思慮遠望(2018/1/1)

平成30年 明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願いします。

 清々しく新年をお迎えのことと思いますが、昨年も色々ありましたが、善きことは発展を考え、良くないことはその根本の改善につとめ、目先のこと些細なことを悔やむばかりに明け暮れず、10年・20年先に生かされる設計に取り掛かりましょう。

 戌年の今年も愛媛にとって「みきゃん」にも頑張ってもらい、良き年になるよう願っています。
昨年は何か小競り合いが多く、落ち着きや先に見通しが立たないような事案が内外共に散見されました。今年はその延長に立って騒動が拡大する可能性も大いにあると思われます。

 特にエルサレムを取り巻く中東の情勢、核開発に歯止めのかからない北朝鮮への制裁と制圧情勢は、特に目が離せない緊迫の度を深めると思えてなりません。いずれにしてもアメリカのトランプ大統領の手に、そのカギは握られているので、日本としてもその立ち位置から他人事では済まさない対応が求められるものだろう。中国も韓国もロシアも、みんなそれぞれの利を守り、害が及ばないよう自国のためにとの視点を中心に動いている。日本だけが割を食うような結果にならないように、国民の安心と国益を守ることを譲ってはならない。
 ともかく大きな覚悟ある日本の在り方が、問われ迫られるようになるだろう。

私は今年満70歳を迎えることになる。

 昨年2月に、地元の「神戸小学校」を卒業した同級生と、地元の「伊曽乃神社」で、『古稀』のお祓いを受けた。その後5月には、有志でバス旅行となったが、鳥羽で一泊して「伊勢神宮」内宮・下宮の参拝をした。神楽舞の奉奏を受けられたのは心新たまる参拝の機会であった。

 よくもここまで頑張ってこられたもので、やはり命をいただいて役目があって働かせていただいているのだと、感謝の気持ちも持たせていただいた。
これからも一層精進を重ね、生きている証を示してゆかねばと、気を引き締めてゆきたい。

 私の県議としてもいよいよ残す任期は1年余となった。今年末には中村知事の任期も2期目を終えることになる。いずれも選挙にためにするパフォーマンスでの飾り言葉で費やすことなく、県民の安心・安全・安定生活を将来に向けて確実性を高められる質の向上を目指して頑張ってゆきたい。

 明治維新から150年ともなる、今上陛下もわき前をしっかり持って自らご退位の気持ちを発せられ、いよいよ御代の交代も進められる。私たち国民もしっかりわきまえをもって時代を切り開いてゆこう。

リーダーは名プロデューサーたれ

月刊『致知」2018.1月号【巻頭の言葉】より引用  ウシオ電機会長 牛尾 治朗

『人に仕事を任せるには』

  早いもので、ウシオ電機の経営に携わり53年になります。これまで様々な試練を乗り越え、会社を維持発展させていきましたが、いま私たちが直面する変化は、そうした自らの経験に照らしても並外れています。この未知の状況に対応していくためにも、リーダーはよきプロデューサーでなければならないという思いを私は強くしています。

 かつて日本では、ソニーの井深大さんや、本田技研工業の本田宗一郎さんのように、主役兼演出家タイプの経営者が個性的な構想で将来を切り開いていく姿が見えました。しかし、現在のようにグローバル化、IT化が進み、経営にまつわるファクターが、ここまで複雑かつ多岐に渡ってくると、1人の人間が組織全体を引っ張っていくのは容易ではありません。時代の大きな流れを読みつつ、要所要所に適切な人材を配置し、それらを統括して収益に結びつけていく。昨今の経営者には、こうしたプロデューサー的役割が、これまで以上に求められる時代になったことを痛感しているのです。

 創業以来、最先端の光源開発で急成長を遂げてきたウシオ電機では、未知の仕事ゆえに経験者を求めようもなく、また計画的に人員を配置していく余裕もありませんでした。とにかく別の仕事で成功した社員をどんどん登用していくしかなかったわけですが、結果的に登用した人は私の期待に見事に応え、会社の発展に大きく貢献してくれました。

 私は仕事を人に任せる際、その仕事の現状と将来の展望を伝え、どのようなルートでそこに至るかは本人の裁量に任せるようにしてきました。当初はあまり意識こそしていませんでしたが、プロデューサー的なリーダーシップをとることによって、各人の持つ力を上手く引き出すことができたのです。

 ちなみに、これからの時代は男女の力を十分に生かしていくことが、組織の発展に不可欠な条件となるでしょう。とりわけ女性は、自分の専門や実績に固執しがちな男性に比べ、時代の変化により敏感な印象があります。そうした女性の長所をうまく活用できるプロデューサーが、この大転換期に組織をしっかりと導いていけると思うのです。

『天守閣に立ち時代を読む』

  一口にプロデューサーといってもいろんなタイプがあり、プロデューサーでありながら演出を務める人、あるいはプロデューサーを務めながら脚本を手がける人もいます。映画『市民ケーン』などの傑作で知られるオーソン・ウェルズに至っては、プロデューサーと監督、製作、脚本を兼務し、さらには主演までこなしています。リーダーの個性により、様々なタイプのプロデューサーがあってよいと私は思います。

 ヤマト運輸元会長の小倉昌男さんは、宅急便という画期的なサービスを創造した名プロデューサーです。

 小倉さんの実家の運送会社は、創業時より百貨店の配送を専門で請け負っていました。しかし、立場の弱い下請けのままでは将来はないと考えた小倉さんは、経営の実権を握ると思い切って百貨店との取引を打ち切り、独自に個人向け小口貨物配送サービスを始め、大成功を収めたのです。アメリカからやってきたアマゾンも、小倉さんが礎を築いた宅配網がなければ、日本でここまで大きな成功を収めることはできなかったでしょう。

 卓越した先見性と実力を兼ね備えたプロデューサー・小倉さんの実績は、いまを生きる私たちにも多くの教訓を与えてくれます。

 日本の城には、四方を見渡せる高い天守閣があります。城主はそこへ登ることによって時代を肌で感じ、大きな決断を下すことができたのだと思います。未曾有の大変化を迎えたいま、私たちはより高い、天守閣の視点で今後の趨勢を見極め、果敢に道を開いていくプロデューサーでありたいものです。