの4万円を1件あたりの補助限度額として、今年度後半の設備導入見込数をベースに必要な経費を計上したところ。

 本制度を活用し、県としては、補助制度のある市町には制度の更なる拡充を、補助制度のない市町には制度の創設を促したいと考えており、今後は、市町と一体となった住宅用太陽光発電の一層の導入促進を図るとともに、地域特性に応じた各種再生可能エネルギーの導入についても積極的に検討してまいりたい。

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円高が本県経済にもたらす影響はどうか。また、当面の景気対策にどのように取り組むのか。

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 リーマンショックに端を発した世界同時不況を受け、我が国は、3年にわたる景気低迷に苦しんできたが、今回の震災発生により、持ち直しつつあった経済は、再び厳しい状況に直面している。

 特に、過去最高水準の最近の急激な円高傾向は、製造業を中心とする国内企業の経営環境を悪化させており、事業基盤強化のため、海外進出を加速させる企業が相次ぎ、国内産業の空洞化が進むことを危惧する。
長引く景気低迷から立ち直るため、徹底した経費節減等に取り組んできた県内の輸出関連企業にとって、今回の急激な円高は、これまでの努力を無にする死活問題である。

 また、国内の事業展開では採算がとれない企業が、拠点を海外へ移すことにより、下請の県内中小企業は、仕事がなくなり、収益の落ち込みや雇用の喪失など、地域経済に計り知れない影響を及ぼす。

知事答弁

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 歴史的な水準にある円高の影響により、県内企業の経営環境の悪化が懸念されるため、先月、県内主要企業を対象に緊急調査を実施したところ、機械、鉄鋼、造船など輸出関連産業を中心に、「悪影響」とするものが42.4%と、前回の5月調査を10.7ポイント上回る深刻な状況となった。

 また、先般開催した「中小企業円高対策連絡会」等においても、経済団体や金融機関から厳しい現状が報告され、『輸出関連産業では海外での売上減少や為替差損により収益が低下し、食品加工や製紙業では、国内市場が縮小する中で、原料や燃料価格の高騰により円高メリットが相殺されているほか、東予の中小企業の一部では、すでに、発注元企業の海外移転により中国等へ生産を移管する動きがある』など、本県経済は、極めて憂慮すべき事態と認識している。

 このため県では、今回の9月補正予算において「緊急経済対策特別支援資金」の追加融資枠180億円や、避難路、河川、港湾など県単独緊急防災対策として公共事業70億円余りを計上するなど、県内景気の下支えを図ることとしたところである。

 さらに、経営環境が厳しい中小企業に対しては、これまでの「円高対策相談窓口」に加え、10月から新たに「円高対策等緊急巡回相談会」を開催するなど、きめ細かな支援に努めることとしており、今後、国の3次補正予算に向けた円高総合対策等の効果的な活用も視野に入れながら、引き続き、県内景気に十分配慮し、地域経済の活性化・下支えに努めてまいりたい。

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新しいブランド牛の開発にどのように取り組むのか。

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 本県の肉用牛の生産は、経済発展とともに右肩上がりに成長し、平成21年の生産額は、県内農業粗生産額の3%を占める35億円となった。 

 しかし、肉用牛農家の経営は、近年、家畜飼料の国際価格が高騰し、飼料の75%を輸入に依存することから極めて厳しい状況が続いており、このままでは、廃業を考える農家も出てくるのではないかと危惧する。さらに、国内の牛肉消費量が、景気の悪化に加え、放射性セシウムに汚染された牛肉が流通したことなどの影響を受け、大きく減退し、価格も低迷を続けている。

 このような状況で、本県の肉用牛農家が、今後も意欲を持って経営を維持発展するためには、「媛っこ地鶏」や「愛媛甘とろ豚」に続く、本県独自の新たなブランド牛を開発することが重要な課題と考える。

知事答弁

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 肉用牛生産は、本県農業を支える重要な分野の一つであり、特に中山間地域の多い南予地域においては、地域の重要な品目となっていることから、今後も収益性さえ上がれば、まだまだ発展の余地が残されていると考えている。

 こうした認識のもと、県内外に向けて有利な販売が期待できる本県独自のブランド牛を開発し、「愛媛の畜産ブランド」のアピール力を高めていけば、必ずや本県畜産業の大きな飛躍につながるものと確信している。

 このため、県では、畜産研究センターにおいて、今年度から平成26年度までの4か年計画で、近年の消費者の健康志向の高まりに対応した「ヘルシーさ」、例えば十数年前は、霜降り肉の消費者ニーズが非常に高かったが、十年経った数年前には激減しており、赤身の方に好みがシフトしているという数字も出てきている。こうしたことや「美味しさ」を併せ持った新たなブランド牛の開発に取り組むこととし、9月補正予算に必要な経費を計上したところである。

 特に、今回のブランド牛の開発に当たっては、開発スピードを早めるため、これまで畜産研究センターで技術開発を行ってきた受精卵移植技術をフルに活用し、さらに、全国で初めての試みとなる雌牛を重視した造成技術によって、柔らかくて旨み成分が多く、ヘルシーさを全面に打ち出すことができる本県オリジナルな和牛ブランドの開発をめざしたいと考えている。

 今後は、県、生産者団体、流通販売業者等をメンバーとする「愛媛ブランド牛開発プロジェクトチーム」を設置し、開発段階からその方向性や進捗状況について、関係者が緊密に連携を取りながら、計画的な研究開発を進めるとともに、これと併行して、平成27年度からの本格販売に向け食味試験や愛媛ブランド牛の知名度向上にも取り組み、「愛媛甘とろ豚」と肩を並べる二枚看板ブランドに育てあげてまいりたい。

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全県を対象とした地域医療再生にどのように取り組むのか。

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 今回の震災では、医師不足で深刻な地域が被災したことにより、医療需給が一層ひっ迫するなど、地域医療の抱える様々な問題点が明らかになった。医師確保をはじめとした、医療提供体制の更なる整備が、被災地のみならず、全国的に急務であることを痛感した。

 本県でも、少子高齢化と過疎化の同時進行と、医療を担う人材の偏在により、救急、産科、小児科、外科をはじめとする地域に不可欠な医療の確保が困難になりつつある。これまで、医療関係者のたゆまぬ努力によって、なんとか地域に必要な医療体制が維持されてきたが、コンビニ受診の増加などにより医療現場が疲弊するなど、地域医療は危機的な状況にある。

 このような中、昨年度の国の補正予算により基金が拡充されたことを受け、県全域を対象とした地域医療再生に向けた取組みが進んでおり、今回、本格的に事業に着手する予算が多数計上されている。事業実施に当たっては、その成果が県内全域に広く波及するよう、行政のみならず医療機関と関係団体が、地域医療再生に向け、力を合わせて取り組んでいく必要がある。

知事答弁

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 県では、国の地域医療再生臨時特例交付金の拡充を受けて、全県的な視点で医療提供体制の充実・強化を図るために、三次救急医療、がん対策など5本の施策を柱とする地域医療再生計画を6月に策定したところであり、今回、当該計画に基づき、早急に着手する必要がある11事業について予算を計上している。

 具体的には、「三次救急医療体制の強化」として、救命救急センターを設置する医療機関において、高次医療用機器等の整備を行うとともに、「がん対策」では、地域の医療福祉機関が協働し、がん患者が在宅で安心して療養できる在宅緩和ケアの推進に着手することとしたほか、「医療連携体制の構築」については、各医療圏域ごとに地元医師会等関係機関の参画を得て、循環器疾患の診療体制や救急患者の受入体制の充実等を図ることとした。

 また、「医療人材の育成・確保対策」としては、県医師会が核となって、医師不足が深刻化する救急医療機関への応援医師派遣システムを整備するとともに、看護協会や地元大学が連携して、看護職員など医療従事者の研修・教育体制の充実に取り組むとともに、「災害医療」に関しては、東日本大震災の教訓を踏まえ、災害派遣医療チーム(DMAT)の活動資機材を整備することとしている。

 なお、今回の地域医療再生計画については、基礎額として各県一律に交付される基金枠15億円の計画と、加算額を伴う基金枠35億円の計画の2本の計画を国へ申請しており、今後、国の交付決定を受けて、引き続き、関係機関等と十分に連携して着実に計画の具体化を図り、全県的な地域医療の確保に努めて参りたい。

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県政を取り巻く環境が極めて厳しい中で、どのようにして柔軟性と実効性を確保した長期計画に仕上げていくのか。

m6

 これまでの民主党政権を見て、リーダーシップと計画性の無さがいかに国民生活に混乱を招くかということを痛感している。

 特に、計画性の欠落については、現在進めている長期計画の策定において、踏まえておかなければならない重要なポイントであると思う。民主党にとってマニフェストは、政党の背骨となる基本的かつ総合的な計画であるが、公表直後から、財源の問題を中心に、多くの疑問点が指摘されていた。マニフェストを絶対視する姿勢が混乱に拍車をかけたと思う。物事を進める際の計画のあり方、その重要性を改めて考えさせられる。
 知事は、自らの公約には徹底してこだわる姿勢を示しているが、財源や工程表まで細かく記載した、いわゆるマニフェストについては、情勢変化に柔軟に対応できないことや、新たな取組みに挑戦する意欲が失われることなどの弱点を指摘し、否定的な見解を持っていると聞く。

 社会経済情勢の激しい変化や、先行き不透明な財政状況、県民ニーズの複雑多様化など、県政を取り巻く環境は極めて厳しい状況にある。このような状況下で策定する計画だけに、バラ色の未来を描くことに限界を感じる一方で、県民に夢や希望の持てる愛媛の将来を示さなければならないという考えもあり、苦心しているのではないかと推察する。
計画の進捗状況も含めて問う。

知事答弁

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 明比議員お話のとおり、先を見通すことが極めて困難な状況の中で策定する今回の長期計画は、知事選挙における私の公約をベースに、愛媛の未来を「こうしたい」「こうすればどうか」という想いを込めながら、県民と共有できる目標を示すことに軸足を置くこととし、計画の硬直化を招かないよう、政策についてはその方向性を示すことにとどめ、個別具体の事業を網羅的に記載することは避ける方針で策定に臨んでいる。

 そうした方針に沿って、先般、概ね10年後を見据えた、県民の皆様への愛媛の未来づくりに向けたメッセージとなる長期ビジョンを発表したところであり、その実現に向け、今後策定する4年間のアクションプログラムにおいて、政策の目指す方向や施策ごとの成果指標などを盛り込んでいきたいと思う。

 また、この長期計画を絵に描いた餅にすることなく、着実に推進するため、毎年度、県民ニーズをはじめ、社会経済情勢や財政状況の変化に的確に対応して、特に力を入れて取り組む施策分野を明らかにする重点戦略方針を策定し、優先的かつ重点的に予算化を図る仕組みを作りあげていきたいと考えており、これにより、計画の柔軟性と実効性をしっかりと確保し、公約の実現につなげていきたい。

 なお、先月下旬から今月上旬にかけて開催した策定会議や地域別懇談会においていただいた意見等を踏まえながら、現在、アクションプログラムの肉付け作業を進めているところであり、長期計画を24年度当初予算に色濃く反映させるため、年内を目途に全体像を完成させたいと考えているので、引き続き、議員各位の御理解と御協力をお願いしたい。

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市町への支援や連携の強化にどのように取り組むのか。

m7

 知事は、就任直後から、県と市町がこれまで以上に連携・一体化するために「県・市町連携政策会議」の設置を呼びかけ、一緒になって協議していく枠組みを設けたほか、県と市町の人事交流を大幅に拡大するなど、次々に新しい取組みを打ち出している。長年にわたり市政のかじ取りを担ってきた経験に基づき、基礎自治体との関係において、県の役割をしっかりと果たしていこうとする積極的な姿勢の表れであると感じる。
 県と市町の連携の基盤が整いつつあることは、大いに評価するが、地方を取り巻く環境は、地方分権一括法により基礎自治体の自由度が増すことなどの要因で、今後、更に変化していくことが見込まれる。

中村県政が標ぼうする基礎自治体重視の県政運営の実現には、このような環境変化も踏まえ、行政課題の解決のため、県と市町が一緒に知恵を出し合うことや、市町に対する県の支援体制について、更に深化させていくことが不可欠であると思う。

知事答弁

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 我が国が、少子高齢化や人口減少などの社会構造の大きな変化や、地方分権の進展、自治体財政の悪化など様々な課題に直面する中、県政の基本理念である“愛顔あふれる愛媛県”を実現するためには、県と市町がこれまで以上に連携を密にし、総合力を発揮することが不可欠であると考えており、知事就任以降、県・市町連携政策会議の設置や人事交流の拡大など、県と市町の一体的な行政運営に向けた基盤づくりに取り組んできたところ。

 その結果、東日本大震災発生時の“チーム愛媛”での支援を端緒として、現在、連携政策会議の場において、研修や税徴収、道路管理等の幅広い分野で、連携・一体化に向けた具体的な協議が進んでいるほか、派遣職員も県・市町それぞれの職場で貴重な戦力として、組織の活性化に貢献しており、概ね順調な滑り出しができたと考えている。

 今後とも、地方分権改革のもと、市町への権限移譲が進む中、基礎自治体重視の県政運営をより一層進めるため、市町との人事交流を拡充するとともに、市町が複雑多様化する行政課題に対応できるよう、専門的・広域的な視点から的確できめ細かな相談・サポートを行う体制の整備や、県と市町が共に取り組まねばならない重要な政策課題について、企画段階から両者が連携し合い、“チーム愛媛”で取り組む本県独自の施策を創り出すなどの新たな仕組みが必要になると考えている。

 県・市町の連携・一体化の取組みは、全国的にも先駆的な取組みであるため、様々な課題はあるが、各市町の意見や提言等も踏まえながら、知恵と創意工夫のもと、可能なものから順次具体化を図っていきたい。